子供達の虫歯の状況推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/01/24 10:42

文部科学省は2016年1月22日付で、2015年度版となる【「学校保健統計調査」】の速報値を同省公式サイトで公開した。今調査は幼稚園から高校生までにおける、各種身体的測定結果、病症の状況などを定期的に集計しているもので、子供達の健康状態を多方面から推し量れる有意義な報告内容となっている。今回は最新の2015年度分だけでなく、取得できる過去のデータも合わせ、子供達の虫歯(う歯)の状況の推移についてグラフを生成し、状況精査を行うことにした。

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まずは単純に「現在虫歯がある子供」の比率。これは「未処置歯のある人」と呼んでいる。かつて虫歯があった子供、つまり治療形跡のある歯を持つ子供は含まれない。データは1948年以降(幼稚園は1949年以降、一部欠落あり)から用意されているが、終戦直後の1940年代後半は40%内外で低めだったものが、1960年代までには高水準に移行していくようすが分かる。

↑ むし歯の者(未処置歯のある人)の割合推移
↑ むし歯の者(未処置歯のある人)の割合推移

↑ むし歯の者(未処置歯のある人)の割合推移(2001年度-)
↑ むし歯の者(未処置歯のある人)の割合推移(2001年度-)

これはひとえに食料事情の改善によるもの。また、菓子類などの甘味が一般世帯に浸透していったのも一因。砂糖そのものに限っても、【農畜産業振興機構の統計資料(砂糖の需給関係資料)】のデータでも確認できる。もっともこの動きは1970年代までがピークで、それ以降は学校種類を問わずほぼ同等の傾斜ぶりで減少傾向を見せる。甘味摂取量がやや減ったことに加え(その分「調味嗜好飲料」、すなわちジュースやお茶、清涼飲料水などの摂取量は増加の一途をたどっているが)、予防・治療環境が整備されるようになったのが要因。

その整備状況が分かるのが、次のグラフ。こちらは上の「未処置歯のある人」に「処置完了者」、つまり虫歯を治療した人を足した割合。

↑ むし歯の者(未処置歯のある人+処置完了者)の割合推移
↑ むし歯の者(未処置歯のある人+処置完了者)の割合推移

↑ むし歯の者(未処置歯のある人+処置完了者)の割合推移(2001年度-)
↑ むし歯の者(未処置歯のある人+処置完了者)の割合推移(2001年度-)

1990年代中盤までは「現在虫歯が進行形」「過去虫歯体験者」を合わせた率は高いままだが、それ以降は継続して減少していくのが分かる(幼稚園だけは別で、すでに1980年代から減少している)。最初のグラフと照らし合わせると、

・1960年代まで……食料事情の改善、西洋化で虫歯環境も活性化

・1960年代-1970年代……高虫歯率時代

・1980年代-1990年代中盤……主に虫歯治療環境の整備浸透

・1990年代中盤以降……さらに食生活の変化や予防技術、啓蒙の浸透

との流れによる、子供における虫歯状況の変移がおぼろげながらも見えてくる。

最後は乳歯から永久歯に入れ替わりを見せはじめるタイミングとなる12歳における、永久歯の平均的な虫歯などの数。乳歯の虫歯は時期にもよるものの、歯ごと抜いてしまう最終手段を比較的容易に選択できるが(どのみち永久歯への抜け代わりがある)、永久歯は抜いてしまうと再度生えてくることは無いので、早期発見・早期治療が求められる。可能ならば乳歯時代に虫歯を完治して再発を防ぎ、永久歯は虫歯そのものを起こさないようにするのが望ましい。

↑ 12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数(処置歯と未処置歯、喪失歯の合計数)
↑ 12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数(処置歯と未処置歯、喪失歯の合計数)

今件項目の計測が始まったのは1984年度からで、それ以前の動向がつかめないのは残念だが、虫歯保有者率同様減少を続けているのが分かる。調査開始の1984年度では4.75本だった平均値も直近の2015年度では0.90本まで減っている。これは2015年度では12歳の人における「永久歯」の虫歯(治療済み、治療中、そして何らかの理由で抜いてしまった歯)が1本足らずでしかなく、1984年度からの30年間で4本近く減ったことを意味する。それだけ永久歯においても、虫歯が少なくなっている次第である。



虫歯は予防し得るのならそれに越したことはないが、もし虫歯が確認できても早期治療を果たせば、色々な意味での「痛み」は小さいレベルで済む。子供へ「正しい」歯磨きの習慣をつけさせるのはもちろん、歯の違和感などを覚えたら、すぐに親に教えて治療に当たらせることも言い聞かせるようにしよう。虫歯は基本的に、放っておけば治るようなものではない。

……痛みを半ば無視して「無かったこと」と思い込んでいたら相当深度にまで虫歯が進行し、治療の際に余計痛い目に長期間合う羽目になった経験者の弁であり、間違いはない。


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