非正規雇用が多い若年層の賃金事情は…正規社員・非正規社員別、年齢階層別の賃金動向(最新)

2022/11/30 02:56

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2022-1114内閣府が2022年6月14日に発表した2022年版「子供・若者白書」では、主に若年層に関する公的資料を取りまとめ、多方面から若年層の実態を精査している。今回はその中から、若年層を中心とした雇用形態別などの賃金動向を見て行くことにする。日常生活、遊興、そして蓄財などさまざまな行動の原資となる賃金は、若年層においてどのような変化を示しているのだろうか(【子供・若者白書について】)。

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今項目で白書が用いている各種値は元々「令和3年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」からのものであり、概要はすでに【正規社員と非正規社員の賃金差は?…雇用形態別の平均賃金(最新)】で精査済み。

一応概略的に解説しておくと、正規社員(・正規職員)の方が正規社員以外(=非正規社員)と比べて賃金は高い。非正規社員は正規社員に対し7割前後の賃金にとどまっている。

↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、千円)(2021年)(再録)
↑ 雇用形態別平均賃金(男女別、千円)(2021年)(再録)

そして直近の2021年における「年齢階層別」「正規社員・非正規社員別」の平均賃金の動向は次の通り。白書では若年層のみの掲載様式に変更されているため、改めて「賃金構造基本統計調査」をたどり、値を抽出した。これによると、やはり女性より男性、非正規社員より正規社員の方が賃金は高額だが、一律に年上になるに連れて高額になるとは限らない状況にあるのも分かる。

↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(千円)(2021年)
↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(千円)(2021年)

↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(千円)(2021年)(折れ線グラフ化)
↑ 雇用形態・年齢階層別平均賃金(千円)(2021年)(折れ線グラフ化)

男女とも非正規社員の賃金は年が上になってもほぼ横ばいのまま推移している。これは正規社員における「社内でのさまざまな実績・経験による(賃金の)積み上げ」が、非正規社員には無いことを意味する。

別途記事(【20代前半の完全失業率は4.8%…若年層の労働・就職状況(最新)】)で「(若年層の少なからずにおいて)ステップアップが見込めにくい非正規雇用に甘んじなければならない」との主旨の表現を用いたが、この事象について賃金面からも裏付けられたことになる。さらに残業代やボーナス、社会保障の面では正規社員が優遇されているので、手取りの観点では正規社員との差はさらに大きくなる(企業側の社会保障が無い場合、多くの場合において自ら負担する必要が生じる)。

特殊な技術・資格を持ち、それこそ「渡り職人」「孤高の匠」のような立場ならば話は別だが、通常の非正規社員には正規社員と同じような「積み上げ」を得ることは期待できない。結果として賃金もそれ相応のものになる結果が、グラフのカーブ具合に現れている。

見方を変えると、女性の正規社員と男性の非正規社員の賃金体系は近い間柄にある(繰り返しになるが、「残業代やボーナスの面では正社員が優遇されている」ので、現実には女性正規社員の方が優遇される)。女性就労者の現状を語る一面と見ることもできよう。

なお今件は「子供・若者白書」に関するもので余談となるが、高齢層における非正規社員の場合は、将来に向けた蓄財をする必要も無く、支える世帯家族数も少なく、さらに公的年金で足りない分を確保するために就労している場合が多分を占めている。若年層の正規・非正規問題とはまた別の話であることを付け加えておく。


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