【更新】各産業の縮退も懸念・前年同月比でマイナス3.2%(2011年10月分大口電力動向)

2011/11/20 06:54

電気事業連合会は2011年11月18日、2011年10月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年10月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で669億kWhとなり、前年同月比でマイナス6.3%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス3.2%を記録し、8か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。幅は小さいが、震災の影響は継続中のようだ([発表リリース、PDF])。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。

2011年10月においては大口全体で前年同月比マイナス3.2%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる(機器の技術進歩の他に節電効果でのマイナスもいくぶん数字には反映されており、今年3月分以前の数字動向と比べると、多少は誤差の範囲が大きい)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年9月-10月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年9月-10月)

今月は全部門で前年同月比での数字の悪化が確認できる。非鉄金属と窯業・土石以外では先月と比べれば下げ幅は縮小し、特に紙・パルプが大きく戻したものの、それでも前年同月と比べればマイナスに違いない。自発的な節電が影響しているとはいえ、各産業の縮退も懸念される。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きがほぼすべて失われ、2011年3月から大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震・震災を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月はほぼすべての項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率・生産調整が影響している様子が見て取れる。さらに1年前のこの時期が回復傾向にあったことを考えると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される。今月の場合は2010年10月で、その時は全体で「その時の」前年同月比プラス5.8%)、今後しばらくは今月のようにマイナス値を継続することが容易に想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場が復興するまで、物理的な電気の消費元が減ることになるのに加え、上記でも触れているが、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、節電対策による消費電力減退など、数字の低迷は否めない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業の動向を間接的に確認できる、大口電力の動向は注意深く見守っていきたい。

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