高齢者の仕事事情をグラフ化してみる(高齢社会白書(2011年版))

2012/01/08 06:24

働く高齢者内閣府は2011年6月7日、2011年版の高齢社会白書を発表した。日本の高齢化の現状や将来予想をまとめたもので、日本の社会情勢を推し量る重要な資料を多数盛り込んだ、注視すべき白書の一つである。今回はその中から、日本、そして比較対象としていくつかの諸外国の高齢者における、就業状況・意向について見て行くことにする(【高齢社会白書(2011年版)】)。

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まずは高齢者の就業・不就業状況。大本のデータが総務省の【就業構造基本調査】で、これは5年おきに実施されていることから、直近データはやや古めの2007年のものとなってしまっている。昨今の金融不況などの影響が反映されていないが、大まかな状況の把握には事足りる。

↑ 高年齢者の就業・不就業状況(2007年)
↑ 高年齢者の就業・不就業状況(2007年)

定年が60歳から65歳にスライドされる過程での調査なこともあり、60-64歳においても7割以上が就業している(雇用者以外に役員や自営業者含む)。そして65歳を過ぎても男性では過半数、女性では3割近くが就業状態にある(多分に自営業者を含むことに注意。例えば男性65-69歳では50.1%のうち17.1%が自営業者)。

また「不就業者・就職希望」の比率を見ると、男性は歳を経るにつれて増加しており、退職などで職を離れた男性でも少なからずの人が、再び職に就きたいと考えていることがうかがえる。

↑ いつまで働きたいか(60歳以上有職者対象)
↑ いつまで働きたいか(60歳以上有職者対象)

実際、60歳以上で働いている人に「いつまで働きたいか」と聞いたところ、4割前後の人が「働けるうちはいつまでも」、1/4ほどが「70歳くらいまでは」と答えているのが確認できる。状況が許せば「70歳までは(あるいは以上)職に就きたい」と考えている人が多数のようだ。

ではなぜ働き続けたいのか。その一端が把握できるのが次のグラフ。現在職についていないが、収入を伴う仕事をしたいと考えている高齢者に、その理由を聞いたものだが、「収入が欲しいから」とする意見がもっとも多く5割強、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」となっている。

↑ 収入を伴う仕事がしたい理由(2010年)(国際比較)(60歳以上男女対象)(現在仕事をしていないが収入を伴う仕事がしたいと考えている人限定)
↑ 収入を伴う仕事がしたい理由(2010年)(国際比較)(60歳以上男女対象)(現在仕事をしていないが収入を伴う仕事がしたいと考えている人限定)

日本は他国と比べて「働くのは体によいから、老化を防ぐから」「仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから」の値が高く、仕事そのものの興味関心よりも、仕事を通じて得られる間接的なもの(収入、健康、他人との接点)を求めている傾向が強いのが分かる。

「機会があれば出来るだけ長く」「仕事の内容そのものよりも、仕事から得られる便益に焦点」が高齢者の労働性向といえるが、雇用情勢は次の通りとなっている。

↑ 60-64歳の就業率推移
↑ 60-64歳の就業率推移

↑ 年齢階層別完全失業率推移(各年平均値)
↑ 年齢階層別完全失業率推移(各年平均値)

直近では好景気時に大幅に改善したが、2007年以降の金融危機に伴う不景気により明らかに悪化が見られる。特に失業率の大幅な上昇が目に留まる。

もっとも「高年齢者等雇用の安定等に関する法律」の改正が2006年4月から施行され、企業においては定年の引き上げや継続雇用制度の導入、定年制そのものの廃止のいずれかの選択肢を義務付けられたこともあり、今世紀に入ってからの中期的な流れで見ると、改善の方向にある。特に直近では女性の60歳代前半の就業率上昇が目に留まる。



労働市場が供給過多ならば高齢者の就業率向上も大歓迎な話となるが、現状はそうとは言い難い。直近のデータでは(【一般職業紹介状況(平成23年11月分)について】)有効求人倍率は0.69倍。これに職種や技能などを考慮すれば、さらに状況は厳しいことがうかがえる。

単に就業の「パイ」の切り方を変えるのではなく、パイ全体を大きくして多くの人に行きわたることを考えねばならないことは、以前【2005年は3.3人で1人、2055年には…? 何人の働き手が高齢者を支えるのかをグラフ化してみる(高齢社会白書(2011年版))】でも解説した通り。さもなくば、本来高齢者を支える立場にある若年層の足元を、就業・経済面ですくう状況になりかねないのは言うまでも無い。


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