3年で中卒者は6割強、高卒者は4割が離職…学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/10/30 05:14

内閣府では2016年5月31日に2016年版となる「子ども・若者白書(旧青少年白書)」を発表した。その白書においては、主に若年層に関する公的調査の結果を取りまとめ、多方面から若年層の実態を分析している。今回はその中から、無事に就職を果たした後の仕事先からの離職率(見方を変えれば「職場定着率」)の推移について見て行くことにする。就職率、失業率とはまた別の視点で、若年層の就労実態を確認できる結果が出ている(【発表リリース:子ども・若者白書(旧青少年白書)について】)。

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「定年まで一つの会社に継続勤務」「年功序列制」が日本の雇用体系の常で無くなってから久しいが、現時点でも「正社員」ならばその多くは通用しうる(ただしこれからもそれが続くか否かは分からない)。だが一方で無事に就職を果たせても、短期間で離職してしまう人も少なからずいる。

↑ 最終卒業学校別、初めて就職した会社に現在は勤務していない若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)(再録)
↑ 最終卒業学校別、初めて就職した会社に現在は勤務していない若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)(【30歳前半の働き人、6割強は転職経験あり】から再録)

今件項目では学校を卒業した直後に就職した人に限定し、就職後3年間における離職率動向を提示している。白書が元にしている【厚生労働省の「若年者雇用関連データ」】(2016年10月27日付でページのリニューアル及び最新データ分を更新)を元に、各年3月時点における離職率に関して最新値を反映させた上で、中学卒・高校卒・大学卒における「3年以内の離職率動向」を示したのが次のグラフ。縦軸(離職率)はあえて全学歴で区切りを揃え、学歴による差異をつかみやすくしている。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校卒業者)

↑ 在職期間別離職率の推移(高等学校卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(高等学校卒業者)

↑ 在職期間別離職率の推移(大学卒業者)
↑ 在職期間別離職率の推移(大学卒業者)

現時点では2015年分は1年目、2014年分は1・2年分までしかデータが無い(調査タイミングを考えれば当然の話)。そのため右端部分がやや変則的な形となっている。大まかな全容としては

・離職率は 中卒>>高卒>>大卒 で、中卒の離職率が一番高い。

・大卒は1年目、2年目、3年目における離職率にさほど差異は無いものの、中卒や高卒は1年目における離職率が高い。

・中卒は1年目で4割強ほどが辞めてしまう。

・今世紀に入ってからの離職率は漸減傾向にあったが、2010年以降は高校で増加が確認できる。大学も同様の動きを見せたが、2011年で早くも天井感。

・2011年は中卒で有意に上昇している。震災起因の離職が主に中卒者内で生じた可能性の示唆。

などとまとめられる。各種別記事にある通り、大よそ学歴が低いほど失業率は高く、そして就職できても正社員としての雇用率は低い傾向にある(【就労者の正規・非正規社員率をグラフ化してみる】)。さらに離職率も高い今調査の結果を見る限り、学歴による就職回りのハードルの差異は非常に大きなものと考えてよい。

↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(再録)
↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年時点)(【学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合をグラフ化してみる】(現時点でこれが最新)から再録)

中卒、そして高卒者における1年目の離職率が高いのも、雇用する会社側から見て解雇しやすい非正規社員だからと考えれば、道理が通る(同時に、もう一つ別の要因も想定されるが、それは後ほど解説する)。「労働流動性の高さを反映したもの」と表現すれば聞えは良いが、(無論自主的離職も少なくないものの)解雇される立場からすれば気分の良いものではない。企業そのものの存続が前提になるが、中卒者の3年定着率が4割足らず、高卒でも6割、大卒ですら7割足らずとの実態は、覚えておく価値のある値ではある。



参考として3年目までの離職者を総計した値に限り、中高大を一つにまとめたグラフを作成しておく。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2014年は1年目と2年目、2015年は1年目のみ)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2014年は1年目と2年目、2015年は1年目のみ)

離職率は景気と反比例する傾向を見せている。特に直近の金融危機ぼっ発以降の動きが顕著である。これは「不景気≒再就職困難≒離職を断念する(離職検討理由を我慢する)」との流れによるもの。見方を変えれば「好景気≒再就職容易≒離職決意のハードルが下がる」と考えることができる。

ただし労働市場面での景気の悪化度合いが一定度を超えると、本人は望んでいなくとも(実質的)会社都合による解雇・離職の事例が増えるため、離職率は上昇してしまう。2010年から2011年にかけて値が有意に上昇しているが、これはリーマンショック、過度の円高、そして震災と、畳み掛けるような企業経営に対するマイナス要因が生じた結果の動きと見られる。

試しに上記グラフに「不景気」と認識されている時代を合成する(薄い赤エリア)と、大よそ該当時期には値が下がっているのが分かる。

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2014年は1年目と2年目、2015年は1年目のみ)(不景気時代を薄い赤部分で着色)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2014年は1年目と2年目、2015年は1年目のみ)(不景気時代を薄い赤部分で着色)

もっとも、2003年あたりから金融危機が始まる2007年までは、景況感は必ずしも悪くないものの、減少傾向が確認できる。明確な理由は判断し難いが、【世代別完全失業率の推移をグラフ化してみる】などにある通り失業率はこの時期に大きな減退を示していること、【正規・非正規就業者数の詳細をグラフ化してみる】で確認する限り、この時期に非正規率が上昇していることから、労働市場の構造変化が影響しているものと考えられる。

離職率は学生にとっては特に気になる指標でもある。来年以降の値がどのような変移を遂げるのか、大いに注目したいところだ。


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