ラジオが一番軟調だが3.3%のマイナスに留まり全体ではプラス6.7%に(経産省広告売上推移:2011年11月発表分)

2011/11/10 12:10

経済産業省は2011年11月9日、特定サービス産業動態統計調査において、2011年9月分の速報データを発表した。それによると、2011年9月の主要メディアにおける広告費売上高は前年同月比でプラス6.7%と増加を見せていることが明らかになった。主要項目別では「ラジオ」がマイナス3.3%と、もっとも大きな減少率を記録している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元の詳細などは記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】の中で解説している。そちらで確認してほしい。今記事はその2011年9月分データ(公開は2011年11月)の速報値を反映させたもの。それより前のデータについては、速報値の後に発表される確定値で修正されたものを用いている。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年8-2011年9月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2011年8-9月)

比較しやすいように先月発表データと並列して図にしたが、東日本大地震・震災による影響による下落からリバウンド的な復調を見せた6月分、そのリバウンドが終わり、二極化の動きを見せ始めた7月・8月と比べると、「二極」のマイナス部分はやや戻しを見せつつある。しかしながら「4マスとネットの成長率の差異、両グループの二分化」の流れに違いは無い。

「新聞」は今件で取り上げている5項目(4マス…新聞・雑誌・テレビ・ラジオ、そしてインターネット広告)の中で、唯一前月から値を落としている。これは先月の新聞の値は4マス中では唯一プラスを見せたものの、それが昨年の同月においてマイナス24.4%という大きな下げの反動によるものでしかなかった結果といえる。とはいうものの、1.0%でもプラスなのだから、その点は評価すべき。むしろ下げ幅が縮まったとはいえ、ラジオが今月も前年同月比でマイナス3.3%と「マイナス値のまま」であることに憂慮する必要がある。

ちなみにテレビがやや復調、ラジオの調子があまり良くないなどの動きは【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2011年9月分)】と類する部分が多く、電通や博報堂の動きが広告業界全体の動きと相関関係にあることが改めて確認できる。

今回も該当月における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。電通や博報堂の区分とは違うため、該当同月の両社データとの違和感を覚えるところもあるだろうが、参考値の一つとしてとらえてほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年9月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年9月、億円)

以前の記事で”「テレビ」に続き「インターネット広告」が(対象項目中では)広告費第二位となり、「新聞」を追い抜く形となった”としたが、その後「新聞」は復権。しばらく「新聞」の優位が続いていた。しかし今回9月分では再び「インターネット広告」が広告費で「新聞」を抜いた。これは一連のデータ追跡では2回目、2011年5月に次ぐものとなる。今後しばらくは追いつ追われつを繰り返しながら、次第に新たな立ち位置が確定的なものとなっていくのだろう。

次に、公開されているデータの推移をグラフ化する。インターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からなので、それ以降の値について生成したのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年9月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2011年9月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏の中で2009年後半以降は回復、プラス圏を維持。この数か月は再び大きな伸びへ」「テレビは2010年あたりから戻しの雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷-やや下げ幅を縮小、一部はプラスに」「雑誌はかなり厳しいレベルの下げ幅を継続していたが、ここしばらくは復調の雰囲気も」という傾向を見せてい”た”。そして東日本大地震・震災による影響で今年3月分から、グラフは大きなうねり・変移を見せ始めている。特に回復の流れにあった「売上高合計」の太い赤線が、再びマイナス圏に移行してしまったのが目に留まる。今月発表分では先月に続く形で、一部分野において回復の動きが確認できるが(合計もプラスに転換)、「ラジオ」のように回復の波に乗れない項目もある。

新聞購読元々紙媒体の電子媒体への一部移行と適正な住み分け(紙媒体のすべてが電子媒体に移行する・できるわけではない)、電波媒体の広告プラットフォームとしての立ち位置の正当評価(今は一部で過大評価ともいえる)は、メディアの技術進歩や需給関係の変化と共に、漸次進行する。日本の場合は諸外国と事情が異なり、「既得権益を悪と決めつけ、それを打破するのが大切」と事あるごとに語る報道メディアそのものが大きな既得権益を握り、それを頑なに守る動きが強く、「立ち位置の正常化」は遅延している。

一方東日本大地震とそれに伴う各種震災・人災、そしてその後の消費者の中に芽生えた心理心境の変化は、広告出稿側のお財布事情の変化(多くは厳粛化)、地震報道などで見せた各媒体の「真の価値」に対する(視聴者・広告主における)意識の移り変わりをもたらし、広告業界でも一部軌道修正がされた上で、広告業界全体における変化の「時計の針」を押し進めている。特に「インターネット広告」と、他の広告(4マス)とのかい離が目に留まる。「金額ベースが小さいので、インターネット広告の伸び率が大きくて当然だ」という意見もあるが、今月の事例にもある通り、すでに4マス+ネット内では第二位の金額を示す項目を「小さい」と評するのには、あまりにも無理がある。

今後も電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、特定サービス産業動態統計調査の結果の追跡に傾注し、メディアと広告の状況変化の移り変わりのチェックをお勧めしたい。単月ではつかみとれないことが、数か月の流れの中で浮かび上がるかもしれない。

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