両社共30%超えの「その他」部門の伸びが目に留まる(電通・博報堂売上:2011年10月分)

2011/11/11 06:45

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年11月10日、同社グループ主要3社の2011年10月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年11月9日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年10月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年10月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年10月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災の影響は、直接的な動きとしてはほぼ終息したように見える。そしてそれ以前からの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っている」状況がそのまま復帰したような感が見受けられる。10月の特徴としては、「雑誌」の復調ぶり、特に博報堂の値の高さが目に留まる。もっとも昨年同月のデータを確認すると、博報堂の「雑誌」の値はマイナス31.6%と大きく下げており、この反動という解釈もできる。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で14項目。前月と変わらず、そこそこの復調ぶりがあらためて分かる。具体的な表記は略するが、4マス内だけでも8項目中6項目と前月から1項目さらに増えており、この点だけでも先月9月より一層の堅調な状況がつかみとれる。

今月は先月の電通、そしてさらに博報堂でも「その他」部門の伸びが目に留まる。金額としても電通は100億4100万円・博報堂は5億8700万円(三社合わせて)と、博報堂はともかく電通はかなり大きな額となる。リリースの説明ではこの項目の具体的内容として

電通……衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務が含まれます

博報堂……スポーツ、エンタテインメント、その他コンテンツ等に関する取引が含まれております。

とだけあり、詳細は不明。広告代理店が自社業務のラインを公開することは滅多にないので(場合によっては公開した時点で「効果」が半減してしまうものもある)、どのような案件が両社共に「前年同月比3割台のプラス」という好成績を上げたのかは把握できない。ともあれ他の部門も合わせ、10月分は電通・博報堂共に従来型広告(屋外広告など)や区分しにくい分野(4マスとインターネット以外)で奮戦したことになる(もっともマーケティング・プロモーション部門は両社共下げているが)。

なお今件のグラフに関して改めて説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。先の「その他」部門の項目でも分かるが、他に例えばインターネット分野の額面は、他の分野と比べればまだ小さめ。そして個々分野を会社毎に比較した額面上では、電通の方が上となる。例えばインターネット分野なら、電通37.91億円、博報堂は23.08億円(3社合計)という値。

電通・博報堂HDの2011年10月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年10月における部門別売上高(億円、一部部門)

震災の直接的な影響を受けた数字のマイナス変動はすでにピークを過ぎ、各項目の値は予定調和内の動きに戻している。とはいえ繰り返しになるが、以前からの「4マスが泥沼化」「ネットがプラス」という状況に変わりは無い。ただしこの数か月の動向を見ると、「テレビがやや戻し気味」「4マスとネット以外の従来型広告に力強さが見えてきた」という、新たな動きも感じられる。

電力供給不足はどのような甘い試算をしても、今冬以降も続くものと予想される(特に寒さが厳しい北日本での懸念が大きい)。新スタイルの広告手法として注目されている「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるが、積極的な節電の「空気」はまん延したままで、以前ほどの活力は見られない。

「そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まってもよさそうなものだが」という話がこの数か月続いていたが、その動きが実際に数字として表れてきつつある。「その他」が跳ねているのもその一端だろう。

今後は従来型・4マス・ネットそれぞれの良い所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(広告効果的には無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が(今まで以上に)求められる。その分知恵を振り絞った、発想に優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まることになるのはいうまでも無い。


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【冬場の時間単位での電力需給推移をグラフ化してみる】

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