【更新】1年間で98万部減、1世帯当たり部数も減少…新聞の発行部数動向(2012年発表)

2012/01/12 06:42

年が明けてから各種継続掲載記事のうち、年変わりでデータを更新しているものにつき、逐次再検証とグラフの再構築を行っている。【新聞社従業員の部門別推移をグラフ化してみる(2011年分反映版)】をはじめとする【社団法人 日本新聞協会】内の収録値についてもチェックをしたところ、新聞広告費や広告量、部門別従業員数に変わりはなかったものの、【新聞の発行部数と世帯数の推移】が2011年分を反映した最新データに差し替えられていた(【アーカイブページ】ではいまだに「2009年」まで)。毎年10月分の値を反映するため、この項目だけは更新されていたものと思われる。そこで今回は新聞の発行部数などをグラフ化した過去の記事をアップデート、つまり2011年分を反映したものとして再精査することにした。

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まずは全体的な値。【社団法人 日本新聞協会】内の【新聞の発行部数と世帯数の推移】から必要なデータを取得する。現時点では2000年-2011年までの値が掲載されている。ただしこちらには以前からの取得値もあるので、当記事のグラフは1997年以降のものが生成できる。

最初に作るのは新聞そのものの発行部数の推移グラフ。ちなみに朝刊と夕刊を共に取っている家庭においてはそれを合わせて「1部」として換算している。

新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)
↑ 新聞発行部数(万部)(朝夕刊セットを1部で計算)

割合にしてはさほど大きなものではないが、昨年2010年からさらに部数を減らしているのが確認できる。具体的には減少部数は(1年間で)97.65万部・1.98%ほど。昨年がマイナス2.05%だったから、(比率的に)多少は状況悪化が食い止められたことになる。とはいえ昨年同様に、前年比で減少している事実に違いは無い。

続いて減少率著しいスポーツ紙のみでグラフを再構築。

スポーツ紙発行部数(万部)
↑ スポーツ紙発行部数(万部)

じりじりと少しずつ、だが確実に身を削られていく雰囲気が体現化されている。ちなみにこの1年の減少部数は16.1万部・3.65%ほど。前年がマイナス5.92%なのを考えれば、状況悪化の加速化は食い止められた感はある(前年比マイナスである以上、やはり悪化していることに違いは無い)。

次に各年の住民基本台帳を元に世帯数を割り出し、新聞発行部数と比して「1世帯あたりの新聞部数」を算出したグラフを生成する。

1世帯当たり部数
↑ 1世帯当たり部数

以前の記事で「1世帯当たりの部数が1部を割り込んでしまった」という危機的状況を解説したが、回復する兆しは無く、むしろ減少が定型パターン化している。これは部数の減少と共に、【「お年寄りがいる家」のうち1/4・414万世帯は「一人きり」】などで解説しているように、核家族化・世帯構造の変化によって、世帯数そのものが増加しているのも少なからぬ要因。その上【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】でも言及したが、購入世帯数そのものが減っている。結果として「1世帯当たりの部数」が減って当然。

世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)
世帯の型別主世帯数(×1000世帯)(再録)

高齢世帯の増加により、一見すると旧来メディアの視聴時間・視聴者数は増えそうなもの。しかし実際には、テレビは増加する傾向を見せるものの、新聞は(減少幅の違いこそあれ)全世代で「新聞離れ」が起きているのが確認できる(【5年の間にこれだけ変わる…テレビ視聴と新聞購読時間の変移をグラフ化してみる(2011年版情報通信白書より)】)。これでは新聞購読者そのものが減るのも致し方ない。

↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)
↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(分/日)(再録)

↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(2005年から2010年への変移率)
↑ 趣味・娯楽シーンでの「新聞を読む」時間の年代別変化(2005年から2010年への変移率)(再録)

次はデータが取得できる範囲での発行部数の前年比を、全体、および一般紙とスポーツ紙に分けてグラフ化しておく。

新聞発行部数前年比
↑ 新聞発行部数前年比(全体)

新聞発行部数前年比
↑ 新聞発行部数前年比(一般紙とスポーツ紙それぞれ)

スポーツ紙は押し並べて前年比マイナス数%を継続している(プラスは2000年のみ)。不調ぶりがここ数年の傾向では無く、記録の限りでは前世紀末期からであることが分かる。

一方で一般紙は2004年位までは前年比マイナスプラスを行き来していたが、2005年以降はマイナスのまま推移している。奇しくもこの「2005年」は、テレビCMの単価低迷傾向が始まった時期と一致する。インターネットや携帯電話の影響が、少なからず及んでいることは否定できない。そして2010年はこれまでに無かったレベルの下げ幅だった2009年に近い値を見せている(ただしマイナスには違いない)。



今回更新分の2011年における値については、協会のリリース[2011年日刊紙、総発行部数は4834万5304部 東北地区で震災響く 新聞協会調べ]で言及されている通り、東北地区の総発行部数が前年比でマイナス8.3%と大きく減退しているのが象徴するように、2011年3月に発生した東日本大地震・震災を起因とするところが大きい。とはいえ、新聞販売部数が全体的に減少を続けていることには違いない。

【週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(拡大版)…(下)購入世帯率や購入頻度の移り変わり】で解説したように、社会構造の変化に伴い、新聞そのものを取らなくなった世帯が増えている事実に変わりはない。また、スポーツ紙の急激な減少は、2002年の際の同様の減少の一因である「不景気によるもの」はもちろんのこと(ただしそれでは2008年の減少率が穏やかな説明がつかない)、内容・魅力の劣化とそれに伴うコストパフォーマンスの低下、さらには携帯電話など「すき間的な時間の暇つぶし」に使えるメディアが増えたことなどが大きな要因と推測できる。そしてその流れは加速化の中にあり、今後も継続すると評せざるを得ない。

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