直近月では下落、しかし年ベースで見ると…(2011年10月分世界食糧指数動向)

2011/11/04 12:00

先の2011年3月に掲載した記事において、国連食糧農業機関(FAO)が定期的に更新・発表している【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】が高い水準を維持し続けていることを精査の上、お知らせした。今データは1990年以降にFAOが世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視・統計したもので、昨今の各種商品市場の動向、さらには政治情勢を判断する時には、大変役立つ値である。そこで当サイトでは定期的にデータの更新・グラフの再構築を行うことにしている。今回はその2011年10月分の反映版となる。

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世界食料価格指数(FAO Food Price Index)の詳細、そして項目名の定義に関しては一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】などで確認のこと。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2011年10月)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。ところが先の「サブプライムローンショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的に上昇傾向にあるのが確認できる。特に「サブプライムローンショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、全体的に上昇する一方。

目に留まる点として一連の金融危機の前に起きた、2005年後半あたりの砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘いものの需要が増える)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が増加したのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る値を算出し続けており、そのような言い回しも無意味なものとなりつつある。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2011年10月)

砂糖の2010年初頭からの急落ぶりが目立つが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決するはずも無く、再び上昇をはじめている。今回計測月となる10月においては9月以上に下げる動きを示している。10月の総合指数216.1(暫定値)は昨年10月以来の低い基準。説明には「構成要素となる食産品の国際価格上の値下がりを反映している」とある。もっともこれでも昨年同月と比べれば高値に違いは無く、生活の不安要素を積上げる大きな要因となっている。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の前年同月比・前月比を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年10月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2011年10月)

幸いにも直近月ではいずれの項目も9月以上に値を落としているが、年ベースで見ると、価格上昇は継続しているのが分かる。リリースでは今月の動きについて「今年6月以降総合値は下落を続けている」「穀物は生産量の増加に加え、バイオ燃料や飼料で穀物の多くを消費する先進諸国の経済状態の乱れから、需要が減退したのが要因」「油脂下落は南米での方策、東南アジアでのパーム油の生産増加などが起因」などと説明している。

直近では昨年の秋口が価格のピークだったため、前年同月と比べても上昇幅がおとなしめ、直近ではむしろマイナスを示し続けており、価格上昇に「冷やし」が入っている可能性が高い。食品群の値下がりは調達を容易にするものだが、その一因が「経済後退で需要が減ったから」であることから、素直に喜ぶわけにもいかない。あらためて需給バランスの難しさを確認させてくれる。



食料価格の上昇は新興国における需要の急速な拡大に加え、バイオエタノールの材料に転用される問題、天候不順による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、価格が安くなる要素が見つかりにくい。大きな需給関係のバランスを動かす事態が発生しない限り、中期的には値を上げ続けることになる。一方で直上でも触れているように、ここ数が月は先進諸国、そしてそれに連動する形で新興国の経済上の歩みの乱れが需要減・価格下落を導いており、数少ない「価格が安くなる要素」が発動している状況。

一連の記事からの繰り返しになるが、食事のベースとなる穀物価格、そして贅沢品のベースとなりやすい砂糖や油脂の高騰は、社会情勢を不安化させる要因となる。昨今の世界各地における情勢不安も、要因の一つに食料価格の上昇があると考えるのが道理。それだけに食料価格を世界的な視点で眺められる世界食料価格指数には、十分な留意が求めらねばなるまい。

先日から報道が続いている、タイ周辺での水害が今件の食料価格指数、とりわけ砂糖の値にどのような影響を与えるか、今後の値動きが気になるところだ。

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