書籍をどこで買う? トップは大型書店、そしてネット書店

2011/11/23 06:43

大型書店日本書籍出版協会が総務省の「新ICT利活用サービス創出支援事業(電子出版の環境整備)」に提出して採択され、公知されている【「次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備」プロジェクト】の公開情報には、出版市場の現状を探る多様なデータや調査結果が盛り込まれている。今回はその中から、書籍の購入窓口・場所と、「書誌情報」(書籍やコミックなどの、名前や値段、出版社など各種情報)の入手先との関係について調べた項目を抽出し、眺めてみることにした。

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今調査は2011年1月24日-28日までインターネット経由による事前調査(本調査の調査母体を「読者をする人」のみとするための対象者スクリーニング)、31日-2月2日まで本調査が行われ、事前調査の有効回答数は5480人・本調査での有効回答数は2000人。本調査の男女比は1対1、年齢階層比は10代と20代・30代・40代・50代・60歳以上で均等割り当て。

調査母体に対して書籍(コミック、学校の教科書や雑誌などは除く)の購入先を聞いたところ、もっとも多くの回答率を占めたのは大型書店で63.9%。次いでネット書店が47.2%、近所の書店35.6%という結果になった。

↑ 書籍入手先(複数回答)
↑ 書籍入手先(複数回答)

書籍のみで雑誌やコミックは含まない、インターネット経由の調査であることを留意しておく必要がある。特に「書籍のみ」という要素のため、多分に「大型書店」に多くの票が集まっている。これは以前【本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】でも示したように、「大型店舗ほど専門書が(他種類の本と比べて)良く売れる」ことを裏付ける結果といえる。

↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2010年)
↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2010年)(再録)

さらに今調査がインターネット経由であるにも関わらず、ネット書店は大型書店に一歩及ばない値に留まっている。書籍における大型店の存在意義が、今件で再認識できる。それと共に近所の書店もネット書店に追いつかんばかりの値で、こちらもまた「身近で便利な近所の本屋」の価値観が確認できる。なおコンビニの値がかなり小さくなっているが、これはコンビニでの本の販売のメインは雑誌のため。

さて以前【本の詳細情報どこから入手? ネットが一番・本屋が二番】で解説した「書誌情報の入手先」。具体的には次のような結果が出ている。

↑ 書誌情報入手先(択一)
↑ 書誌情報入手先(択一)(再録)

このうち直上でも挙げた、比較的「情報入手先として頼られている」大型書店・近所の書店、そしてインターネット(検索)の3項目それぞれを答えた人に、実際にはどこで書籍(書誌情報の対象となる本のうち、コミックや雑誌は含まれていないことに注意)を買っているかを聞いたのが次のグラフ。

↑ 書籍入手先(複数回答)(一番良く使う書誌情報入手先別)
↑ 書籍入手先(複数回答)(一番良く使う書誌情報入手先別)

例えば「大型書店」では「インターネット(検索)」項目で59.1%と出ている。これは「書誌情報を主にインターネットの検索で探している」と回答した人の59.1%が「書籍は大型書店で買う」と答えたことを意味する。

それぞれの書誌情報入手先で、購入する比率が高いのは当然の話。聞いただけでその場を離れるのは少々申し訳ない……というのはさておくにしても、「欲しいかも」「どのような本なのか」という好意を持っていた書籍が確定し、その場で購入・予約・注目が可能になるのなら、その場ですぐに手を打つのが一番手っ取り早いからだ。

ただし3書店共に微妙に値が異なるが、これはそれぞれ、

・大型書店……在庫を有しており、その場ですぐに購入できる=需要充足が即時にできるため、利用率も高い
・近所の書店……すぐに購入できる機会はあるが、在庫切れ・取り寄せになる可能性がある=需要充足が即時にできる可能性がある(ので、大型店よりは低い)
・ネット書店……注文してから手元に届くまで時間がかかる=「すぐに欲しい」という需要には応えきれない(ので、利用率は実書店よりも低い)

と考えれば通りが通る。興味深いのは書誌情報取得に「インターネット(検索)」を一番よく使っている人も、書店、特に「大型書店」を書籍調達先として利用していること。これは在庫の豊富さと即時調達性の利点によるもの。

雑誌やコミックに関しても同じような傾向があるのか否か、気になるところだが、残念ながら資料にはそのデータが無い。書籍とコミック、雑誌は購入スタイルや在庫状況が異なるため、恐らくは今件とは違った動向を確認できるだろう。



昨今ではネット書店のサービスとして、注文してから到着するまでの時間を短縮する競争のようなものが起きている。在庫があれば、そして注文者の所在地次第だが、夕方に注文を入れ、翌日には到着して手にできる場合も往々にしてある。

ネット書店だけでなくネット通販全般の弱点の一つ「購入決定をしてから、商品が手元に届くまでのタイムラグ」を少しでも減らし、その弱点で取りこぼしているお客を引き寄せようとする思惑が、すけて見えている。今データを見ると、それが改めて認識できるというものだ。

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