出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)(番外編:電子書籍独自追加版)

2011/11/13 06:45

2011年10月24日付けの姉妹サイトでの記事【2011年版『出版物販売額の実態』を入手】で報告した通り、昨年2010年の記事【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】などでデータを利用した、出版業界のデータを網羅した『出版物販売額の実態』の最新版「2011年版」を入手できた。そこで【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】などをはじめ、逐次「2010年版」で作成した値の更新、内容の再精査と記事展開行っている。今回はその番外編として、「2011年版」ではまだ反映されていない「電子書籍」に関して、別ルートからのデータを取り入れ加算した上で、当方にて一部データ・グラフの再構築を試みることにする。

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「2011年版『出版物販売額の実態』」ではいわゆる「電子書籍」は数字には反映されていない。「インターネットルート」という項目はあるが、定義は「インターネット専業店を経由して販売された(紙媒体による)出版物推定販売額」。電子書籍は該当しない(「2011年版『出版物販売額の実態』」出版元へ確認済み)。来年発行の「2012年版」以降では何らかの形で反映される可能性もあるが、電子書籍を「出版物」と見なすか否かの解釈が難しく、現時点ではどのような結果に落ち着くかは未知数。

一方で日本国内の電子書籍そのものの動向だが、【電子書籍ビジネスに関する調査報告書を2冊同時発売(インプレスR&D)】のリリースなどにもあるように、2010年度では約650億円という推定値が出ている。その他に「電子出版」としては「電子雑誌」が考えられるが(※「書籍」は基本的に単発、「雑誌」は週刊・月刊などの定期発刊誌とする区分。広義の「電子書籍」では「電子出版」と同義とし、「電子雑誌」も含めている)、こちらは2010年度で約6億円という市場試算が出ている。

↑ 日本国内電子書籍市場規模(億円、電子雑誌は含まず)(インターネットメディア総合研究所)
↑ 日本国内電子書籍市場規模(億円、電子雑誌は含まず)(インターネットメディア総合研究所)

そこでこの発表リリースを元に「公開値」を拾い、「2011年版『出版物販売額の実態』」のデータに当方で独自に加算し、いくつかのグラフを創り直してみる。なお「電子雑誌」は2009年度以前のデータが公開されておらず、2010年度もわずか6億円のため(それでも2015年度には200億円規模に達するという試算が出ている)、今回は省略する。

まずは販売ルート別推定出版物販売額。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2010年)(億円)(電子書籍追加Ver.)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2010年)(億円)(電子書籍追加Ver.)

あくまでも金額ベースでの話だが、「電子書籍」はすでに「駅売店ルート」を超えて第4位の立ち位置にある。ほぼ同一ツールを使う点では「インターネットルート」と競合する点もあり、今後両者の関係が気になる。

続いてこれを比率グラフにしたもの。「電子書籍」の立ち位置が分かりやすいように、項目の並びを一番右にしてある。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2010年)(比率)(電子書籍追加Ver.)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2010年)(比率)(電子書籍追加Ver.)

金額はそれなりなものの、全体シェアとしては「その他大勢」のレベルでしかない。ただし「インターネットルート」同様、確実にシェアを伸ばしているのも事実。

最後は経年データによる積上げグラフ。「電子書籍」は2002年以降しかデータが無いが、その2002年は10億円のみなので、2001年は無視できる範囲と考えて問題ない。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子書籍追加Ver.)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子書籍追加Ver.)

一番上、総額を示す赤い数字の直下にあるのが電子書籍だが、総額が減る中でインターネット同様に増加傾向を示す数少ない項目であると共に、全体に占める割合は微細なのが改めて認識できる。

一方、切り口を変えて「インターネット」+「電子書籍(電子出版)」で見た場合、値が低減しているコンビニルートと比較すると、あと数年でその立ち位置が逆転する推測ができる。運ばれる商品が紙媒体か電子信号かはともかく、インターネットを活用した出版物ルートが、コンビニを抜き、書店に次ぐ第二位の地位につくということだ。



今件データは組み合わせた両者で調査機関も方法も異なるため「精密な情報」には程遠く、参考値レベルのものでしかない。しかし電子書籍の実態と今後の可能性を推し量るには、十分なものといえる。今後「出版物販売額の実態」の対応とあわせ、電子書籍(「雑誌」も大きな伸びが期待できるので「電子出版」とすべきかもしれない)の動きも注視していきたいところだ。

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