吉野家の客単価失速、売り上げはマイナス6.4%に…牛丼御三家売上:2011年11月分

2011/12/09 06:38

[吉野家ホールディングス(9861)]は2011年12月8日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2011年11月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス6.4%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年11月における売上前年同月比はマイナス4.5%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス1.3%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家は「2010年9月」から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した(同月の売上高は前年同月比でプラス5.9%を記録している)。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプション的メニュー「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように今年の8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

「2011年9月」には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇していたものの、今回発表分の11月にはそれも失速。客足の減少率は徐々に小さくなりつつあるものの、昨年同月同等の売上を確保するまでには至らず、結局今月も前年同月比でマイナスの売上高を記録することとなった。

↑ 牛丼御三家2011年11月営業成績
↑ 牛丼御三家2011年11月営業成績

昨年同月の「牛鍋丼」の客入りの良さの反動で、9月以降大きく前年同月比を下げた吉野家の客数だが、11月はさらに復調を見せている(10月はマイナス15.1%だった)。しかし本格的な回復には今しばらく時間がかかるようで、カレーなどの新メニュー登場で底上げされた客単価の増加分も、大きく打ち消されてしまっている形。売上が前年同月比でプラスに転じるには、今しばらくの時間を要する。また、先日【吉野家、「焼味豚丼 十勝仕立て」を本日から発売】でお伝えした通り、12月8日から新発売となった「焼味豚丼 十勝仕立て」が今後どこまで売上に貢献していくのかも気になるところ。

吉野家松屋は客数と客単価のバランスが良く、客単価が不調気味でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、売上が下げても最小限のレベルで維持されていた。しかし11月では客単価の減少が通常より大きく、これが客数の増加でも補いきれず、売上高の低迷を招く結果となった。該当月である11月は17日から24日まで「牛めし並盛240円」、さらには24日から12月1日まで「牛焼肉定食・牛カルビ定食100円引き」のキャンペーンを実施しており、これが多分に影響したようだ(客数は前月の前年同月比+0.9%から+2.6%にアップしており、客足増加の効果は出ている)。

色々と話題に登ることが多いすき家は、昨月に続き今月も前年同月比の売上をマイナスにしてしまう。客単価はやや持ち直し基調の見られた先月から再び落ち込み、客数の増加(前年同月比の値で)でもカバーしきれなかった。

昨月の記事でも指摘したように、そして先日の【2011年10月度のチェーンストアの売上高、前年同月比マイナス0.9%】でも再び記載しているが、チェーンストア(デパートやスーパー)では10月の時点でも、「和牛が不調。代わりに加工肉や鶏肉・豚肉は堅調」という動きが確認できる。多分に「震災」の影響によるところが大きいのだが、これが牛丼御三家においても心理的な部分で、客足を遠のかせている可能性は十分にある(もっともこれは牛丼だけに限らず、【2011年10月度の外食産業の売上は前年同月比でプラス0.5%・天候良好で客足増加】の通り、外食の焼肉チェーン店全体にいえることなのだが)。

11月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価はマイナスに転じるも客数は復調気味、売上減少の動きは沈静化」「松屋…客単価は落ちたが客数でダメージを補完」「すき家…客足増加率復調。客単価は低迷」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年11月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年11月)

すき家の客数増加は今年に入ると歩みがゆっくりとしたものになり、8月以降はギリギリプラスを維持している状態で、これが客単価の低迷を補完しきれず売上高マイナスの起因となった。しかしそれでもなお2009年12月以降、毎月前年同月比で客数のプラスを維持している。既存店(1年前にも存在していた店のみ)での数字であることを考えれば、店舗数の拡大とは関係が無く、純粋に営業努力のたまものといえる。

店舗数比較では、すでにすき家がはるかに吉野家を超える形。今でもすき家の拡大戦略は続いている。11月における10月からの店舗増加数は17件・先月比プラス1.0%となっている。この拡大方針がどこまで続くのか、昨今の警察庁からの「指導」への対応と共に、気になるところではある。

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