吉野家の「牛鍋丼」リニューアルも状況挽回せず、客数マイナス15.1%に…牛丼御三家売上:2011年10月分

2011/11/10 06:33

[吉野家ホールディングス(9861)]は2011年11月7日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2011年10月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス10.3%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年10月における売上前年同月比はマイナス0.6%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス1.1%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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吉野家は「2010年9月」から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した(同月の売上高は前年同月比でプラス5.9%を記録している)。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、オプション的メニュー「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように今年の8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。

「2011年9月」には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更した(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく上昇したものの、昨年の「牛鍋丼」の反動を抑えるほどの客足は確保できず、(前年同月比での)売上も急降下を描くことになった。逆に考えれば、去年9月の初代「牛鍋丼」がいかに多くの集客威力を持っていたのかが、改めて認識できる。

↑ 牛丼御三家2011年10月営業成績
↑ 牛丼御三家2011年10月営業成績

昨年同月の「牛鍋丼」の客入りの良さの反動で、大きく前年同月比を下げた吉野家の客数だが、10月はやや復調を見せている(9月はマイナス23.7%だった)。しかし本格的な回復には今しばらく時間がかかるようで、カレーなどの新メニュー登場で底上げされた客単価の増加分も、大きく打ち消されてしまっている形。売上が前年同月比でプラスに転じるには、今しばらくの時間を要する。

松屋キャンペーン松屋は相変わらず客数と客単価のバランスが良く、客単価がやや不調でもその分客数がカバーをし、売上高を積み増し、売上が下げても最小限のレベルで維持されている。「牛丼御三家」の中では、実は松屋が一番手堅い、しっかりとした足固めをしているようにも見える。ただし該当月である10月は、10月3日から10日まで「牛めし240円」の割引キャンペーンを実施しており、それですらこの値しか出なかったのは、少々厳しい(最も前年同月も同様に牛めし250円キャンペーンを行い、売上をプラス11.0%・客数をプラス23.1%と大きく伸ばしている。この反動も多分にあると考えれば、そこまでの懸念は必要ないかもしれない)。

色々と話題に登ることが多いすき家は、昨月に続き今月も前年同月比の売上をマイナスにしてしまう。客単価はわずかに持ち直したものの、客数が9月よりさらに(前年同月比の値で)落ち込み、これが売上高をマイナスにとどめる要因となった。ちなみにすき家では2009年12月以降継続して「客数前年同月比プラス」を維持しており、このままの傾向が続けば11月か12月にも、この連続記録が終わってしまいかねない。

昨月の記事でも指摘したように、そして先日の【2011年9月度のチェーンストアの売上高、前年同月比マイナス3.6%】でも再び記載しているが、チェーンストア(デパートやスーパー)では9月の時点でも、「牛肉が不調。代わりに加工肉や鶏肉・豚肉は堅調」という動きが確認できる。多分に「震災」の影響によるところが大きいのだが、これが牛丼御三家においても心理的な部分で、客足を遠のかせている可能性は十分にある(もっともこれは牛丼だけに限らず、外食の焼肉チェーン店にもいえることなのだが)。

10月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価はプラス継続中だが客数が大きく下げ、売上を圧迫中」「松屋…客単価は落ちたが客数でダメージを最小限に」「すき家…客足増加率が足踏みで好業績に陰りが?」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年10月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年10月)

すき家の客数増加は今年に入ると歩みがゆっくりとしたものになり、8月以降はギリギリプラスを維持している状態で、これが売上高マイナスの起因となった。しかしそれでもなお2009年12月以降、毎月前年同月比でプラスを維持している。既存店(1年前にも存在していた店のみ)での売上であることを考えれば、店舗数の拡大とは関係が無く、純粋に営業努力のたまものといえる。

店舗数比較では、すでにすき家がはるかに吉野家を超える形。今でもすき家の拡大戦略は続いている。10月における9月からの店舗増加数は19件・先月比プラス1.1%となっている。この拡大方針がどこまで続くのか、昨今の警察庁からの「指導」への対応と共に、気になるところではある。

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