2005年は3.3人で1人、2055年には…? 何人の働き手が高齢者を支えるのかをグラフ化してみる(高齢社会白書(2011年版))

2012/01/04 06:28

支える内閣府は2011年6月7日、2011年版の高齢社会白書を発表した。日本の高齢化の現状や将来予想をまとめたもので、日本の社会情勢を推し量る重要な資料を多数盛り込んだ、注視すべき白書の一つである。今回はその中から、以前【50年前16.5人、今3.5人・高齢化社会を表す一つの数値】などでも触れた「(実質的に生産への寄与が難しい)高齢者を、生産年齢に該当する人口が支えて行く際の負担率」、言い換えれば「何人の働き手が1人の高齢者を支える社会となるのか」について見て行くことにする(【高齢社会白書(2011年版)】)。

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生産年齢人口を15-64歳とし、高齢者を65歳以上と設定。その上で単純に人口比を計算すると、1960年時点では11.2人の生産年齢人口で1人の高齢者を支えることになる。これが2005年時点では3.3人。2055年では1.3人にまで減少する。

↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると
↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると

↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると(2005年以降限定)
↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると(2005年以降限定)

白書では試算として「70歳以上を支える場合(65-69歳は生産年齢人口が支える対象外)」「75歳以上を支える場合(65-74歳は生産年齢人口が支える対象外)」も提示しているが、状況に大きな違いは無い。これは総人口と生産年齢人口の漸減、高齢世代人口・特に75歳以上人口が漸増していくからに他ならない。

↑ 65歳位以上人口推移(万人、2010年以降は推定)
↑ 65歳位以上人口推移(万人、2010年以降は推定)(再録)

↑ 65歳位以上人口推移(総人口比、2010年以降は推定)
↑ 65歳位以上人口推移(総人口比、2010年以降は推定)(再録)

しかもこれは生産年齢人口全員が「支えるだけの資質を有している」のが前提。失職状態で生産の担い手として勘定できない場合、実質的な生産年齢人口はさらに減り、支える人達の負担は増大する。

数字のトリック的な試算として白書では「定年の延長」を前提とし、生産年齢人口を64歳から69歳まで5年間引き上げた場合の状態変移を示している。

↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると+仮に仮に15-69歳を支え手とすると70歳以上を何人で支えるのか
↑ 高齢世代人口と生産年齢人口比率…生産年齢人口(15-64歳)を支え手とすると+仮に仮に15-69歳を支え手とすると70歳以上を何人で支えるのか

しかし大勢に変化がないのはグラフが示した通り。さらに【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】でも示しているが、若年層の失業率が高い現状で、さらに定年を引き上げる措置などを行えば、いわゆる「労働機会というパイの奪い合い」は加速化する。支えるべき生産年齢人口の「人数」は増えても、実質的な「支え手」は変わらず、むしろ減少の可能性すら出てくる。

つまり「支える側と支えられる側のバランス調整のために定年を上げるのなら、労働機会そのものの拡充が前提」であり、「単に定年の引き上げだけを行えば労働機会の奪い合いで”生産労働人口で高齢世代人口を支える”という図式の崩壊が深刻化する」ことになる。そして現時点では定年引き上げこそないものの、労働機会そのものの減少で求人倍率が1倍を切ることも珍しく無く、さらに嘱託や再雇用、非正規雇用などの経由で高齢者の雇用が促進されており、支える側の足元すら脅かされているのが実情。

「労働機会というパイ」を増やすには、ひとえに内需拡大・労働需要の拡大が必要となる。支え手そのものの増加につながる少子化対策と合わせ、抜本的な施策の断行が求められよう。さもなくば「生産年齢人口が高齢世代人口を支える」という前提すら、再検討が求められる事態となるかもしれない。

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