世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)

2011/12/24 12:00

お金先日の【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】を皮きりに、総務省統計局による【家計調査報告】を元にした各種記事について、2010年分のデータ更新を反映させた上でグラフの再構築や記事内容の再検証などを行っている。今回は「二人以上世帯」という限定はあるが(元々「家計調査」の貯蓄・負債項目のデータは「二人以上世帯」のみ)、世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化した記事の更新を行うことにする。

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今「家計調査」は全国のすべての世帯(学生の単身世帯を除く)を対象として家計収支の調査を行い、各種世帯の特性による集計結果によって、日本国民生活の実態を毎月明らかにし、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を得ることを目的としている。調査期間は原則毎月。対象は毎月6分の1ずつが差し替えられる。調査方法は基本的に調査票を用い「調査員による質問」「記入された調査票の回収」などによる。

データの取得方法手順は【家計調査(貯蓄・負債編)調査結果】から、「詳細結果表(e-Stat)」を選び、「<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」で「8-5 世帯主の年齢階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯」を選択。そこから「8.世帯主の年齢階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯」のファイルを選択。該当ファイルには、調査母体の世帯主年齢別の世帯数や貯蓄額などが記載されているので、それを元に必要となる値を計算していく。

いくつか補足しておくと、

・「勤労者世帯」…世帯主が勤め人である世帯。ただし社長などの役員は「勤労者以外」とする。
・「勤労者以外世帯」……世帯主が役員、個人営業世帯、無職世帯(年金生活で世帯主が働いていない場合も含む)など。

・「貯蓄」……負債を考慮しない、単なる貯蓄の額(預貯金、生保の掛け金、有価証券、社内貯金、共済などの貯蓄の合算。個人では無く、世帯全体の貯蓄を意味する)。例えば借金が1億円あっても100万円の貯金があれば、貯蓄額は100万円。

となる。「二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯」とは、要は単なる「二人以上の世帯」なのだが、誤解を招きやすいことや今後別所で同じ用語を使う可能性があるため、今回説明しておいた。つまり今件調査母体では二人以上の世帯であれば、「会社員」から「年金生活者」「無職」まで含むことになる。

さて、昨年用意した2002年から2009年分の蓄積データに、今回2010年分の値から算出した各数字、具体的には「該当世帯数全体における、各世帯主年齢別の世帯数比率」と「各世帯主年齢階層別の、貯蓄総額に占める金額比率」を算出した結果が次のグラフ。

↑ 世帯数割合(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)
↑ 世帯数割合(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)

↑ 世帯主の年齢階級別貯蓄分布状況(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)
↑ 世帯主の年齢階級別貯蓄分布状況(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)

これらのグラフには当然ながら「単身世帯」は含まれていない(単身世帯の貯蓄額は上記にあるように、「家計調査」の公開データとしては存在しない)。よって日本全体そのものの状況を指し示しているとは言い難いが、概要的なものは十分つかみ取ることができる。

元々若年層は経年的な蓄財の機会・期間が少なく、実入りも少ないため、貯蓄が少ないのは仕方が無い。さらに高齢者世帯が増加している・若年層の数自身が減少していることから、世帯数割合が減少するのも道理というもの(【「お年寄りがいる家」のうち1/4・414万世帯は「一人きり」】)。結果として「年齢階層別の貯蓄総額比率」も、高齢層が増えていく結果になるのは明らか。

このグラフから(特に二番目のグラフのみを見て)「高齢層一人ひとり、世帯世帯がますますみんなお金持ちになっていくよね」と誤解されがちだが、2002年以降時間の経過と共に、個別の高齢者世帯が富んでいくとは言い切れない。それは以前別の記事(【年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】)で挙げた次のグラフを見れば明らか。

↑ 現貯蓄額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 現貯蓄額推移(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)(再録)

↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)
↑ 純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)(二人以上世帯のうち勤労者世帯)(単位:万円)(再録)

要は「1世帯単位で比べれば、元々高齢層は若年層と比べて貯蓄額が大きい。その高齢層の人数・世帯数が増えているのだから、全体に占める高齢層の貯蓄額比率が増えても当然」というわけだ。

↑ 世帯主の年齢階級別・世帯当たりの平均貯蓄額(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)(万円)
↑ 世帯主の年齢階級別・世帯当たりの平均貯蓄額(二人以上の世帯・勤労者及び勤労者以外世帯)(万円)

同時に、「二人以上の世帯の総貯蓄の6割強は、60歳代以上の世帯だけで有する」「二人以上の世帯の総貯蓄の8割強は、50歳代以上の世帯だけで有する」こともまた事実。一方で負債の多くは住宅ローンであり、50歳代前後にはほぼ完済している現状を考えれば、実質的な「純貯蓄額」の総量はさらに50歳代以上に偏ることになる。



景気回復策として有効な内需喚起において、若年層に無理な支出を強いるよりは、いかに「60歳代以上で6割」「50歳代以上で8割」の貯蓄を市場に(無論サービスなどの対価として)吐き出させるかを考えた方が、効率が良い事は言うまでも無い。やせ細り未成熟な樹木から無理に果実をもぎ取るより、熟した果実がたわわに実った木々から収穫を得た方が、はるかに健全なのは一目瞭然。

もちろん「高齢層に無駄遣いをさせろ」という意味でも無い。支払いに比する効果・満足感を得られる商品・サービスの考察・提供、お財布のひもを緩められるだけの社会的安心感の提供、さらには資産を若年層や市場に還流させる仕組みを創り上げることが、早急に求められよう。

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