世界の対外債務状況をグラフ化してみる(2012年1月作成版)

2012/01/06 06:33

お金計算年も明けて良い機会ということもあり、先日から過去の記事でリクエストの多かったものについて、データ更新や表記方法の見直しを手掛けている。今回は2年ほど前に掲載した【世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる】【日本の対外債務は? 世界の対外債務国ワースト20をグラフ化してみる(追補編)】の双方について、直近のデータを元に算出し、グラフの再構築を行うことにした。

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前回通りの切り口ならCNBC.comの【The World's Biggest Debtor Nations】から最新のデータを取得すれば良いのだが、いくつか腑に落ちない点があったので、さらにデータをさかのぼり、【世界銀行のデータベース】から必要な値を抽出することにした。対象はCNBC.comの記事と同様に経済規模の大きい75か国(データベースのうち「Quarterly External Debt Statistics/SDDS」を用いるため。この項目では75か国をトレースしている。中国などが含まれていないことに注意。また、他の値との参照の事情から、実質的には69か国が対象となる)。

以前の記事の説明の通り、発行された債券のうち外国が購入したものは、国単位での借金となる。たとえ話で解説すると、「Aさんの家庭でお金が足りないから、隣のBさんから5万円を借り受け、その証書を発行する」ようなもの。Aさん・Bさんは別々の国(家庭・家計)な次第。このうち、国が発行したものは政府(公的)部門の債務、民間企業が発行したものは民間部門の債務となる。今回挙げている「対外債務」は概して「民間」と「政府」の債務を合算したもの(Gross External Debt)を指す。

まずは純粋な対外債務額上位国。2011年第2四半期時点のもので、米ドルベースで換算したもの。

↑ 対外債務総額(兆ドル・2011年第2四半期)
↑ 対外債務総額(兆ドル・2011年第2四半期)

前述している通り政府・民間の合算であること、資産を勘案した純資産額ではないこと(対外債務を多数抱えていても、それ以上の債権を有していることも少なくない)、各国の経済規模は考慮されていないことに留意する必要がある。例えばジュース1本分の借金でも、月500円のお小遣いの子供と、月5万円の小遣いをもらっているサラリーマンとでは、負担が大きく異なるのと同じである。

実質的な負担を知るのには、総額以外に国単位での負担の度合いを考える必要がある。そこで各国のGDP(国内総生産。gross domestic product)を同じく世界銀行のデータベースから抽出し(該当国の値が揃っている2010年のものを利用)、対外債務総額のGPD比率を算出したのが次のグラフ。直上のたとえなら、「月500円のお小遣いでは120円のジュース代は大きな負担となる」「月5万円の小遣いなら、120円のジュース代はほとんど苦にならない」のような状況を確認できる。

↑ 対外債務総額GDP比率(2011年第2四半期、GDPは2010年)
↑ 対外債務総額GDP比率(2011年第2四半期、GDPは2010年)

飛びぬけて高いのはルクセンブルグ(CNBCのデータでは特異値として除いていたようだ)。これは【ルクセンブルグ・モデル】などの解説によると、アイスランド同様に「巨額のお金を海外から借り入れ、それをより高利回りな金融商品(例:サブプライムローンを含んだ証券化商品など)に投資することで、利鞘を稼ぐ」ことを主な生業としているため(俗に言う「金融立国」)。上手く立ち回れているうちは非常に良い収益が期待できるが、2007年以降の金融危機のような状況になると、大きな痛手を受けることになる。

またこの手法は主に「(人口面で)小国」「資源や産業に乏しい国」が国の財政面を支えるためによく行われたもので、上位にはその条件に合致する国が並ぶ。なお繰り返しになるが、今値は「対外債務総額」比率であり、政府債務のそれではないことに注意する必要がある(イギリスの値が400%を超えているが、政府債務額比では70%を切っている(【Euro convergence criteria】))。ちなみに同一条件下では日本の値は49.8%。上から数えて46番目な次第。

最後に対外債務を、単純に各国人口で割った値。「国民一人あたりどれほどの対外債務を背負っているか」を示したもの。

↑ 対外債務総額・国民人口比率(2011年第2四半期、万ドル/人、人口は2010年)
↑ 対外債務総額・国民人口比率(2011年第2四半期、万ドル/人、人口は2010年)

こちらは直上のグラフ以上に、ルクセンブルグの突出度が際立つ結果となった。それを除くとアイルランド、アイスランド、スイス、オランダと、やはり似たような国が並ぶ。ちなみに日本は約2.1万ドルで、上から26番目となる。



今件はあくまでも民間と政府の対外債務をすべて合算した値をベースとしており、【主要国の対外純資産額をグラフ化してみる(2010年分反映版)】でも触れている通り、一概に絡めて検証するのは問題では、とする意見もあることを付け加えておく。一方、二つの記事を合わせ読むことで、国内外の債務状況が少しは明らかに見えてくることだろう。

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