昨今の国債・公債のリスク増大の動きをグラフ化してみる

2011/12/19 12:10

上昇先日【国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる(2011年12月15日版)】の中で、CPD値が上位の国以外でも大きなリスク増大の傾向にあることをお伝えした。今回はこの件について、少々データを抽出し、グラフを描き起こしておくことにした。「(この四半期の間に)世界全体的に経済状況の悪化とリスクの上乗せが起きているのが分かる」を明確にするためのものである。

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まずは用語説明。CPD(累積債務不履行確率、Cumulative Probability of Default)はCDS市場などを元に算出されたもので、CMEグループのCMA DataVisionが計算したもの。具体的にはCPDの値がそのまま「今後5年間にデフォルトとなりうる値」を示している。例えばA国の国債におけるCPDが5%なら、A国国債が今後5年間にデフォルトしてしまう(基本的には「支払いができませんよ」とギブアップする)可能性は5%と、CDS市場などが判断していることになる。シンプルに考えれば「低い方が安全な債券(国債)」ということになる。

当然のことながら、CDSはち密・厳密な計算によるものだけでなく、市場原理(しかもその市場の参加者は株式市場よりはるかに少ない)によって大きく左右される。そのため、市場関係者の心理や思惑で大きくぶれる可能性もある。その値を元にしている以上、CPDもCDS同様に、対象となる国債・公債のデフォルトの可能性を完全無比な形で示しているとは言い切れない(さらに昨今では政治的要因でCDSにおける「デフォルト」の定義解釈があいまいになりつつあり、存在意義そのものを疑われる場面もある)。あくまでも「市場が想定している」割合で、いわば逆人気投票結果のようなもの。競馬で例えるなら、一番人気の馬が常に一等賞になるわけでは無いというところか。

さて直近における「高CPD値」トップテンは、以前の記事で呈したように次の通りとなる。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2011年12月15日時点)(再録)

それでは低い方は……ということで、2011年Q3(第3四半期、以下同)の時点で低さトップ10、そして日本を加えた11か国における、2010年Q2からの変移を折れ線グラフにしたのが次の図。

↑ 2011年Q3時点の低CPD上位10国+日本における変移
↑ 2011年Q3時点の低CPD上位10国+日本における変移

抽出基準期間を2011年Q3としなければ、中国やフランスなどもこのグラフに収まるはずだった。しかし両国とも昨今の経済事情により、CPDが大きく跳ね上がり(直近ではそれぞれ14.9%、14.6%)、グラフの範ちゅう外にある。

さて、例えばサウジアラビアや日本のようにややイレギュラーな動きを見せる国もあるが、多くは2011年Q1までは漸減、そして2011年Q2でやや増加(=リスク増大)、さらにQ3では大きく跳ね上がっているのが分かる。欧米、特にヨーロッパの債務問題がヨーロッパだけでなく、新興国や他の先進諸国にまで波及しているのが手に取るように分かる。何しろCPDの超優良児であるノルウェーまでもが2011年Q3で大きく上昇しているのだから。

これを20か国まで広げた上で折れ線グラフを描いた……ところ線がクロスし過ぎて判読不可能な図になってしまったので、期間を1年間に限定した上で、棒グラフに再構築したのが次の図。一番新しい時期の値のみ、具体的な数字を書き記してある。

↑ 2011年Q3時点の低CPD上位20国における過去1年間の変移
↑ 2011年Q3時点の低CPD上位20国における過去1年間の変移

古い期間ほど青、新しいものほど赤系統の色を使ったが、サウジアラビア以外のすべての国で直近のだいだい色(2011年Q3)が大きく伸びているのが分かる。少なくとも過去1年間においては、元来CPDが低い、つまり低リスクと見なされている諸国ですら、債務問題の悪化(特に今回はヨーロッパ)を受け、リスクが増大してしまっている。

そしてグラフをよく見ると、直近の2011年Q2からQ3への変移においては、中東諸国の上げ幅は比較的大人しめで、ヨーロッパ(財務的に安定しているといわれているドイツも含め)がくまなく急上昇の動きを見せているのが分かる。「ギリシャだけ」「スペインだけ」「PIGSだけ」という都合の良い状況を考える時代はとうの昔に過ぎ去ったことを、改めて知らしめてくれる。



繰り返しになるが、CPDは絶対的な値では無く、市場内の思惑や経済とは関係の無い面でも動き得るため、参考値の一つでしか無い。とはいえ、従来低値を維持していた国々の多くが上昇傾向を見せている以上、現在がどのような状況かを再認識しておくべきだろう。

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