「実際の相手」を知らなくともネット経由で生まれる「親近感」

2011/11/16 12:10

デジタル親近感ネットエイジアは2011年11月14日、ソーシャルメディア利用者における「対人距離感」に関する調査結果を発表した。それによると主要ソーシャルメディア「ブログ」「ツイッター」「mixi」「Facebook」いずれか一つ以上を利用している調査母体においては、「ネット上のみで知っている」人よりは「現実での人物を知っている人」の方が信じられると考える人は8割を超えていた。一方で現実の人物像を知らなくとも、ネット上だけの付き合いで「気が合う」場合がある人は7割を超えている。「最終的にはリアルでの既知のあるなし」が決め手となるが、ネット上のみでのやり取りだけでも親近感を構築しうることがうかがえる(【発表リリース】)。

スポンサードリンク


今調査は2011年9月20日から27日にかけて、15-44歳の男女で「ブログ」「ツイッター」「mixi」「Facebook」いずれか一つ以上を使っている携帯電話ユーザーに対し、携帯電話経由のインターネットリサーチ方式で行ったもの。有効回答数は1020人。男女比は34.6対65.4、年齢階層比は10代・20代前半・20代後半・30代前半・30代後半・40代前半で均等割り当て。

インターネットの普及により、普段は足を運ぶ機会の無い人達との間でも、気軽にコミュニケーションがとれる時代。そして以前も「電話のみ」「文通のみ」で相手との親近感を覚えるような状況は存在しえたが、インターネットで「実際に対面していない相手」との親近感を、容易に形成できる機会が提供されるようになった。調査項目では、この「現実に対面していない人と、インターネット上のみのコミュニケーションで親近感・知人感覚を得られるか否か」について尋ねている。調査母体が「ソーシャルメディア利用者」ということもあり、事実上ソーシャルメディア経由でのネットコミュニケーションであることを前提としている点に留意してほしい。

まずはリアル(現実。実際に対面している、あるいはその人物像を他メディアで確認している)か否かと、インターネット上でのコミュニケーションによる親近感の創生について。要は「本人を知らないけど、ネットだけの付き合いで、相手との間に親しみを覚えたりするか」という問題。

↑ リアルを知っている・知らないと、ネット上での親近感(「そう思う」「まあそう思う」の合計=肯定派)
↑ リアルを知っている・知らないと、ネット上での親近感(「そう思う」「まあそう思う」の合計=肯定派)

「ネットだけでも気が合う事もある」は7割、「ネットだけでも身近に感じることがある」は6割近くに達している。一方で「やはりリアルを知っている方が信じやすい」との意見には8割強が同意を示しており、最終的にはリアルの既知・未知が決め手となるものの、ネット上だけでも相応以上の親近感が形成されることが分かる。

さらに「リアルを知らないネット上の相手なら、対面で話しにくいことも言える」に同意する人は約2/3に達しており、「リアルで無いからこそ得られるつながり、関係」を認識する人も少なくない。また、男女間では一部女性が高い割合を示す項目もあるが、誤差の範囲に留まっている。

それでは「親近感を覚える」前提ともいえる、「知人」判定はどのような関係で行われるのか。ソーシャルメディアで行われ得るコミュニケーションの手段として3つの事例を挙げ、それぞれの事例で「知人」と見なすか否かを聞いた結果が次のグラフ。

↑ 実名や顔を知らないネット上の相手に対して、どのような関係にあれば「知人」と見なすか(「そう思う」「まあそう思う」の合計=肯定派)
↑ 実名や顔を知らないネット上の相手に対して、どのような関係にあれば「知人」と見なすか(「そう思う」「まあそう思う」の合計=肯定派)

ここで挙げている「知人」とは、単に一方的な「知っている他人」ではなく、(希望的観測も含め)「自分は相手を知っている」「相手も自分を知っている」と認識できる関係。芸能人のファンのように「自分は相手(歌手)を知っている」「相手(歌手)は自分(一ファン)のことを知る由も無い」ような関係は「知人」とは呼ばない。お互いを知っている、つまり言葉通り「知り合い」を意味する。

さてその「知人」判定基準だが、掲示板やチャットなどでのやり取りと、コミュニケーション用の呼び名・ツールでのやり取りは、ほぼ同列扱いされていることが分かる。例えばソーシャルゲームやオンラインゲーム上で意志疎通を何度か行っただけでも、4割強の人は相手を「知り合い」と認識することになる(もっともソーシャルゲームの場合、大抵においてすでに「知り合い」でないとやり取りが出来ない事例が多いが)。

一方、単にネット上で自分の発言に返答してくれただけでも「知人」と認識する人は、3割前後に留まっている。「ラジオのトークショー番組で、司会が自分の投稿を読んで返事をしたら」「ファンの集いで握手会に参加し、『応援しています』の励ましの声を贈ったところ、『ありがとう』との返事をもらったら」、その相手を「知人」扱いするのに近い感覚がある。しかしインターネット経由のやり取りの場合、(場合によってはセミリアルタイムでの返答の場合もあり)、相手へのアプローチが気軽なため、もっと身近な存在に覚えてしまうのだろう。

また男女間の違いを見ると、一つ目のグラフの対象となる状況と比べ、やや明確な差異が見受けられる。ネット上のコミュニケーションにおける「知人」判定は、男性の方が容易にしやすいのかもしれない。



先日【パソコンの使い始めは平均3歳半…!? アメリカの幼児におけるデジタルアイテムの使い始め時期などをグラフ化してみる】で解説した、アメリカにおける「デジタル・ネイティブ世代」のような状況は、日本でも進行しているという話もある(【「電子黒板」と「子供向け教育用タブレット」と「デジタルデバイド解消の方策」と】)。生まれた時からインターネット上のコミュニケーションと触れあい、ソーシャルメディアとも慣れ親しんでいる世代が成長するに連れ、他人への親近感、知人認識はどのように変化していくのか。非常に気になるところではある。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー