「高齢世帯ほどお金持ち」は当然だが…世帯主の世代別貯蓄額推移をグラフ化してみる(高齢社会白書(2011年版))

2012/01/05 12:00

お金勘定内閣府は2011年6月7日、2011年版の高齢社会白書を発表した。日本の高齢化の現状や将来予想をまとめたもので、日本の社会情勢を推し量る重要な資料を多数盛り込んだ、注視すべき白書の一つである。今回はその中から、以前【年収ピークは50代、では貯蓄は?…二人以上世帯の平均年収や貯蓄高をグラフ化してみる】などでも触れた、「世代間の貯蓄額の違い」などについて見て行くことにする(【高齢社会白書(2011年版)】)。

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歳を取っている人ほど働いている、お金を稼いでいる期間は長くなり、貯蓄する機会も多くなる。毎月同じ額だけ貯蓄をしていれば、3か月後より3年後の方が貯蓄額が多くなるのは当然の話。世帯主の年齢で区切った上で各世代ごとの貯蓄額を見ても、貯蓄は世代が上になるほど増えていくのは道理といえる。

↑ 世帯主の年齢階級別1世帯当たりの貯蓄・負債、年間収入、持家率(2009年)
↑ 世帯主の年齢階級別1世帯当たりの貯蓄・負債、年間収入、持家率(2009年)

40代にかけて負債が増えるのは、【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】などで解説している通り、住宅ローンの負担によるもの。「持家率」の上昇も、それを裏付けている。50代に入ればローン完済組が増えるために負債額は減り、年収も増えるため、金銭的なプレッシャーは減少していく。60代になれば(定年退職組が出てくるため)年収は減るものの、退職金などの上乗せで貯蓄額は増加の一途をたどる。持ち家率も9割を超え、家賃による家計への負担も極少化される。

全般的には高齢世帯ほど金銭的に余裕があるように見えるが、もちろんこれは全体平均としての値。実際には多種多様な世帯が存在し、貯蓄が100万円に満たない世帯もあれば、4000万円を超す世帯もある。そこで「全世帯」、そして「世帯主65歳以上に限定した世帯母体」それぞれで、貯蓄の現在高分布を記してみたのが次のグラフ。

↑ 貯蓄現在高階級別世帯分布(2009年)
↑ 貯蓄現在高階級別世帯分布(2009年)

↑ 貯蓄現在高階級別世帯分布(2009年)(面グラフ)
↑ 貯蓄現在高階級別世帯分布(2009年)(面グラフ)

やはりひと目で、高齢世帯母体における「4000万円以上」世帯の比率が高いのが確認できる。これは前述したように、退職金による上乗せによるところが大きい。面グラフにすると、高齢世帯母体において貯蓄額が多い世帯が、全体よりも多い傾向にあることがはっきりとわかる。

これは前述の通り「経年蓄積」によるものであり、同時に【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる(2010年版)】などで示されている通り、年金だけでは不足する生活費のための切り崩し用の資財に他ならない。

↑ 高齢者世帯の家計収支
↑ 高齢者世帯の家計収支(収入面、2010年)(再録)

一方で、若年層の貯蓄が少なく、金銭的に余裕が無い事もまた事実。特に40代まではローンもかさみ、(持ち家率が少ないため)家賃負担も大きい。その上可処分所得の漸減などもあり、40代までは貯蓄性向が高まりつつあるという調査結果も別調査で見出すことが出来る。

↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別、調査回推移、「楽しむ」-「備える」の値)
↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別、調査回推移、「楽しむ」-「備える」の値)(【「アリ」か「キリギリス」か、全体では3対6だが……】から再録)

お金周りに関する(特に消費関連)アプローチにおいては、各世代の事情への十分な配慮が求められる。各世代のお財布事情、将来に向けた金銭感覚は「数十年前」と「現在」では大きく異なることに留意しなければ、大きな空振りに終わることは容易に想像できるというものだ。

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