週刊ポストやベビモが伸びた程度、あとは震災起因による下落か…諸種雑誌部数動向(2011年7-9月)

2011/11/17 06:35

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2011年7月-9月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2011年11月10日に発表した、2011年7月から9月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、当方でもいくつかの雑誌について丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移のグラフ化を試みることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、それなりにつかみとれるハズだ。

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データの取得場所の解説や、「印刷証明付部数」など文中に登場する用語の説明は、一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明が行われている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。状況を一言で表現するのなら「漸減」。

一般週刊誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年7-9月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2011年7-9月)(万部)

今回計測分では前期比(前年同期比では無い・グラフは略)でプラスに転じている雑誌は1誌「週刊ポスト」のみ。「週刊現代」は前期比では多少のプラスを示しているが、前年同期比ではマイナスに。セールを伸ばすためになりふり構わず行ってきた企画構成だが、震災周りで無理が露呈したのかもしれない。一方「週刊ポスト」は前期に続く復調ぶりで、今回は唯一青系統の棒グラフを構築することになった。こちらも【「真実は、人の数だけ存在する」】で例示したような、内容構成の結果によるところが多分にあると考えられる。またはサイト版【ニュースポストセブン】との連動効果もあるのだろう。それらを除けば、前期記事で指摘した「震災特需」も終わり、通常の状況に戻ったという感は強い。

マイナス10%超えを継続している「SPA!」や「FLASH!」などは、紙媒体による「写真週刊誌」という存在において、供給過多のイメージは否めない(需要の観点では「週刊プレイボーイ」もしかり)。数字の減退ぶりがそれを裏付けている。あるいはデジタル系をメインとし、本誌はそのデジタル系のプラットフォームとして割り切り、出版形態・構成を変えるぐらいの変革すら求められよう。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルだったはずだが、今期も前回掲載時と比べて状況は変わらず、あまり良くない。元気なのは「ベビモ」だけで、後はみな「おつかれ」状態。特に「edu(エデュー)」は前期同様、前年同期比で10%以上のマイナス値を示しており(部数としては数千部程度なのだが)、今後の動向が気になるところ。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる一方の昨今、ニーズは強まるはずなのだが、全般的に伸び悩み状態なのは前期と変わらず。インターネット、とりわけモバイル系端末経由の情報提供サイトに読者を奪われている可能性は高い。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

特に「きょうの料理」は前期に続きマイナス20%近い値を示しており、根本的なテコ入れが求められているのが分かる。印刷部数としてはまだ40万部強ほどあるのが幸いだが。なお今グラフは「前年同期比」なので今回は反映されないものの、2009年10-12月期以降データが非開示となった「レタスクラブ」について、今期から再び公開された(約27万部)ことを記しておく。

エリア情報誌。こちらも苦境は続く。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

「ぴあ(首都圏版)」は【雑誌の首都圏版「ぴあ」7月21日発売号で休刊・39年の歴史に幕】にもある通り7月21日売り号で休刊。7月売り分のデータを反映させたようだ。前年同期比でこそマイナスだが、前期比ではプラス65.8%の約8万5000部という値が確認されている。最終号を記念に購入する人が多かったようだ。また「北海道ウォーカー」が前年同期比・前期比共にプラスを示しており、前期記事で呈した「関東から移動してきた人の、道案内的な資料としてニーズが高まる」との仮説が当てはまる雰囲気。

【イヌとネコ、耳や鼻が良いのはどっち?…イヌとネコのトリビアたち】にもあるように、しばしば対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数(万部)
↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)

今回も前回同様、前年同期比では「ねこのきもち」の勝利(とはいえ両紙ともマイナス)。もっとも直近二期比較では両誌とも印刷部数を減らしており、出版業界全体の不調は犬猫業界にも影響している。ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」13.6万部・「ねこのきもち」10.1万部で、「いぬ」の勝ち。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。以前【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で報じたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊しておりすでに無く、更新データとして提示できるのは「小学一年生」から「小学四年生」まで。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2011年7-9月、前年同期比)

今回は「小学一年生」だけが大きくプラスに戻している。詳しくは後日詳細を分析するが、「小学一年生」「小学二年生」はともかく、「小学三年生」「小学四年生」の落ち込み具合は危機的なものがあり、根本的なセールスの改善策、あるいはビジネスモデルの再構築を迫られている。

ちなみに「小学六年生」「小学五年生」の代わりに登場した隔月刊誌「GAKUMANPLUS」は2010年4月15日に創刊。今回のデータで3期目となる。まだ「前年同期」は無いのでグラフには反映されてはいないが、今期部数は1.3万部。果たして「前年同期比」のグラフに登場できるのか否かという不安すら覚えてくる。



以上ざっとではあるが、いつものように各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。ごく一部の例外をのぞき、ほとんどが前年同期で少なくとも1割前後の売れ行き減な状態が確認できる。

需要の大きい(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などで触れているが、子供にかける費用は削られない傾向がある)育児系雑誌・小学生向けの学習雑誌ですら大きく落ち込んでおり、雑誌業界そのものが例外なく規模の縮小に追いやられていることが分かる。

また、今回取り上げた業界専門誌の領域(料理や育児など比較的ハードルが低い、一般向けの業界)は、デジタル系ツールとの組合せで、逆に紙媒体としての魅力を活かしつつ、多くの人から注目を集められる可能性を十分に秘めている。例えばAR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))の常用活用を模索するなど、今だからこそ出来る挑戦もある。

決して多いとは言えない残り時間が尽きる前に、打てる手立ては講じておくべきである。


※11月17日追加:
2011年10月3日売り号で、「GAKUMANPLUS」は休刊となりました。

■関連記事:
【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか……週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる (追補編)】

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