【更新】「FEEL YOUNG」は「うさぎドロップ」のアニメ化特需…少女・女性向けコミック誌部数動向(2011年7月-9月)

2011/11/18 06:50

先日まで【社団法人日本雑誌協会】が2011年11月10日に発表した、2011年7月から9月分の印刷部数データを元に、いくつかの定期発刊雑誌の動向をグラフ化し、分析した。今回は少女・女性向けコミック誌の雑誌についてグラフ化を試みることにする。なお当方(不破)は男性で女性誌には疎いことから、数字そのものは別としても、内容分析については的外れなことを述べている可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたい。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」の立ち位置に「ちゃお」がついている。これは前回と変わりなし。

2011年4-6月期と最新データ(2011年7-9月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年4-6月期と最新データ(2011年7-9月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部超の世界は未達成だが、他誌に比べて「ちゃお」が抜きんでている様子が分かる。直近データでは65.2万部。販売実数はこれよりも少なくなるので、50万部強くらいだろう。第2位の「別冊マーガレット」の3倍近くに及んでいる。ただしこの65.2万部も、データが確認できる2008年7月-9月期以降における最盛期の値86.7万部から比べれば、20万部強ほど数を減らしている。

直近の動きとしては東日本大地震・震災の影響で大きく数を減らした前期からの回復が、各誌で見受けられる。前年同期比はともかく、前期比でプラスを示した雑誌は多い。

続いて女性向けコミック誌。こちらもやはり震災の影響による落ち込みを見せた前期からの復調が、印刷部数グラフからも確認できる。

2011年1-3月期と最新データ(2011年7-9月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2011年1-3月期と最新データ(2011年7-9月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

注意してほしいのは横軸の区分。一番右で16万部までしかない。男性向け、さらには少女向けコミック誌と比べ、随分と市場が小さいことが分かる。

トップは前回「YOU(ユー)」から差し変わった「BE・LOVE」がそのままその場を維持している。元々「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌で、1980年の創刊。女性の大人向け(30-40代)のレディースコミック誌。前期トップ、今期も第二位の「YOU(ユー)」同様、レディースコミック誌の強さを再認識させられる。なお前期該当発売号の無かった「別フレ2011」は「前期部数」の値が省略されている。

さて「少女・女性向けコミック誌」としての記事は今回が四回目となるが、それより前のデータもすでに取得済み。そこで他の分類同様に、印刷数変移をグラフ化する。まずは最新期と前期の変移率。要は約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年7-9月期、前期比)

部数グラフでも振れたように、前期の震災による下ぶれの反動もあり、赤棒(マイナス5%以上の下げ率)は皆無で、プラス誌が7誌も確認できる。とはいえ女性向けのコミック誌も男性向けのコミック誌と状況は大して変わらず、厳しい局面を迎えていることに違いは無い。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2011年7-9月期、前期比)

堅調なのが「CIEL(シエル)」、そして今回は「FEEL YOUNG」が目に留まる。「CIEL」は前回解説したように「ボーイズラブ(BL)」系のコミック誌で、同ジャンルの人気の底深さと浸透拡散ぶりがあらためてうかがえる。一方で「FEEL YOUNG」は、現在では番外編を連載中の「うさぎドロップ」がアニメ化、そして実写映画化されたこともあり、これが大いに部数を底上げしている。

続いて「前年同期比」の値も算出する。いわゆる「季節属性」を考慮しなくても済む(例えば今回なら、2011年7-9月と、その1年前の2011年7-9月分の比較)ので、純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの伸縮率が把握できる。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)

前年同期比も厳しいのは男性向けのコミック誌同様で、少女向けコミック誌でもプラスは1誌、あとはすべてマイナス。しかもマイナス値は前回とほぼ同じで、他専門誌・雑誌の軟調傾向と何ら変わりない。10ポイント超のマイナス値は6誌にも及び、前回の10誌からはやや改善されているが、スズメの涙程度。特に最下列にある「ASUKA」「なかよし」は前期でも同じようなポジションにあり、今後の動向が心配。

他方「別冊花とゆめ」は前期比に続き前年同期比でも大きく伸びている。2011年9月号での「ガラスの仮面」の連載再開が大きいものと思われる。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2011年7-9月期、前年同期比)

前期比部分でも言及した「CIEL」が大いに健闘。他に「FEEL YOUNG」がプラスだが、こちらも上昇理由は前期比同様。「うさぎドロップ」効果の大きさが再確認できる。



今期は特に女性向けコミック誌において、前期の震災による影響からの反動が現れている。それと共に前回から指摘している、「CIEL」と「MELODY」という、それぞれ「ボーイズラブ・ストーリー」や「ドラマ」といった「オンリーワン」的特性を持つ雑誌の輝きぶりが再確認できる。また、「別冊花とゆめ」の「ガラスの仮面」、「FEEL YOUNG」の「うさぎドロップ」のように、単独で、あるいは他メディアとの相乗効果で、1作品でも雑誌全体を大きく支え得る可能性も再確認できる(『ウルトラジャンプ 2011年06月号』から連載を開始した、「ジョジョ」シリーズ第8部の「ジョジョリオン」が「ウルトラジャンプ」を大きく引っ張ったのと同じ現象)。

もちろん「すべての女性・少女向け雑誌をボーイズラブ化、あるいはドラマ化すれば良い」と結論づけているわけではなく、闇雲に他メディアとの連動を画策すべきものでもない。手法、切り口、方法論の一つとして、これらの雑誌に学ぶべきということだ。

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