海外で日本人がトラブルに巻き込まれたら、政府や大使館はどうすべき?(2016年)(最新)

2016/03/15 11:02

内閣府は2016年3月14日、外交に関する世論調査を発表した。それによると調査時点において、海外で何らかの問題に巻き込まれた日本人がいた場合、「できるだけ自己責任」としつつも「対応が不可能な場合、政府や大使館などが保護・支援をすべき」とする意見がもっとも多く、全体の4割を占めていることが分かった。次いで「自己責任で対応できる場合でも、政府や大使館が積極的に保護・支援すべき」「いかなる場合でも政府や大使館が保護・支援すべき」との意見が続いている(【発表リリース:外交に関する世論調査】)。

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今調査に関する調査要項などは先行記事【日本のアメリカ合衆国への親近感84%、対中親近感は過去最低継続(2016年)(最新)】を参考のこと。

海外で日本人が「交通事故、犯罪、病気、テロなどの事件や事故にあった」場合、該当者本人の自己責任とすべきか、それとも現地の大使館や日本国政府による積極的な保護・支援を行うべきなのか。多分にケースバイケース(状況に応じて最善策が判断される)に結論は収束されてしまう。すべてを保護・支援の対象としたのではリソースがいくらあっても足りず、自己責任ばかりでは日本人が安心して海外で活動できない。一方、昨今では国際情勢も複雑化すると共に、今件設問に該当する事案が相次ぎ発生し、また政治的な事案と絡めて注目され、複数の事案をすぐに想起できる人も少なくあるまい。

今調査では一般論、傾向・方針としてどのような姿勢を見せるべきか、個々回答者の主張の集約ではあるが、「自己責任優先、不可能な面は政府や大使館の支援が必要」とする意見がもっとも多く、直近では40.2%を占めた。

↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方
↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方

次いで多いのは「自己責任的な状況でも、政府・大使館が積極的に保護・支援をすべき」(「積極的に」であり、全面・最優先的にとの意味ではない)で23.3%、「どのような場合でも政府・大使館が保護や支援すべき」の21.4%が続く。合わせると半数近くの人が、積極的な政府・大使館のサポートを求めている。一方で「自己責任(政府・大使館の手助けは原則不可)」とする意見は12.0%と1割超え。

経年変化を見ると、2002年に大きく「どのような場合でも政府・大使館が保護や支援すべき」が跳ね上がり、「自己責任優先、不可能な面は政府や大使館の支援が必要」が落ち込む場面が見受けられる。これはタイミング的に2001年9月11日にアメリカで発生した「アメリカ同時多発テロ事件」とその後の混乱に寄るところが大きいと解釈できる。また、2002年9月には北朝鮮が日本人拉致問題を初めて公式に認めており、これも影響した可能性はある(時期的には微妙なところだが)。

ただし2002年の値の変動はイレギュラー的なもので、長期的には政府機関による積極保護介入派(赤系統色)がその介入度合いにおいてより強いものを求める動きが進み、今世紀に入ってからは漸増。他方、個々の責任を優先する(青系統色)動きはほぼ横ばいだが、消極的保護介入も合わせた自己責任優先派が漸減する流れを示していた。

ところが直近の2016年分ではこの流れが大きく変わり、自己責任・判断が大きく増加、消極的保護介入を合わせた個々責任優先も増加し、個々の責任を優先する意見が増加している。他方、
政府機関による積極保護介入派はいずれも回答値を減らしており、前回調査となる2013年分からは傾向が変わってきた感はある。

直近分の状況につき、個々の回答別、そして自己責任派と積極保護介入派とでそれぞれ該当する選択肢を合算する形で、男女・年齢階層別に実情を確認したのが次のグラフ。

↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方(2016年、属性別)
↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方(2016年、属性別)

↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方(2016年、属性別)(回答二分計算)
↑ 海外での日本人の保護や支援のあり方(2016年、属性別)(回答二分計算)

全体的には自己責任派がわずかに優勢、男女別では男性、年齢階層別では年上になるほど自己責任派が増加する傾向にある。また詳細区分では、強い自己責任を求める意見は男性、高齢層に多く、消極的保護介入を含めた自己責任派との意見は属性別であまり変化が無い。他方、強度の弱い保護介入派は若年層が、強い保護介入派は高齢層が高い値を示しており、高齢層では意見が極端に二分している傾向がうかがえる。

この動きは昨今の国際情勢、特にこの数年に渡り地中海・中東周辺で相次いで発生した事案に絡み、その実情や周囲の対応が少なからず影響しているものと考えられる。実際の判断はケースバイケースではあるが、判断材料となる実例で、一般市民の心境・意見は大きく変化すると見るべきなのだろう。


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