株価下落の影響が日米共に、日本は「保険・年金準備金」が増額(日米家計資産推移:2011年3Q分)

2011/12/22 06:22

日本銀行は2011年12月21日、2011年第3四半期(7-9月)における資金循環の日米比較に関するレポートを公開した。それによるとアメリカは「投資信託」「株式・出資金」額は減少したものの、他の項目、特に「債券」額の増加が著しく、金融資産をより低リスクの商品に移行する傾向にあることが分かった。他方日本は全般的に減少傾向にあるものの、「保険・年金準備金」が額を増加させているのが確認できる。両国とも多分に株価下落の影響が見受けられる(【リリース掲載ページ】)。

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今リリースは日本銀行が年4回定期的に速報値として発表しているもの。それに伴い以前掲載した過去の記事から連携・連動させる形で色々とグラフ化・考察を行っており、今回はその最新版データに基づいた記事となる。

まずは直近、2011年第3四半期(3Q)時点での、日米の家計における資産構成比率。日本が「現金・預金」に大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」「債券」を大量に保有している図式に変わりは無い。なお今回は、数回前から元資料に掲載されるようになったユーロエリアについても、参考の形で掲載した。

日米家計金融資産構成比率比較(2011年3Q)
↑ 日米家計金融資産構成比率比較(2011年3Q)

3者とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じであること、「現金・預金」と「投資信託」「株式・出資金」などの有価証券保有比率がユーロ圏は日米の中間にあることなど、興味深い傾向が確認できる。

これをいつもの通り日米別に、その推移をグラフ化する。まずは日本。構成比率と絶対額の推移を確認する。

日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年3Q)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年3Q)

日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年3Q)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年3Q)(単位:兆円)

直近数年(2008年前後)で「現金・預金」の比率が大きく伸びたのは、貯金額そのものが増えたのも多少はあるが、それ以上に株価の低迷によるところが大きい(相対的に「現金・預金」比率が上がったという理屈。また損切りによるポジション整理も多分にある。「株式・出資金」の額・比率が同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きが理解できる)。

今期においては冒頭で触れたように、株価下落のあおりを受けてか、「株式・出資金」などにおいて額面・比率共に大きな減少が確認できる。もっとも「株式・出資金」の比率減退は去年から継続している動きなので、今期は単に「少し足を早めただけ」なのかもしれない。

一方アメリカ。

米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年3Q)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年3Q)

米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年3Q)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年3Q)(兆ドル)

アメリカの該当期の株価動向は、日本同様下落傾向にあった。この流れの中で「投資信託」「株式・出資金」共に大きく減退しているが、同時に「債券」が大きく増えているのが分かる。昨年までの同期の動きと比較しても「季節変動」でも無いことも確認できる。冒頭でも触れたように、「リスク商品の低リスクスライド化」が起きているものと思われる。

グラフには記載していないが、家計金融資産の総額は2011年3Q時点で日本が1471兆円、アメリカが47.7兆ドル。これはそれぞれ直近前期から(日本)マイナス1.34%・(アメリカ)マイナス2.85%の変移となっている。為替レートの問題もあるため両国間の額面での単純比較はできないが、それぞれの国において3か月でどれだけ家計の金融資産の評価額が取り崩し・積上げされたか、そしてその上昇率からそれぞれの国の景気の勢いが推し量れよう(ちなみに為替レートは同年7月1日から9月30日までの間に、3円強の円高ドル安に推移している)。

今期は日米共に株価の下落で資産そのものが減退し、アメリカでは株価下落から「手堅い金融資産への」、日本では中期的に継続している流れが(震災を経ての心理的変化を受けてか)加速する形で「現金など流動性の高い貯蓄への」マネーシフトが起きているように見える。前回記事での言及「日本ではこれまで以上に確実性・安定性の高い金融資産への移行が予想される」が(金融資産ではなく預貯金にまでスライドしてしまったが)裏付けられた形だ。

今データは概要的な範囲でしかないが、大まかな流れをつかみ取るには十分といえる。今後も中長期的な視野で、その動きを見極める必要が求められよう。


※2013.06.25.更新
今件記事は説明が多分に重なる部分などを省略した簡略版です。全体版及び最新版については【日米家計資産推移(日銀)最新記事】にて掲載しています。

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