インターネットが2ケタ台の下げ、前年同月の反動か(経産省広告売上推移:2011年12月発表分)

2011/12/12 06:38

経済産業省は2011年12月9日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年10月分の速報データを発表した。それによると、2011年10月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でマイナス5.0%と減少していることが明らかになった。主要項目別では「インターネット広告」がマイナス20.6%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

スポンサードリンク


今記事のデータ取得元の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2011年10月分データ(公開は2011年12月)の速報値を反映させたもの。なおそれより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年9-2011年10月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年9-10月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、「雑誌」はやや堅調なものの、それ以外の項目はすべて前月と比べて数字が悪化。結果として(この5項目以外も含めた)売上高合計もマイナスに転じてしまっているのが把握できる。

この数か月復調の兆しも見せた「新聞」は今回再びマイナス。一方で「雑誌」はプラス2.9%と昨今ではかなり良い値を見せているが、これは前年同月の値がマイナス12.7%という大きな下げだったことによる反動部分も多分にあると見てよい。

「雑誌」が前年同月との関連で回復したように見え、「テレビ」が前年同月と比べてやや復調、「ラジオ」の調子があまり良くないなどの動きは【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年10月分)】と類する部分が多く、電通や博報堂の動きが広告業界全体の動きと相関関係にあることが改めて確認できる。ただし「インターネット広告」部分だけは別で、電通・博報堂のがプラスだったのに対し、今件経済産業省のデータでは大きくマイナスにかじ取りをしている。昨年同月がプラス20.6%だったことへの反動とも受け止められるが、それを加味してもやや異様な動きであり、注視する必要がある。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年10月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年10月、億円)

先月の記事で”今回9月分では再び「インターネット広告」が広告費で「新聞」を抜いた。これは一連のデータ追跡では2回目、2011年5月に次ぐものとなる。”としたが、今回月は直上にもある通りインターネット広告が大きく減退したため、再び「新聞」の優位となった。今後しばらくは追いつ追われつを繰り返しながら、次第に新たな立ち位置が確定的なものとなっていくと思われる。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年10月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年10月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。この数か月は再び大きな伸びへ(今回月はイレギュラーか?)」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で今年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を起こしている。

今回月では特に回復の流れにあった「売上高合計」の太い赤線が、再びマイナス圏に移行してしまったのが目に留まる。まるで「インターネット広告」をはじめいくつかの項目が、それに引きずられて落ちてしまったかのようだ(実は逆で、各項目の総計的なものが合計なのだが)

元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・できるわけではない)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価(今は一部で過大評価ともいえる)は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は諸外国と事情が異なり、「既得権益を悪と決めつけ、それを打破するのが大切」と他人事のように語る報道メディアそのものが大きな既得権益を握り、それを頑なに守る動きが強く、「立ち位置の正常化」は遅延している。

一方東日本大地震とそれに伴う各種震災・人災、そしてその後の消費者の中に芽生えた心理心境の変化は、広告出稿側のお財布事情の変化(多くは厳粛化)、地震報道などで見せた各媒体の「真の価値」に対する(視聴者・広告主における)意識の移り変わりをもたらし、広告業界でも一部軌道修正がされた上で、広告業界全体における変化の「時計の針」を押し進めている。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれないことが、数か月の流れの中で浮かび上がるに違いない。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー