世界各国の石油生産・輸入・輸出量をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/24 05:13

2016-1123多様なエネルギー資源が開発されている現在でもなお、化石燃料の代表格で産業、経済、さらには人々の社会生活そのものを支える柱となっているのが石油(原油)。その石油の各国における生産量や輸出量・輸入量の動向は複数の調査機関や公的機関が精査し、公開している。今回は【アメリカ合衆国のエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】による【公開データベース】の提供値を元に、現在確認できる範囲の状況をチェックしていくことにする。

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生産量と消費量、そしてそれらを並べると


状況精査の掲載の前に、いくつか用語説明を。「1バレル」は良く耳にするであろう、石油・原油の量を測る単位。樽(たる)が語源で42ガロン・158.987294928リットル(約160リットルと覚えれば、日常生活では問題ない)。「確認埋蔵量」とは、現在の技術で経済的に採掘できる量。科学技術が進歩して、より深いところまで採取できるようになれば、これまで以上に「確認埋蔵量」が増える可能性もある。当然、計測ミスや再検証の結果、減る可能性もある。

また「石油」はいわゆる採掘直後の「原油」を指す場合もあるし、採掘した油からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを指す場合もある(こちらはむしろ「原油(Crude oil)」と呼ぶ場合が多い)。さらには原油を精製したあとの重油や軽油、ガソリンを合わせて呼ぶこともある。今回対象となるのは「原油」と表記しているものはそのまま「原油(Crude oil)」、石油生産量・消費量として掲載している「石油」は原油及び原油から精製された精製物を指すこととする。

それではまず石油生産量トップ10。今項目は現時点で2014年までの値が取得可能なため、2014年の値で上位を抽出し、その順位で5年分の動向も併記した。

↑ 石油生産量トップ10(2010-2014年、万バレル/日)
↑ 石油生産量トップ10(2010-2014年、万バレル/日)

意外に見えるが、EIAの公開データの上では、現在石油生産量のトップを行くのはサウジアラビアでもロシアでも無く、アメリカ合衆国。しかもこの数年で大きな伸びを示している。これは言うまでもなく、同国によるシェールガス・シェールオイルの商業ベースでの量産技術開発とその普及に伴い、生産量が飛躍的に増加した結果。カナダもその恩恵を受けており、アメリカ合衆国ほどではないものの、確実な伸びを示している。

増加傾向にあるのは他にもイラクやUAE。イランは逆に漸減、サウジアラビアは頭打ち的な状態。それらの国も合わせ、石油消費国としてのイメージの強い国も複数上位についている。

続いてこの生産量トップ10の国それぞれにおける、自国内の石油消費量を併記する。単純な足し引きで概念レベルの考察となるが、生産量よりも消費量が多い場合には、どこかから輸入しなければならない。逆なら備蓄や輸出が可能になる。

現実にはもっと複雑で、石油のうち具体的にどのような生成物なのかあるいは原油なのか、そして国内に精製施設のあるなしも考慮しなければならない。さらに精製品を直接輸出入する場合もある。もちろん原油ベースにおける品質の違いもあり、「生産量>>消費量」でも輸入する場合も少なくない。あくまでも概念的、目安的なものと見てほしい。

↑ 1日あたりの石油の生産量トップ10と、その国の石油消費量(2014年、万バレル/日)
↑ 1日あたりの石油の生産量トップ10と、その国の石油消費量(2014年、万バレル/日)

アメリカ合衆国は大量の石油を産出しているものの、それでもなお石油消費量の方が多い。他方、石油輸出国として知られているサウジアラビアやロシアでは大幅に生産量が超過しており、その実情を改めて認識できる。UAEやイラン、イラクも同様。他方中国は絶対量こそアメリカ合衆国に及ばないものの、大幅に消費量が生産量を超えており、不足感が強い状態となっている。

輸出量と輸入量はどうだろうか


EIAには輸出・輸入のデータも収録されている。そこでそれらも確認しておくことにしよう……としたいところだが、EIAのデータベースは現在リニューアルに伴う再構築中で、石油・原油に関わる輸出入データは確認できない。そこで旧データベースから取得した値となる最新値の2012年の値などを元に、グラフの再構築のみを行う。なおこちらは「Crude Oil」、つまり原油そのもののみの輸出量となる(EIAの新データベースで精査が可能になった後に、石油に差し替える予定)。

↑ 原油輸出量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)
↑ 原油輸出量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)

↑ 原油輸入量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)
↑ 原油輸入量トップ15(2010-2012年、万バレル/日)

原油の輸出量トップはサウジアラビア、次いでロシア、続いてカナダ。石油産出・輸出国として知られている国々が並ぶ中で、カナダが上位に入っているのを意外に思う人もいるかもしれないが、北米でのシェール革命に伴い、シェールオイルを多分に輸出できるようなったのが増加の主要因。上位陣には入っていないが、アメリカ合衆国も原油の輸出量は増えている。

他方輸入量では、アメリカ合衆国が最上位。上記の生産・消費量のグラフの通り、大量の原油を生産してもなお、国内消費をまかなうには不足しており、多くの原油を輸入している。もっとも最近ではシェールガス・オイルの恩恵を受けて国内生産で充足できる量が増えたため、輸入量も減少のさなかにある。

他方、中国や韓国は増加の一途をたどっている(中国は2012年に大きく落ちているが)。国内の経済成長に伴い、国内生産だけでは充足しきれなくなったため、輸入を増やしている次第である。



石油の生産量では世界でトップのアメリカ合衆国が、それでもなお大量の原油を輸入し、消費しているのを見るに、いかに同国が巨大な経済力を有しているかが改めて認識できよう。

アメリカ合衆国の石油事情の変化は、本文中でも何度か触れているシェールガス・オイルの採掘に係わる技術革新と、その普及によるところが大きい。元々存在は確認されていたが、それが採算ベースで採掘できるようになったことで、同国のエネルギー戦略にも大きな影響・変化が生じている。

また輸出・輸入量に関しては2012年の値が現時点では最新値となるが、景況感の回復や各産油国の思惑なども合わせ、2013年以降はさらに大きな変化が予想できる。今後も逐次アップデートが行われ次第、その状況を確認していくことにしよう。


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