「ニート」数推移をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/06/08 10:00

内閣府は2014年6月4日、2014年版となる「子ども・若者白書(旧青少年白書)」を発表した。今回はその白書の中から、いわゆる「ニート」に相当する属性として分類されている「若年無業者」の推移について最新の情報を抽出してまとめ、過去から現在における状況の精査を行うことにする(【発表リリース:子ども・若者白書(旧青少年白書)について】)。

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「ニート」の概念と昨今の動向


「ニート」は「NEET(Not in Employment, Education or Training)」の日本語読みをしたもの。そのまま直訳すると「就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人」となる。今白書では類似概念の「若年無業者」で表現しているが、これの定義は「15歳から34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」となっている。求職活動と職業訓練はまったくの同一ではないが、当事者の意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」は大体同列のものと見なして良い。

その「若年無業者」の推移は次の通り。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2013年)
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2013年)

・直近2013年のニート総数は59万人で前年比マイナス3万人
・若年層(15-24歳)がピーク時の2002年と比べて3万人減少。しかし25-34歳は同年比較で変わらず。

若年層の人口そのものが減少していることを考慮すると、若年層の若年無業者数がわずかながら減少しているのは当然の話といえる。一方でその上の世代における人数がほぼ横ばいで推移している状況は、あまり好ましいとは言えない。

そしてもう一つの問題として考えねばならないのは、従来の日本における「ニート」こと「若年無業者数」の定義からは外れるものの、その状態を維持したまま歳を重ねた「高齢ニート(年齢以外の条件は「若年無業者」と同じ)」の存在。白書では参考資料として35歳から39歳の「高齢ニート」の数を算出しているが、こちらは漸次増加傾向にある。先のグラフの上に、この「高齢ニート」を載せたのが次の図。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2013年)
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2013年)

従来の「ニート」層が横ばいで推移しているものの、「高齢ニート」は一様に増加しており、両者を足した全体としては漸増する動きにあることが分かる。30代後半以降を「ニート」と称して良いのか否か、根本的な問題はあるが、今後大きな問題になることは確実といえる。さらに現実問題として、一度「ニート」の状態に陥ると、その立場からの脱却が難しいのも事実である。それが「高齢ニート」を生み出す原因といえる。

なお直近年2013年は、この「高齢ニート」も前年比で1万人減少しており、この層も含めたニートの累計も4万人の減となっている。一部でこの減少に関して首を傾げるとの意見もあるが、若年層人口そのもの減少、計算上の誤差(万人単位で四捨五入されている)、さらに詳しくは別途解説することになるが、フリーターは同時期に2万人増加していることから、ニートからフリーターへのシフトが起きている可能性、そのシフトも含め景況感の回復に伴う雇用市場の変化など、多数の要因を挙げることができる。特段異様な結果ではないことをここに書き記しておく。

ニートになる、ならざるを得ない原因


白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない(就業意欲はある)」「仕事に就きたくない・就けない(就業意欲が無い)」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2012年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、今白書においては2012年のものが最新。原典となる【平成24年就業構造基本調査】から詳しい値を抽出し、グラフを生成する。

↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)(最新)
↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)(最新)


↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)

「職に就きたいという思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在ケガや病気などで求職がかなわない事例がもっとも多く26.5%。次いで資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人。そして「職を探したが見つからない」が続く。一方「就業そのものを望んでいない」人もケガ・病気に寄るものが最多で3割近く。次いで資格取得のための浪人として。上位2項目への偏りがやや大きいものの、就業希望者と大きく変わるところは無い。

内容を項目別に精査すると、

・「病気・けが」などは仕方が無く、回復すれば容易にニート状態から脱せられる可能性は”比較的”高い。
・「学校以外で勉強をしている」などは先を見据えた上で自らその立場についている「若年無業者」であり、問題視されている「ニート」とは本質的な意味合いが異なる。
・「急いで仕事につく必要がない」「特に理由は無い」は、世間一般的に語られる「ニート」の筆頭に挙げられる。
・「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうにない」「知識・能力に自信がない」は、「個人の問題(努力不足、現状認識不足など)」「雇用環境の問題」双方の可能性、あるいは両方の複合的な結果による場合があり、一概に振り分けるのは難しい。

などとなり、ひとくくりで全部を「ニート」とまとめるのには多分に問題があることが分かる。また、両パターンで「その他」の回答が多いことから、さらに提示項目だけでは説明しきれない、個々の多種多彩な事情も想定される。

今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」という根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかない。その実態が、今回のデータからあらためて想像できよう。


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