本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)

2011/11/09 06:47

2011年10月24日の記事【2011年版『出版物販売額の実態』を入手】で報告した通り、昨年2010年に【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】などの記事執筆の際に用いた『出版物販売額の実態』の最新版となる「2011年版」を入手することができた。そこで【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】をはじめ複数の記事について、逐次「2010年版」で作成したデータの更新と、内容の再精査を行っている。今回は本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化し分析した記事のデータ更新とその精査を行う事にする。なお最新版は昨年版と比べて過去のデータも再精査の上で修正が入っているため、昨年版を元にした記事内容やグラフと、違いが生じる可能性がある。

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まず出版物の区分だが、元資料には2010年のデータ区分としては「雑誌」「コミック」「文庫」「新書」「児童書」「学参」「実用書」「文芸」「ビジネス」「専門書」「総記」と11種類が用意されている。このうち書店規模別で大きな違いが確認できる「専門書」、そして売上全体の6割強を占める「雑誌」「コミック」「文庫」の3項目、合わせて4項目を単独で抽出。残りを全部まとめて(本当の意味での)「その他」に再集計する。

最初のグラフは店舗の規模別。

↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2010年)
↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2010年)

「一部」とグラフ題名にあるのは、上記説明にあるように、印刷物の区分をある程度まとめているため。個人経営の小規模書店のイメージ通り、「雑誌」「コミック」「文庫」の3項目は書店規模が小さいほど売上全体に占める割合が大きい。店舗面積が大きくなるほど他分野の、そしてその多くは回転率が低い出版物も配せるが、小規模店舗ではそれらを置く満足なスペースを確保することが難しいという事情が、グラフ上で再現されている。

しかし【出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)(2011年「出版物販売額の実態」版)】でも触れているように、それでも「文庫」は小規模店舗の方が(十分な品ぞろえを確保できないからか機会損失も大きいようで)売上減少率は大きい(2010年は「コミック」については規模とは関係なく堅調に推移している)。「限られたスペースの中で多くを割いて配した商品の売上が大きく落ち込んでいる」のなら、小規模書店の経営が厳しくなるのも納得がいくというもの。

また、書店規模が大きくなるにつれて「専門書」(紫部分)の売上比率が伸びているのも注目に値する。501坪以上では実に1割強に達している。これは「雑誌」「新書」などとは逆の性質……「賞味期限」が比較的長い、単価が高め、一度その書店で取り扱っていることが認知されれば定期購入してもらえる可能性が高い、「広く浅く」取り扱っていないと集客・販売効果は限りなく小さくなる……などがあり、これらを活かすには面積の大きさが求められるからと考えて良い。

一方立地別では、あまり大きな違いは無いように見える。

↑ 店舗立地別、分類別売上高構成比(一部、2010年)
↑ 店舗立地別、分類別売上高構成比(一部、2010年)

「ビジネス街」の店舗ではあまり「雑誌」は売れていない。一方で「専門書」は7.3%と、立地区分別ではもっとも高い値を示している。仕事上での利用需要を考えれば、これは当然の値といえる。ちなみに「ビジネス街」での「ビジネス書」の割合は7.5%。立地区分別では一応最多比率ではあるものの、それでも1割に満たない。「広く浅く」「初心者向け」の傾向が強い「ビジネス書」は、該当する職種・業種の人達自身への需要は「専門書」ほど多くはないのだろう。



コミック実店舗における書店の最大のライバルは、インターネット書店。【ネット通販で買うものトップは本、次いで食品。ではその理由は……?】などで解説しているが、品揃えの良さや気軽さでは、実店舗はかなうべくもない。さらに翌日配送などが浸透し、「本屋ならその場ですぐに手に入るが、ネット通販だと『欲しい』と思ってから手に入るまで時間がかかる」という実店舗のメリットも縮小しつつある。さらに【『出版物販売額の実態』と電子書籍の件】で触れている通り、電子書籍の問題もある。市場規模ではすでに(推定だが)「駅売店」の規模を超え、「書店」「コンビニ」「インターネット」に次ぐ位置にある(物理的な商品のやり取りをしない「電子書籍」を同列に扱ってよいのか否かという「そもそも論」的な問題もあるが)。

小さな売り場の本屋に、大面積を誇る大型書店やインターネット書店と同じサービスを求めるのには無理がある。面積以外に立地や周辺環境などさまざまな条件、置かれている状況を十分把握した上で、品揃えの最適化とサービスの提供をすることが求められる。それは何も書店に限ったことではなく、小売全般に言えることではあるのだが。

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