主要国の対外純資産額をグラフ化してみる(2010年分反映版)

2012/01/05 12:10

資産イメージ年も明けて良い機会ということもあり、先日から過去の記事でリクエストの多かったものについて、データ更新や表記方法の見直しを手掛けている。今回は2年ほど前に掲載した、主要国の対外純資産額をグラフ化して精査した記事の各種データ・グラフを更新することにした。今記事は債務と債権を相殺した、いわゆる「対外純資産額」を試算したもので、各国の財務状況をかいま見ることができる値である。

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日本を含めた主要国の対外資産、対外負債、そしてそれらを合算した対外純資産額だが、これは財務省の【本邦対外資産負債残高内統計表一覧】から、【平成22年末 本邦対外資産負債残高の概要】で直近データを得ることができる。ちなみに対外(該当国が他国に対する)純資産は「対外資産」プラス「対外負債」で算出可能。そして「資産」「負債」については『金持ち父さん 貧乏父さん』の言葉を借りて簡単に説明すると、

・資産……「財布の中にお金を入れてくれるもの」

・負債……「財布からお金を取っていくもの」

となる。今件ではさらに国単位で区分した際に「資産……海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債……海外から色々な形で借り受けているもの」と考えてればよい。

さて「平成22年末 本邦対外資産負債残高の概要」の中から【主要国の対外純資産、為替相場の推移(PDF)】を元にグラフ化した、主要国の対外純資産、つまり対外資産と対外負債を相殺した純資産(マイナスならば純負債)のグラフが次の図。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

ちなみにこれらは民間部門と公的部門を合わせたものの合計。日本に限ればその内訳は【平成22年末現在本邦対外資産負債残高】に記載されており、それをグラフ化したのが次の図。

↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2010年末)
↑ 日本の対外純資産内訳(兆円、2010年末)

大部分が民間による取得であることが確認できよう。

何か不測の事態が生じた際、民間部門の資産が公的部門同様にコントロールできるとは限らない。二世代世帯における、「住宅を保有する親夫婦」と「同居する子供夫婦」の資産を合わせたようなものと考えれば良いからだ。とはいえ住宅に居住する単位(=国単位)で考える際には、今件は十分以上に役立つ指針となる。

日銀でもう少し詳しい資料を
今回も前回記事同様に、もう少し詳しく主要国の対外資産・対外負債について調べを進めることにする。日本銀行では【日本銀行レポート・調査論文】で毎年定期的に対外資産・負債の残高を「-年本邦対外資産負債残高」にて公開している。ここから最新のデータ【2010年末の本邦対外資産負債残高】【同詳細(PDF)】を元に、先のグラフの詳細版と、資産・負債を合わせたグラフを創ったのが次の図。

↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

↑ 主要国対外資産、負債残高・純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外資産、負債残高・純資産(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

ドイツ、フランス、イギリス、アメリカなどの欧米諸国は資産も負債も山ほど抱えており、そのバランスが少々崩れているせいで多くの国がマイナスに傾いていることが分かる。これらの値は他国に対するものであり、いかに欧米諸国が他国との資金のやり取りを活発に行っているかが分かるというものだ。

なお元資料には純資産額のGDP比も掲載されていたので、これもグラフ化しておく。

↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)
↑ 主要国対外純資産GDP比(兆円)(公的+民間)(2010年末、*は2009年末)(為替レートは各年末IFSレートで算出)

香港やスイスが相当大きな値を示している。極端な表現だが、香港の場合ならばすべての債務・債権を清算した場合、香港が1年間に稼ぐ総生産額の3倍を手にすることができる計算。一方でスペインは(この視点では)危険なラインに達しているように見える。

無論資産も負債もすぐに換金・償還されるわけではなく、相殺することに深刻な意味合いは無い(古切手や古銭、美術品を山ほど抱えていても、大金が必要になった時にすぐに換金できるわけではないのと同じ)。他の値も合わせ、その国の財政状態を概要的に知る程度のものでしかない、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべきだろう。

同時に今件は2010年末時点の各値であり、特に欧州方面で債務問題が顕著化したことを考えれば、今年の半ばに発表される2011年分のデータがどのような変移を遂げるのかが気になるところだ。

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