交通事故による2011年の死亡者、前年比マイナス5.2%の4611人に

2012/01/06 06:24

交通事故警察庁は2012年1月4日、2011年における全国の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)の数が4611人となり、昨年の4863人から5.2%減少したことを発表した。死亡者の減少は2001年以来11年連続してのもので、過去最悪だった「第一次交通戦争」と呼ばれた1970年の1万6765人の3割足らずにまで減少している(【e-Statのリリースダウンロードページ】)。

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まずは以前の統計データや今回発表されたデータを照らし合わせ合算し、過去20年間における年間交通事故死亡者数の推移をグラフ化する。冒頭でも説明したが、今データにおける「死亡者」は、事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。統計ではその他に30日以内の場合の「30日以内死者数」、さらには厚生労働省のデータとして「1年以内死者」も存在する(後述)。

↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移
↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移

多少の変動はあれど、確実に減少している状況が分かる。

これを元に、年間死亡者数の前年比(減少率)を算出したのが次の図。数字のプラスが大きいほど、死亡者数が減少している割合も大きいことを意味する。

↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者前年比「減少」率推移(プラスが大きいほど死亡者数の減少割合も大きい)
↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者前年比「減少」率推移(プラスが大きいほど死亡者数の減少割合も大きい)

前世紀末、2000年ごろまでは多少のぶり返しもあった。しかし今世紀に入ってから、特に2005年以降は一貫して減少率が上乗せされ、死亡者数が加速度的に減少している様子が実感できる。2008年以降は減少幅が落ち着きを見せ、直近データにおいては5.2%に留まっている(とはいえ、減少していることに違いは無い)。

先の定義にあったように、この数字はあくまでも「事故発生から24時間以内」のもの。発表を見聞きした人の中には「望みが無くとも24時間は延命させて、都合の悪い数字減らしをしているのでは」と考える人もいる。しかし実際にはその考えは正確ではない。最新の2011年分を反映させたものは今月末あたりに更新されるだろうが、1年前の2010年分までのデータを盛り込んだ包括的な報告書【平成22年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について】がe-stat、そして【警察庁の統計ページ】には用意されており、そこには「交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移」のグラフが確認できる。そのグラフでは24時間に限定せず、「30日以内」、さらには厚生労働省統計の「1年以内」の数も含まれている。そしてこれらの値を眺めれば、この15年前後来すべての値が減少しているのが把握できる。

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)

大きめのグラフに文字を加えたが、1960-1970年における「第一次交通戦争」は経済発展の中で自動車、特に商用車の急速な普及と共に、立ち遅れた交通行政と自動車社会に対する啓蒙不足、法整備不足が原因。「第二次交通戦争」は自動車交通の加速化に対して行政の対応が間に合わなかった(環境整備予算、人員数、若年層への啓蒙)とする意見が有力。

しかし第二次交通戦争以降は

・車両台数は増加、その後十年強の間は横ばい(グラフは略。昨年記事参照)
・事故発生件数、負傷者数は上昇、その後横ばいから、直近数年間は減少の傾向
・死者数(24時間以内、30日以内、1年以内)は一環して減少

の様相を見せている。特にこの過去10年間において事故の発生件数と負傷者数が横ばいから、直近6年来は低下傾向にある一方、各種死者は一様に急速に減少しているのは注目に値する。

これら一連の減少傾向について警察庁のレポートなどによればその原因として、

・シートベルト着用者率の向上(【シートベルトとエアバッグのデータをグラフ化してみる-「戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる」後日談】なども参照)
・事故直前の車両速度の低下(安全運転の徹底化や取り締まり・法令強化、警告装置の充実)
・悪質・危険性の高い事故の減少
・歩行者の法令遵守
・自動車技術の進歩(エアーバック、ABS、車体構造、シートベルト)
・シートベルト着用、飲酒運転などに関する交通ルールの規制強化
・医学、生存技術の進歩による事故死の減少(事故数と負傷者数が比例していることも裏づけ)

などの複合効果による成果としている。一つ一つだけでは決定打となるものではないが、これらの対策が積み重なり、確実に交通事故による悲劇を減らしている。それは上記の各種データからも明らか。

なお、やや蛇足ではあるが、交通事故全体の死亡者数は減少傾向にあるものの、自転車におけるそれは全体の減少と比べて減少率が緩やか。結果として交通事故全体に占める自転車事故の事故件数・死傷者率は横ばい-増加傾向にある(【自転車事故、交通事故全体に占める比率は2割を維持(2010年分反映版)】)。自転車は自動車と比べて利用ハードルが低く、安全装置の類も自動車と比べて設置しにくいため、「万が一」の時の対応が難しい。さらに【警察庁、自転車の歩道通行への対応見直しを通知】でも指摘しているように、震災後は自転車利用者が急増して、多様な問題が発生している。「自転車だから」と油断せず、くれぐれもご注意されたい。

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