核家族比率は幾分減ったが…? 種類別世帯数の推移(2010年分反映版)

2011/12/21 12:00

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核家族先に【平均世帯人員と世帯数推移(2010年分反映版)】などで厚生労働省が2011年7月21日に発表した【平成22年度版の「国民生活基礎調査の概況」】を元に、いくつかの記事データの更新を行った。今調査の詳細データのうち一部は、東日本大地震・震災などの影響で公開が遅れており、11月末までにようやく全データが出そろうことになった。そこで先日から、9月の時点でデータ未収録のため更新できなかった記事に関して最新の値を反映させ、2010年版としてあらためてグラフ・記事化を行っている。今回は【ますます進む核家族化…種類別世帯数の推移(2009年分反映版)】について、最新値を反映させることにしよう。


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データそのものは【e-Stat】から「世帯(第1巻・第2章)」「報告書掲載」「年次推移(第1表-第17表)」「年次」「2010年」「2.世帯数-構成割合,世帯構造・年次別」で取得する(昨年までと収録の方法がいくぶん異なっているので注意を要する)。そしてそのデータからグラフを生成する。

なおグラフなどで使われている「単独世帯」は「単身世帯」「シングル世帯」を意味する。世帯構成員が世帯主本人だけの世帯、つまり「一人身世帯」(独り身世帯と表記する場合もある)な次第。

まずは主要項目別に区分した世帯数を積み上げ、世帯数全体の推移も把握できるグラフを。前回同様に21世紀に入ってからのみを抽出したグラフも併記する。

↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年-2010年、積上げグラフ)
↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年-2010年、積上げグラフ)

↑ 種類別世帯数推移(千世帯、2001年-2010年、積上げグラフ)
↑ 種類別世帯数推移(千世帯、2001年-2010年、積上げグラフ)

【「お年寄りがいる家」のうち1/4・414万世帯は「一人きり」】などでも触れている通り、世帯総数は増加傾向にある。ただしよく見ると、緑の部分、つまり三世代世帯は減少傾向にあることが確認できる。また、核家族世帯を「核家族総数」と表記しているのは、核家族には「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子供」「片方の親と未婚の子供」などのパターンがあるため。最新の2010年分のデータでみると、三世代世帯はさらに減少し、核家族世帯・単独世帯、特に後者が増加しているのが分かる。

これを全世帯に占める比率の推移で表したのが次のグラフ。こちらも21世紀に入ってからのデータのみを抽出したグラフを併記する。

↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年-2010年)
↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年-2010年)

↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(2001年-2010年)
↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(2001年-2010年)

この40年の間に三世代家族の比率は10ポイント以上減少し、その分単独世帯や核家族世帯が増加している状況が把握できる。構成比で見ると核家族世帯よりも単独世帯の増加率が大きく、未婚の人が増加しているようすが容易に想像できる。2010年の変化に限ると、単独世帯が大幅に増え、核家族総数の比率増大まで飲みこんだ感はある(上記にある通り、「核家族総数」も世帯数そのものは増加している)。

最後に、世帯数変移を単純に折れ線グラフにした図を作成しておこう。

↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年-2010年)
↑ 種類別世帯数推移(千世帯、1968年-2010年)

全体に占める比率では減少を続ける三世代世帯だが、実のところ絶対数は急激な減り方は見せていない(漸減、というレベル)。ただし確実に減少しているのもまた事実ではある。



核家族の増加は地域コミュニティの変化と子育てに対する問題を顕著化し、単独世帯の増加は結婚・少子化問題にも関わるものとなる。それだけに、これらの値の変移は関連事項の動向とあわせて注意深く見守り続けねばならない。そしてその動きが発しているシグナルを正しく把握し、対処法を考察し、断固たる手を打つことが求められている。

グラフや数字の内なるメッセージをどのようにとらえて判断するか。一人ひとりが考えて欲しいものである。


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