貯蓄額が多い=色々と余裕が?… 貯蓄額別・日頃のお金の使い道をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)

2011/12/26 06:36

先日の【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】を皮きりに、総務省統計局による【家計調査報告】を元にした各種記事について、2010年分のデータ更新を反映させた上でグラフの再構築や記事内容の再検証などを行っている。今回は「二人以上世帯」という限定はあるが(元々「家計調査」の貯蓄・負債項目のデータは「二人以上世帯」のみ)、貯蓄額別・日頃のお金の使い道をグラフ化して内容を精査した記事の更新を行うことにする。

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今「家計調査」は全国のすべての世帯(学生の単身世帯を除く)を対象として家計収支の調査を行い、各種世帯の特性による集計結果によって、日本国民生活の実態を毎月明らかにし、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を得ることを目的としている。調査期間は原則毎月。対象は毎月6分の1ずつが差し替えられる。調査方法は基本的に調査票を用い「調査員による質問」「記入された調査票の回収」などによる。

データの取得方法手順は【家計調査(貯蓄・負債編)調査結果】から要約ファイルを選び、「IV 貯蓄・負債現在高階級別の収支 1.二人以上の世帯の状況」の各データを用いる。過去データが必要な個所は昨年までの入力データを流用する。

今件記事で取り上げる「消費支出」について説明しておくと、次の通りとなる。

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)

要は「手取りの中から実際に色々と社会生活の中でお財布から出していく金額」を意味する。

まずは「一か月あたりの」貯蓄現在高階級別消費支出。要は現在貯蓄をどれだけ持っているか別・一か月にどれだけ生活費を費やしているかの違い。少々考えれば分かるように、そして実際「家計調査報告」にも記載されている通り、「貯蓄現在高が大きい人ほど収入も大きい」傾向がある。そして税金や社会保険料なども収入が上がれば増えるが、完全な正比例なわけではないので、当然「貯蓄現在高≒収入が大きい方が、消費(できる)支出額も大きくなる」という理屈になる。

↑ 貯蓄現在高階級別消費支出(万円、2009-2010年)(一か月あたり)
↑ 貯蓄現在高階級別消費支出(万円、2009-2010年)(一か月あたり)

実際、貯蓄額の違いにより最大で6割近くの消費支出の違いが出ている。また、2009年の値と比べると、全般的に低貯蓄層ほど減少額・減少比率が高く(高貯蓄層ではプラスの区分も多い)、低貯蓄≒低所得層ほど、一層首が回らなくなっていることが想像できる。

以前【エンゲル係数の推移をグラフ化してみる】の「エンゲル係数」の考え方でも触れたが、何人ものメイドさんを抱えるようなよほどの富豪でない限り、多少収入が大きくても「食費」が跳ね上がったり「光熱・水道費」が急上昇するわけではない。よって、消費支出そのものが大きくなれば、「食費」「光熱・水道費」の”割合”は漸減していく。

↑ 貯蓄現在高階級別消費支出の費目別構成比
↑ 貯蓄現在高階級別消費支出の費目別構成比(2010年)

逆に「貯蓄現在高≒収入」が大きいほど「その他の消費支出」「教養娯楽」の2項目(一番上と上から二番目)比率が増加しているのも確認できる。「その他の消費支出とは」「諸雑費」「こづかい」「交際費」「仕送り金」などからなり、要は「色々雑多に自分の自由意思で使えるお金」。消費支出額そのものも増え、それに占める割合も増えるのだから、当然「貯蓄現在高≒収入が大きい方が色々と自分の思う通りにお金を使い回せる」ことになる。当然といえばそれまでなのだが、今件はあらためて、その「当たり前」に数字的な裏付けをした形となる。

また、昨年データと比較すると「その他の消費支出」は低貯蓄-中程度の貯蓄層までは比率が減っているのが確認できる。消費支出額が減り、比率も減るのだから、当然「その他の消費支出」も大きく減る。直上の「低貯蓄≒低所得層ほど、一層首が回らなくなっている」は、主に「自由裁量の利く、主に娯楽系の資金」にしわ寄せされているようだ。



元資料には消費支出全体に占める各項目の比率だけでなく、平均絶対額も記されているが、それを見ると色々な生活様式もかいまみれる。例えば上の比率図からも確認できるように、「住居費」は「低貯蓄者は高め」「中堅層は安め」「高貯蓄者はやや高め」。これは実金額を見ると

・低貯蓄者……賃貸住宅が多く家賃が反映される事例が多数に及ぶ&消費支出総額も低めなので比率が高くなる
・中貯蓄者……賃貸住宅利用者以外に持ち家の人も増えてくる。住宅ローンを支払い終われば住居費はほぼゼロになるため、平均額も低くなる(消費支出総額は漸増するので比率は漸減)
・高貯蓄者……持ち家率は高いが賃貸住宅利用者の賃料は飛びぬけて高くなる。よって平均値は多少高くなる。しかし消費支出総額も高いので、住居の比率は多少上がる程度でおさまり、低貯蓄者ほどのものではない

などの傾向が確認できる。また、低貯蓄層ほど「有業人員」も大きい傾向があり、多分に共働き率が高いことを示唆している。

これらはあくまでも平均値なので参考程度でしかないが、グラフや数字を眺めていると、他にも色々な事柄が見えてくるはずだ。

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