全般的に未体験率増加へ…独身者の性行為体験済み率をグラフ化してみる(最新)

2016/10/16 05:07

個人主義の広まりや性行動への解放感、社会的認識の変化などを受け、独身者における性行為は以前と比べ開放的であるとの解釈はよく見聞きする。他方、対人関係、特に異性との付き合いへの疎ましさを覚える、機会を得られない若年層の増加もあり、性行為への忌避感も増加しているのではとの指摘もある。今回は国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月15日に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」を基に、独身者における性行為の実情を確認していくことにする(発表リリース:【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。

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今調査に関する調査対象母集団や集計様式に関しては、出生動向基本調査に関わる先行記事の【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移をグラフ化してみる(最新)】を参照のこと。

先行記事で解説の通り、年齢によって多少の差異はあるが、最新データでは8割から9割の独身者が(タイミング・意思の強さの度合いを別にすれば)結婚をしたいと考えている。

↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
↑ 未婚男性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)

↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)
↑ 未婚女性の結婚意思(結婚意欲詳細版、2015年)(再録)

一方性行為に関しては道徳観念・性衝動やその制御加減の違いから「結婚するまでは一切しない」から、「恋愛関係を問わずに」まで、多種多様な考え方・対応の仕方がある。また【いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】でも触れているが、いわゆる「未婚の母」と性行為との関係、そして行為が恋愛感情の表現の一種との考え方もあり、一概に「未婚だから性経験が無いのが普通」とは言い切れない。

今調査では独身者の各年齢層別に「これまでに異性と性交渉を持ったことがあるか」との質問をしており、「ない」「ある」のいずれかで答えてもらっている(回答時に適切な回答をしなかった「不詳」扱いも答えの比率区分には存在する)。直近の2015年における回答結果は次の通り。20歳未満は7割近くが未体験、3割近くが経験済みという結果となっている。なおこの「未婚者」は単純に結婚していない人を意味し、現在交際中の異性がいる、同棲しているなどは問われていない。

↑ 未婚者の性体験構成比(2010年)(再録・参考)
↑ 未婚者の性体験構成比(2010年)(再録・参考)

↑ 未婚者の性体験構成比(2015年)
↑ 未婚者の性体験構成比(2015年)

年齢階層別で見ると、20歳を過ぎると経験済みの割合は急に増え、未体験者との立場が逆転する。しかし30代に入ると未経験率の減少度合いにはブレーキがかかり、女性にいたっては経験済みの値が減る減少すら見受けられる。これは該当年齢層全体にではなく、「独身者」に聞いたためであり、異性との巡り合わせがうまく行かなかった人が残ってしまうのが原因(異性との性行為に大らかな人は婚姻のハードルも低い、少なくとも遠因の一つであると考えられる)。女性では特に年齢が上がると共に「不詳」の値が増えていくのも、今件が多分にデリケートな設問であり、歳が上がるほどその鋭さゆえに「明確な回答はしたくない」との想いが増していくから、と考えれば納得もいく。

さて世間一般には若年層・未婚姻者の性行為への考え方が、昔と比べて今は大らかになりつつあるとの説がある。その話が事実であるか否かを確認できるのが次のグラフ。過去の調査期間別に行われた同様の設問において、「無し」と答えた人、つまり回答時点で性交渉の経験が無い人の回答率をまとめたもの。当然「不詳」ものぞいており、明確に「経験無し」との回答者に限定されている。



↑ 調査別に見た、未婚者の性体験設問で「無し」の回答率(男性)
↑ 調査別に見た、未婚者の性体験設問で「無し」の回答率(男性)



↑ 調査別に見た、未婚者の性体験設問で「無し」の回答率(女性)
↑ 調査別に見た、未婚者の性体験設問で「無し」の回答率(女性)

男女とも調査回数を重ねるにつれ、2005年までは「無し」回答率が減少、つまり「性体験あり」(+不詳)が増加しているのが分かる。特に20歳未満の層においては、男性で10ポイント近く、女性で20ポイント近く減少していた(実際には同時に「不詳」の数も増加しており、「性体験あり」の増加率はもう少し低くなる)。また、20代後半と30代前半の差異がほとんどなくなってしまっていた。

しかしながら2010年ではこれまでの傾向から転換したような、逆する動きが見え、その動きは直近の2015年でも継続している。具体的には各属性における「無し」回答率が上昇している。上記の「未婚者の性体験率構成比(2015年)」「同(2010年)」のグラフを見れば、赤い領域が減り、青い領域が増えているのが一目瞭然。「無し」の回答率の変化を算出したが、男性の30代前半がわずかに減少した以外は、一様に増加を示している。

↑ 未婚者の性体験「無し」回答率変移(2010年→2015年、ppt)
↑ 未婚者の性体験「無し」回答率変移(2010年→2015年、ppt)

実質的には「未婚若年層は異性との身体上の付き合いには及び腰になった」あるいは「若年層は異性との身体上の付き合いには及び腰になったから、独身者が増えた」と見るべきだろう。性行為をすればすなわち婚姻に直結するわけではないが、男女間の好意の認識を示す一つの行動には違いないし、そもそも相手がいなければ性行為自身も不可能ではある。

先に【独身者が独身で留まっている理由とは?】でも示しているが、経年動向でも「異性とうまく付き合えない」の回答率は、まだ大きな値ではないものの、確実に増加している。

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・18-24歳)(再録)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・18-24歳)(再録)

2010年の動きだけならば「独身若年層の性への解放感は拡大中、2010年はイレギュラー」との解釈もできたが、2015年も継続し、しかもほぼ全年齢階層で進んでいるのを見るに、2005年がピークで再び忌避感が増加していると見た方が良いだろう。

ただしその動きはあくまでも「その時点で独身の立場にある人」に限定されていることに注意する必要がある。上記でも指摘の通り、未経験者の独身率が高いだけで、経験を成した男女が早期に結婚を果たし、今回の調査の対象からは除外されている可能性もあるからだ。

機会かあれば別途解説するが、経年調査結果の動きでも、独身者における、現在異性との交際関係を持たない人の割合は確実に増加している(特に2010年以降急増している)。異性との付き合いのハードルが、色々な意味で高いものとなっている可能性もあり、その結果として独身者の性体験「無し」回答率が増加したとの解釈もできよう。


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