30代で住宅ローンの重荷が…二人以上世帯の貯蓄・負債・純貯蓄高(最新)

2021/09/12 04:30

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2021-0902総務省統計局は2021年5月18日までに【2019年全国家計構造調査】の主要調査結果を発表した。二人以上の世帯(住居や生計をともにしている二人以上の集まり。勤労者世帯だけでなく年金生活者のみの世帯も含まれる)の日常生活を金銭面から推し量れる、貴重な資料・データが多数盛り込まれている。今回はその公開値を基に、二人以上世帯における年収や貯蓄高に関して、負債額も考慮した上で精査を行うことにする。要は【借金と貯蓄の合算は…単身世帯の貯蓄・負債・純貯蓄額の実情(最新)】の二人以上世帯版である。

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今調査の調査要目は先行記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】を参照のこと。

先に記した記事【年収ピークは50代、では貯蓄は?…二人以上世帯の平均年収や貯蓄高(最新)】でも解説しているが、二人以上世帯の場合、年収は世帯主年齢とともに上昇し、60代がピークとなる。70歳以上では定年退職後に貯蓄の取り崩しが行われるため、60代と比べると減少する。

↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)(再録)
↑ 貯蓄額と年収(二人以上世帯、年齢階層別、万円)(2019年)

一方、今調査では同年齢階層における負債額、そしてその負債のうち「住宅・土地のための負債(不動産関連負債)」も聞き取りが行われ、データが公開されている。そこでまずはこの動向を確認する。やはり住宅ローンを抱えることが多い30代から40代で飛び跳ねる値が出ている。

↑ 負債内訳(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)
↑ 負債内訳(二人以上世帯、世帯主年齢階層別、万円)(2019年)

青色、つまり不動産関連の負債が大部分を占めている。この値は二人以上世帯全体の平均値であり、不動産を購入していない人(あるいは元々住宅保有者、ローン完済の人)は丸々この負債の分が無いことに留意する必要がある。今記事はあくまでも「二人以上世帯全体の平均」に関する検証であり、そこまで深く考慮することはないのかもしれないが。

世帯主年齢が29歳以下でも住宅を購入する世帯はあるが少数派。やはり30代から40代で購入し、50代のうちに半ばが完済しているようだ。

さてそれでは、貯蓄額から負債額を引き、純貯蓄額を算出する。繰り返しになるが、負債の多くは住宅ローンであり、これを他の「通常の負債」と一括して考えて貯蓄と相殺するのはやや難がある。住宅はそのまま換金はできず流動性も低いが、世帯の資産となるからだ。あくまでも参考値程度のものとして見てほしい。さらに住宅・土地のための負債保有率(≒住宅ローン支払い中の世帯率)も重ね、住宅ローンとの関連も精査できるようにする。

↑ 純貯蓄額と住宅・土地のための負債保有率(現在貯蓄額−負債、二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 純貯蓄額と住宅・土地のための負債保有率(現在貯蓄額−負債、二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)

住宅ローンの負担は大きく、40代までは実質マイナス。30代で純貯蓄額は大きなマイナス値を示すが、同時に住宅・土地のための負債保有率も29歳以下と比べて30%ポイント近く跳ね上がっている。30代で多くの二人以上世帯が住宅を取得し、そのローンによる負担を抱える状況となったことが分かる(恐らくは子供が生まれ、あるいはそれに備えての取得だろう)。

40代でも実質的な貯蓄額はマイナス。50代になってようやく首が回るようになる。繰り返しになるがあくまでも参考値であるものの、金銭的なプレッシャーの観点では「住宅ローンを(あらかた)返し終えた50代で、ようやく気軽さが見えてくる」といった実情が理解できる次第ではある。


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