教養娯楽が減り、食費や交通・通信費が増加…二人以上世帯のお金の使い道の変化をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/12/24 13:35

総務省統計局は2015年12月16日、【「2014年全国消費実態調査」】のうち、二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果を発表した。二人以上の世帯(住居や生計を共にしている二人以上の集まり)の日常生活をお金周りの面から推し量ることができる、貴重な資料・データが多数盛り込まれている。今回はこの公開値を元に、「二人以上の世帯が消費するお金の使い道の移り変わり」に関して精査を行う。要は【一人暮らしをする若者のお金の使い道の変化をグラフ化してみる】の二人以上世帯版な次第である。

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食費で1/4、娯楽は1割…二人以上世帯のお財布事情


今調査に関する調査要目は先行記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。

今回支出について確認するのは「二人以上の世帯」。勤労者世帯の他に、年金生活をしている世帯も含まれることに注意。その世帯を対象に、一か月の消費支出(税金や社会保険料(=非消費支出)をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)が具体的にどのような項目に割り振られているのかを示したもの。現時点で取得可能値は1979年以降のものであることから、それ以降のものをすべて用いる。また個々の額が少数のため、「その他消費支出」独自の項目以外に「家具・家事用品」「光熱・水道」「保険医療」「教育」もまとめて「その他消費支出」に合算している。さらに「交通・通信」は公開値上は「交通」「通信」「自動車等関係費」に細分化されているが、これも合算値として扱う。要は単身世帯の記事の仕切り分けに準じている。

各値を再計算した上でグラフ化したのが次の図。

↑ 二人以上世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移
↑ 二人以上世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移

まずは全般的な傾向について。現在に近づくにつれて「食料」が減り「住居」が増えていたが、2004年が底となり、それ以降は増加しているのが分かる。先の【エンゲル係数の推移をグラフ化してみる】でも言及しているが、食の多様化や中食の多用化に伴う食費の純粋な増加に加え、元々エンゲル係数が高めな高齢層の、全体に占める構成比率の増加が、全体値を底上げしていることが、改めて確認できる。

「交通・通信」の増加は公共機関やガソリン代の値上げの他、今世紀に入ってからは【電話料金と家計支出に占める割合をグラフ化してみる】【電話料金と家計支出に占める割合を詳しくグラフ化してみる】でも解説しているように携帯電話の使用料金によるところが少なくない。子供が居ればそれだけ携帯電話の負担も増えることになる。【保護者が肩代わりする携帯電話使用料、小学生2200円・中学生5000円】などにもあるが、子供が小遣いから融通する(≒家計の上で消費支出には計上されない)ことはあまり無い。また子供の小遣いが低迷、漸減している主要因は、保護者が携帯電話料金を負担する分があるからに他ならない。

一方、「住居」の割合が漸増していたのも確認できる。一般に「家賃は収入の2割から3割がバランス的に優れている」とされている。今グラフの割合は「消費支出」であり、「収入」ではない(収入は今件消費支出以外に、税金などの非消費支出や貯蓄などにも割り振られる)ことを合わせて考えると、「住居」の負担は決して小さくない。ただし「二人以上で生活すれば家賃の負担は減らせる」と世間一般に知られている通り、一人暮らしの若年層と比べれば、家賃負担は随分と小さい実情も見て取れる。

↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)(再録)
↑ 若年勤労単身世帯の1か月平均消費支出の費目構成の推移(男性)(再録)

若年層ではあるが、男性単身世帯の場合は実に1/4が居住費用に充てられている。無論これは賃貸住宅住まいのケースが多いのも一因だが、そろばん勘定の上で大きな負担であることに違いは無い。

電話通信料と食費と


全体的な流れで気になるポイントを二つほど抽出し、詳細を見ていくことにする。

まずは「交通・通信」。昨今携帯電話周りの料金で世の中が色々と騒がしいが、その実情をかいま見る結果が出ている。次に示すのは「交通」「自動車等関連費」「通信」に細分化した上で、世帯主の年齢階層別に仕切り分けした、消費支出に対する費用比率。収入や所得に対する比率では無いことに注意。とはいえ、各属性における負担の度合いは十分推し量れる。

↑ 世帯主の年齢階層別・消費支出の費用比率(二人以上世帯、2014年、一部)
↑ 世帯主の年齢階層別・消費支出の費用比率(二人以上世帯、2014年、一部)

自動車関連の負担は年齢階層でさほど変わらない。70歳以上でやや落ちているが、これは保有世帯そのものが少ないのが主要因。また、交通費も負担度合いに大きな変わりはない。

年齢階層で違いが見えるのは「通信」。きれいな形で若年世帯ほど高い比率が計上されている。これは携帯電話(特にスマートフォン)の保有率が若年層ほど高いのに加え、若年層ほど収入、さらには消費支出が低いからに他ならない。定年退職後の世帯も消費支出は抑えられるが、携帯電話の保有率は低く、また料金負担の軽い従来型携帯電話を使っているケースが多いため、「通信」の比率が底上げされることは無い。世帯主が30歳未満の夫婦世帯においては、「通信」だけで1割近く、「交通・通信」では2割近くが占める計算になる。

次いで「食料」、つまり食費。最近になってエンゲル係数が上昇している、今件項目でも前回調査から「食料」比率が少々したことについて、主に元々値が高い高齢層の構成比率が上昇したと説明した。実のところどの年齢階層でも「食料」の比率は増加している。

↑ 世帯主の年齢階層別・消費支出の費用比率(二人以上世帯、2009年-2014年、食料)
↑ 世帯主の年齢階層別・消費支出の費用比率(二人以上世帯、2009年-2014年、食料)

中堅層から壮齢層ではやや上昇が鈍いが、若年層と高齢層で大きめに伸びており、結果として全体の比率も上昇している。詳しくは別途解説するが、上記でも触れている通り、食料品価格の引上げよりもむしろ、食の多様化による支出増加の結果といえる。内食比率が減り、中食が大きく増えているのがその裏付けとなっている。



各データから分かることを箇条書きにまとめなおすと、

・被服、履物の割合は漸次減少。

・食料は減少から増加に転じる。

・住居費の割合は漸次増加。直近では減退。

・交通、通信や教養娯楽は漸次増加。直近では交通、通信が大きく伸び、その分教養娯楽が減る。

などとなる。「教養娯楽」が減り「交通・通信」が増えているのは、携帯電話の利用が多分に娯楽要素もあることから、実質的には娯楽としての支出が通信費に計上されている面もあるのだろう。「食料」の増加への転換とあわせ、ライフスタイルの変化、多様化の様子が見て取れる。

上に若年単身男性の事例を再録値として掲載したが、特に「住居費」の割合が大きく、それが他の項目(特に「その他消費支出」)を圧迫しているのが分かる。二人以上の世帯となるとそれだけ食べる量が増えるため、食費割合にはあまり変化が無いが、共用できる住居費は「消費支出全体に占める」比率を大きく減らせる次第である。


■関連記事:
【貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率をグラフ化してみる(単身勤労者世帯版)(2015年)(最新)】
【収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(2015年)(最新)】

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