出版社と売上高の関係をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)

2011/11/12 06:33

先日【2011年版『出版物販売額の実態』を入手】で報告したように、昨年2010年に【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】などで用いた、出版業界のデータを網羅した『出版物販売額の実態』の最新版「2011年版」を入手することができた。そこで【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】などの例にあるように、逐次「2010年版」で作成したデータの更新と、内容の再検証を行っている。今回は出版社と売上高の関係をグラフ化し精査した記事の更新を行う事にする。なお最新版は昨年版と比べて過去のデータも再精査の上で修正が入っているため、昨年版を元にした記事内容やグラフと、違いが生じる可能性がある。

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まず最初は出版社総数と、それらの出版社全体の総売上高。なお各年の売上高は定価換算の総売上(出版物以外に印税や不動産収入、映像関係、玩具などその他諸々を含め)に、マージンを考慮し0.6895を換算値として当てはめた結果によるもの。例えば2010年は2.13兆円とあるが、ベースとなる総売上額原値は3兆0866億円(うち出版物実売金額は1兆9286億円)、それに0.6895をかけて2兆1281億8500万円となる次第。

↑ 出版社数と総売上高推移
↑ 出版社数と総売上高推移

この10年間で売り上げは3割強も減少。出版社数も漸減しているが、それ以上のペースで売上が落ちているのが分かる。後述しているように出版社は(他業界同様に)かなり企業規模・売上が少数大手に偏っているためさほど大きな意味はないのだが、一応参考までに1社あたりの平均売上高を算出すると、売上の減り具合があらためて認識できる。

↑ 1社当たりの平均売上(億円)
↑ 1社当たりの平均売上(億円)

より意味がありそうなのは次のグラフ。売上高と企業数それぞれについて、前年比をグラフ化したものだが、企業数推移がマイナス1%前後に留まっているのに対し、売上高の推移がそれを遥かに超えたマイナス値で動いているのが確認できる。「企業数が減っているのだから売上高も減って当然」という理由、説明はそれほど大きな意味を成さない。

↑ 売上高・企業数前年比推移
↑ 売上高・企業数前年比推移

最後は出版社の売上順位別に見た、売上高占有比。

↑ 出版社売上順位別売上高占有比(金額は億円)
↑ 出版社売上順位別売上高占有比(金額は億円)

2010年は計測対象の出版社は3815社。そのうち売上上位5社だけで売上の2割強を占める。6位から50位までをさらに合わせると1.1兆円近くとなり、過半数に達してしまう。この類の統計でよく見られる「上位100社」の区分にすれば、1.36兆円・63.9%。ほぼ三分の二。つまり「企業数で上位2.6%の企業が、売上の63.9%を占める」計算になる。

【出版業界の決算状況をグラフ化してみる】でも触れられている通り、売上上位の企業の方が業績が良い傾向がある。淘汰可能性を考えれば、今後もこの傾向は拡大傾向を続け、寡占化は進むものと思われる。出版業界全体の動向を推し量れば、規模の拡大化によって難局を押し切るのも一つの方法論といえよう。



以上何回かに分けて「2011年版『出版物販売額の実態』」をもとにデータを精査し、推測などを行ってきた。コンビニと出版物の関係をはじめ、状況は去年から継続していることが分かる。

この後もう1本、余興的なデータと記事展開を行う予定だが、「2011年版-」に関する基本的な定例記事はこれで終了となる。来年発刊されるであろう「2012年版-」では今年2011年のデータを反映することになるが、電子書籍の更なる浸透や、東日本大地震・震災の影響など、気になる要素が数多く想定される。

発売が確認され次第最新版を入手し、2011年との対比も合わせ、さらなるチェックを試みることにする予定だ。

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