二人以上世帯の買物生活はどのような変化をしてきたか…半世紀に渡る買物先の移り変わりをグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/12/29 05:09

総務省統計局は2015年12月16日、【「2014年全国消費実態調査」】のうち、二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果を発表した。二人以上の世帯(住居や生計を共にしている二人以上の集まり。勤労者世帯以外に年金生活者も含む)の日常生活を金銭面から推し量れる、貴重な資料・データが多数盛り込まれている。この公開値を元に、【二人以上世帯の買物先をグラフ化してみる】で示した「二人以上世帯の買物先」の変化を、今回発表分も含めて都合10回分、途中未調査の回もあるため約半世紀にさかのぼり、その変移をグラフ化してみることにする。要は【一人暮らしの買物生活はどのような変化をしているか…過去20年間の買物先の移り変わりをグラフ化してみる】の二人以上世帯版な次第である。

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今調査の調査要目は先行記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。

今回検証するのは、二人以上世帯における消費支出(税金や社会保険料(=非消費支出)をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)の支出先の推移。直近単年分は先の記事にある通りだが、過去の発表分を各種精査することで、1964年以降の値を確認できる(1989年は調査そのものが行われていないなど、一部不連続な部分あり)。なお購入先区分のうち「百貨店」は【百貨店 衣料品客離れていく 行き着く先はモールとネットに】の文末で説明している通り、事実上デパートと同じ。

また先行記事【「高齢単身者のコンビニ離れ」……一人暮らしの買物先をグラフ化してみる(2015年)(最新)】など複数の記事で解説の通り、直近の2014年分の全国消費実態調査の消費支出金額における購入先の調査結果では、多分の額(今件では1/3強。半数以上のケースもある)が「その他」に割り振られる不可解な数字が計上されている。概略報告書では食費関連で「外食など」と説明されているが、それ以外の非食品でも同様の傾向のため、設問の上で何らかの不具合が生じている可能性が高い。そのことから、今回の具体的な購入先の値も低めの値に留まっている。経年変化の動向では特に違和感が生じるため、参考値として「その他」を除いて再計算した結果を併記し、さらに検証はその参考値を前提に行うことにする。

↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)
↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)

↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)(参考値:「その他」を除いて再計算)
↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)(参考値:「その他」を除いて再計算)

まず目に留まるのが「一般小売店の減少と、スーパーや(1990年代以降の)ディスカウントストア・量販店の増加」。大型スーパーやコンビニ、昨今ではディスカウントストアや100円ショップの進出と、消費性向の減退で、普通の小売店がビジネス的に立ち行かなくなり、近所の店がシャッターを閉じる場面が増えてきたのが一因。そしてそれらの店と比べて大型店などの方が安く、まとめて買物ができるので、そちらに足を運ぶようになったのも大きい。

また「ディスカウントストア・量販店」は日本国内では1990年代以降に登場し、割合の漸増を始めている。これについては1994年分より前は調査の上で区分そのものが存在しなかった(=区分する必要が無いほど少数派だった)のも一因だが、それ以上に大店法の規制緩和、独禁法絡みの問題、消費者の消費性向の変化によるものと見た方が道理が通る。なお直近2014年分では前回調査から割合を減らしており、トレンドの転換の気配が感じられる。一時的な可能性もあるが、注意深い動きには違いない。

さらに「ディスカウントストア・量販店」と同じようにまとめ買いが可能にも関わらず「百貨店(=デパート)」の割合が減っているのは、価格的な問題に寄るところが大きいと思われる。また絶対数が少ないことから、回答者の近場に無いのも原因だろう。あるいは逆に「ディスカウントストア・量販店」が浸透してきたからこそ、「百貨店」のシェアが食われていると考えた方が自然かもしれない。

そして気になるのはコンビニに関する動き。単身世帯では「コンビニ」の利用率は年々増加し、若年層では支出金額の1割を超える値を示している。しかし二人以上世帯では(世帯主の世代区分では無く全体であるのも一因だが)直近の2014年でも全金額の3.0%しか利用されていない。世帯向けの買い物においてまとまった量・金額の買物が多い二人以上世帯では、「コンビニ」の必要性はさほど高くないことになる。とはいえ、少しずつ比率が増加しているのも事実ではある。



概要をまとめると、二人以上世帯の消費生活上の買物先としては

・買物の主体は「一般小売店」メインから多様化へ。

・「スーパー」がメインで「一般小売店」は少しずつシェアを奪われている。

・「百貨店」は漸減。

・新興勢力の「ディスカウントストア・量販店」「コンビニ」「ネット通販」は少数派だが確実に数字を伸ばしている。

などとまとめられる。やはり一番の大きな動きは、この半世紀近くの間に二人以上世帯の買物先が多様化し、「一般小売店」の立ち位置がかなり弱くなったこと。「一般小売店の数が減ったので、消費割合が減った」「消費割合が減ったので、採算がとれない一般小売店が店を畳んで数が減った」どちらが先のみではなく、双方が漸次・連鎖的に起きたと見るべきだろう。

今後各項目の動きが同じ傾向を示すのなら、「一般小売店は1/4程度にまで落ち込む」「スーパーは過半数へ」などの変化がこの10年前後に起きるはず。一方で単身世帯にも言えることだが、いわゆる「買物困難者」の増加により、「購入先割合」の推移もこれまでとは違う流れを見せる可能性も否定できない。

次の調査は5年後の2019年、結果発表は2020年から2021年の予定。日常生活を支える小売店のスタイルがいかなる変化をとげるのか、今から気になるところではある。


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