2012年01月09日
「ニート」数推移をグラフ化してみる(2011年版 子供・若者白書)
2012年01月09日12:35
内閣府は2011年6月7日、2011年版の「子ども・若者白書(旧青少年白書)」を発表した。主に若年層に関する公的調査を取りまとめ、多様な視点から現状を把握できる、有益なデータが豊富に盛り込まれた資料として注目に値する。そこで今回から何回かに分けて、気になるポイントや後々別件における精査の際に役立ちそうなデータをまとめていくことにする。今回はいわゆる「ニート」の概念に近い「若年無業者数」の推移などについてである(【平成23年版 子ども・若者白書】)。今白書では「若年無業者」(15〜34歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者)を「ニート」に近い概念の者とし(もっとも最新の白書ではこの表現は用いていない)、人数の推移について報告している。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)
・ニート総数は60万人で前年比マイナス3万人
・若年層(15〜24歳)がピーク時の2002年と比べて5万人減少。しかし25〜34歳は1万人減少に留まる。
若年層の人口そのものが減少していることを考慮すると(【全国勢調査「95年分」の子供・成人・老人比率推移をグラフ化してみる(2010年国勢調査反映版)】)、若年層の若年無業者数が減少しているのも当然といえる。しかし今件については「絶対人数」だけでなく「各年齢層毎の人口比」も問題視されるべきであり、人数の減少だけで事態が改善されたと見るのは早計に過ぎる。
もう一つの問題として考えねばならないのは、従来の「ニート」「若年無業者数」の定義からは外れるものの、状態を維持したまま歳を重ねた「高齢ニート(年齢以外の条件は「若年無業者」と同じ)」の存在。白書では参考資料として35〜39歳の「高齢ニート」の数を算出しているが、こちらは漸次増加傾向にある。先のグラフの上に、この「高齢ニート」を載せたのが次の図。

↑ 若年無業者数(≒ニート)の推移(万人)(参考属性追加)
従来の「ニート」層が漸減しているものの「高齢ニート」は一様に増加しており、両者を足した全体としては横ばい、最新の2010年でようやく減少に転じている動きが分かる。30代後半以降を「ニート」と称して良いのか否か、根本的な問題はあるが、今後大きな問題になることは確実。そして現実問題として、一度ニートの状態に陥ると、昨今の不景気も拍車をかける形で、その立場からの脱却が難しい。それが「高齢ニート」を生み出す原因といえる。
●ニートになる、ならざるを得ない原因
白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない」「仕事に就きたくない・就けない」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2007年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、現時点では2007年のものが最新。激変した昨今の情勢を考慮すると、「今現在」とは多少ながらも状況を違えている可能性もあるが、最新のデータとして挙げておく。

↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2007年)

↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2007年)
「職に就きたいという思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在ケガや病気などで求職がかなわない事例がもっとも多く28.9%。次いで資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人。そして「自信が無くて求職するだけのモチベーションが出てこない」が続く。一方「就業そのものを望んでいない」人もケガ・病気に寄るものがもっとも多く3割超。次いで資格取得のための浪人として。上位2項目への偏りがやや大きいものの、就業希望者と大きく変わるところは無い。
内容を項目別に精査すると、
・「病気・けが」などは仕方が無く、回復すれば容易にニート状態から脱せられる可能性は”比較的”高い。
・「学校以外で勉強をしている」などは先が見える「若年無業者」であり、問題視されれている「ニート」とは本質的な意味合いが異なる。
・「急いで仕事につく必要がない」「特に理由は無い」は、世間一般的に語られる「ニート」の筆頭に挙げられそう。
・「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうにない」「知識・能力に自信がない」は、「個人の問題(努力不足、現状認識不足など)」「雇用環境の問題」双方の可能性、あるいは両方の複合的な結果による場合があり、一概に振り分けるのは難しい。
などとなり、ひとくくりで「ニート」とまとめるのには多分に問題があることが分かる。また、両パターンで「その他」の回答が多いことから、さらに提示項目だけでは説明しきれない、個々の多種多彩な事情も想定される。今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」という根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかないことがあらためて想像できるというものだ。
■関連記事:
【2009年版の青少年白書のニート関連をグラフ化してみる】
【2010年は183万人、前年比で5万人増加・フリーターの推移をグラフ化してみる】
これらの書籍が参考になります
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