「ニート」数推移をグラフ化してみる(2017年)(最新)

2017/06/14 12:02

内閣府は2017年6月13日、2017年版となる「子供・若者白書(旧青少年白書)」を発表した。今回はその白書の中から、いわゆる「ニート」に相当する属性として分類されている「若年無業者」の推移について最新の情報を抽出してまとめ、過去から現在における状況の精査を行うことにする(【発表リリース:子供・若者白書について(旧青少年白書)】)。

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「ニート」の概念と昨今の動向


「ニート」は「NEET(Not in Employment、 Education or Training)」の日本語読みをしたもの。そのまま直訳すると「就業、就学、 職業訓練のいずれもしていない人」となる。今白書では類似概念の「若年無業者」と表現しているが、その定義は「15歳から34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」となっている。求職活動と職業訓練はまったくの同一ではないが、当事者の意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」は大体同列のものと見なして良い。

その「若年無業者」の推移は次の通り。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2016年)
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(-2016年)

・直近2016年のニート総数は57万人で前年比プラス1万人。

・若年層(15-24歳)ではピーク時の2002年と比べて6万人減少。しかし25-34歳は同年比較で1万人減少に留まる。

若年層の人口そのものが減少していることを考慮すると、若年層の若年無業者数が減少傾向にあるのは当然の話といえる。一方でその上の世代における人数がほぼ横ばいで推移している状況は、あまり好ましい話では無い。

また2001年から2002年にかけて有意に若年無業者数が増加しているが、この原因は不明。白書にもそれに関する分析は無い(ニートに近しい概念として若年無業者が白書に登場したのは2005年版・2004年分、「「ニート」に近い概念である若年無業者」として文言が明確に記されたのは2006年版・2005年分以降)。タイミングも合わせ、2002年度から開始された学校完全週5日制との関連を指摘する論文も見受けられるが、因果関係までは分からない。

そしてもう一つの問題として考えねばならないのは、従来の日本における「ニート」こと「若年無業者数」の定義からは外れるものの、その状態を維持したまま歳を重ねた「高齢ニート(年齢以外の条件は「若年無業者」と同じ)」の存在。白書では参考資料として35歳から39歳の「高齢ニート」の数を算出しているが、こちらは漸次増加傾向を示しており、ここ数年でようやく減少に転じた感はある。先のグラフの上に、この「高齢ニート」を加えたのが次の図。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2016年)
↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)(-2016年)

従来の「ニート」層が横ばいからむしろ減少傾向で推移しているものの、「高齢ニート」は一様に増加し、両者を足した全体としては漸増する動きを示していた。それが2013年以降、ようやく「高齢ニート」と全体が共に減少に転じたことが分かる。30代後半以降を「ニート」と称して良いのか否か、根本的な問題はあるが、全体像としても好ましい状況となりつつある。一方現実問題として、一度「ニート」の状態に陥ると、その立場からの脱却が難しいのも事実。それが「高齢ニート」を生み出す原因といえる。

なおここ数年で「高齢ニート」が増加から横ばい、さらには減少の動きを示していたが、直近の2016年では前年比1万人増の20万人となっている。懸念が生じる動きだが、計算上の誤差(万人単位で四捨五入されている)や統計上の動向のぶれの可能性があることを呈しておく。またフリーターは同時期に12万人減少しており(167万人から155万人)、景況感の回復に伴う雇用市場や社会的認識の変化に大きな揺らぎを覚えさせる値動きとは言い切れないこともここに書き記しておく。

ニートになる、ならざるを得ない原因


白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない(就業意欲はある)」「仕事に就きたくない・就けない(就業意欲が無い)」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2012年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、今白書においては2012年のものが最新。原典となる【平成24年就業構造基本調査】から詳しい値を抽出し、グラフを生成する。

↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)(最新)
↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)(最新)


↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)

「職に就きたいという思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在ケガや病気などで求職がかなわない事例がもっとも多く26.5%。次いで資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人。そして「職を探したが見つからない」が続く。一方「就業そのものを望んでいない」人もケガ・病気によるものが最多で3割近く。次いで資格取得のための浪人として。上位2項目への偏りがやや大きいものの、就業希望者と大きく変わるところは無い。

内容を項目別に精査すると、

・「病気・けが」などは仕方が無く、回復すれば容易にニート状態から脱せられる可能性は”比較的”高い。

・「学校以外で勉強をしている」などは先を見据えた上で自らその立場についている「若年無業者」であり、問題視されている「ニート」とは本質的な意味合いが異なる。

・「急いで仕事につく必要がない」「特に理由は無い」は、世間一般的に語られる「ニート」の筆頭に挙げられる。

・「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうにない」「知識・能力に自信がない」は、「個人の問題(努力不足、現状認識不足など)」「雇用環境の問題」双方の可能性、あるいは両方の複合的な結果による場合があり、一概に振り分けるのは難しい。

などとなり、ひとくくりで全部を「ニート」とまとめるのには多分に問題があることが分かる。また、両パターンで「その他」の回答が多いことから、さらに提示項目だけでは説明しきれない、個々の多種多彩な事情も想定される。

今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」といった根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかない。その実態が、今回のデータからあらためて想像できよう。


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