紙媒体復調継続、特に「新聞」の下がり方がキツい(電通・博報堂売上:2011年11月分)

2011/12/10 06:25

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年12月9日、同社グループ主要3社の2011年11月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年12月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年11月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年11月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年11月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災の影響は、直接的な動きとしてはほぼ終息した感がある。そしてそれ以前からの広告業界・メディアの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っている」状況がそのまま復帰したような動きが見受けられる。11月の特徴としては、「4マス」の軟調さ、特に「新聞」の下がり方が目に留まる。昨年同月のデータを確認すると、電通の「新聞」の値はプラス13.0%だったので今回のマイナス13.5%は多少反動の面もあるが、博報堂は昨年マイナス13.9%と下げており、ここからさらに今回マイナス10.9%の下げは結構キツい。

また今回は久々にインターネットメディアも前年同月比マイナス。昨年同月における「その時点での」前年同月比が電通・博報堂それぞれプラス38.2%・61.7%と大幅プラスだったことから、その反動によるものだろう。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で9項目。前月の14項目から5項目が減っており、プラス項目数の減り方でも全体的な不調感が確認できる。具体的な表記は略するが、4マス内では8項目中3項目しか無く、勢いが感じられない。

今月は先月同様に電通と博報堂でも「その他」部門の伸びが目に留まる。また今月では「クリエーティブ」の躍動も気になる。金額としても「その他」の場合、電通は80億3800万円・博報堂は6億2200万円(三社合わせて)と、博報堂はともかく電通はかなり大きな額となる。リリースの説明ではこの項目の具体的内容として

●「クリエーティブ」
電通……(別ページに「ソリューションの提案」とある)
博報堂……「新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット」の広告表現立案および広告制作、広告出演者の契約料等が含まれます。

●「その他」
電通……衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務が含まれます
博報堂……スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツ等に関する取引が含まれております。

とだけあり、具体的内容・詳細は不明。マネジメントやアイディア出しなど、広告周りの細々とした作業の集約(、そして対象メディアを区分・特定せずに集計されたもの)と見るべきか。

広告代理店が自社業務のラインを公開することは滅多にない。場合によっては公開した時点で「効果」が半減してしまうものもあるからだ。従ってどのような案件・対象メディアが両社共に「前年同月比3割台のプラス」(「その他」項目)という好成績に大きく貢献したのかは把握できない。「クリエーティブ」もまたしかり。ともあれ11月分は電通・博報堂共に従来型広告(屋外広告など)や区分しにくい分野(4マスとインターネット以外)で奮戦したことになる(もっともマーケティング・プロモーション部門は両社共下げているが)。

なお今件のグラフに関して改めて説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。先の「その他」部門の項目でも分かるが、他に例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。例えばインターネット分野なら、電通41.76億円、博報堂は20.84億円(3社合計)という値。

電通・博報堂HDの2011年11月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年11月における部門別売上高(億円、一部部門)

震災の直接的な影響を受けた数字のマイナス変動はすでにピークを過ぎ、各項目の値は予定調和内の動きに戻している。とはいえ繰り返しになるが、以前からの「4マスが泥沼化」「ネットが堅調」という中期的な流れに変わりは無い(今回はネットもマイナスだったが)。ただしこの数か月の動向を見ると、「テレビがやや戻し気味」「4マスとネット以外の従来型広告に力強さが見えてきた」という、新たな動きも確認できる。

電力供給不足はどのような甘い試算をしても、今冬以降も続くものと予想される(特に今冬は寒さが厳しい北日本での懸念が大きい)。新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるが、積極的な節電の「空気」はまん延したままで、以前ほどの活力は見られない。下手にきらびやかなものを使うと、非難をあびるリスクが生じているからだ。

そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まるのは当然の話で、昨今の「その他」の動きがそれにあたる。また「クリエーティブ」が良い値を示しているのは、4マスなどで直接広告費の稼ぎが減退している分を、企画立案や制作で補おうとしている動きかもしれない。

今後は従来型・4マス・ネットそれぞれの良い所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(広告効果的には無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が(今まで以上に)求められる。その分知恵を振り絞った、発想に優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まることになるのはいうまでも無い。


■関連記事:
【冬場の時間単位での電力需給推移をグラフ化してみる】

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