読売1000万部ならず、毎日は前期比マイナス1.54%…新聞販売部数動向(2011年前期分データ更新・半期分版)

2011/10/18 06:45

新聞先日【広告収入さらに減少・新聞業の売上高をグラフ化してみる(2011年分反映版)】などで、「日本新聞協会の公開データを元にした」日本新聞業界に関する全般的動向のデータの「今年更新分」の精査を終えた。当サイトにおける定期的な新聞業界周りの動向確認については、他には年二回ほど読売新聞社の広告ガイドページ経由で公開される、日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」のものを対象としている。そのうち2011年前半期分について、先日2011年10月17日までに更新が確認された。そこで今回は2010年後期分データを反映させた記事に続く形として、各種データについて最新のものを反映した上で、主要新聞社の新聞発行部数などをグラフ化してみることにした。

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まずは先日更新された最新データを元にした、主要全国紙、すなわち読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日経新聞・産経新聞の計5紙の「販売部数」。これは各紙広告関連ページで取得することができるが、全紙のものは【新聞広告データアーカイブ】からリンクをたどり、【読売新聞社の広告ガイドページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2011年1月-6月平均」で取得することができる。なおこれは朝刊「販売」部数。

↑ 2011年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2011年前期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

「販売部数1000万部超」をうたう読売新聞が、トップの座を維持しつつも、今回は惜しくも1000万部の大台を割り込む形となり、そのコピーが使えなくなってしまった。次いで朝日新聞、かなり下がって毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞の順となる。この順位は以前から変わりない。読売新聞が他紙と比べて数的に優位な立ち位置にあるのは、『東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔』によれば「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが要因とのこと。

また、前期の時点で突破された「朝日新聞絶対防衛ライン(とされていた)800万部」はさらに侵攻を許す形となり、これで朝日新聞の販売数については三期(1年半)連続の「ライン」失落となる。

1プラ・2マイ・2急降下
せっかくなのでいくつか比較グラフを生成する。まずは前回記事で掲載したように、前期との差異。単純計算で半年の間にどれだけ部数が動いたかを知ることができる。

↑ 2011年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2010年後期との比較)
↑ 2011年前期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2011年後期との比較)

該当期では日経新聞がやや健闘しプラスの領域。読売新聞と産経新聞がマイナス。毎日新聞の下げっぷりは前期同様だが、今期ではそこに朝日新聞が加わることになった。発行部数が異なるため似たような下げ率でも、減少部数は大きく異なるが(毎日は約5.4万部、朝日は約11.8万部の減少/半年)、関係者にとって穏やかならぬ心境には違いない。

さて前回記事同様に半年前(つまり前期)との世帯普及率の比較をグラフ化してみる……としたいところだが、今回更新データでは世帯普及率は掲載されていない。これは今般東日本大地震・震災の影響で岩手・宮城・福島三県の世帯数が発表されていないため、おおもとの日本ABC協会でデータを提示していないのが要因。

そこで概算として「前期と今期における、三県を除いた合計世帯数の変化率」を算出した上で、その変化率をそのまま三県にも適用して、暫定合計世帯数を求め、その世帯数を上記の発行部数と合わせて普及率を計算した。恐らくはカンマ数%のレベルで公式データとの誤差が生じてしまうが、参考値レベルのものと念頭においた上で見て欲しい。

なおこの「世帯普及率」とは全世帯のうち、どれだけの世帯に各新聞が届いているかを示しているもの。産経新聞なら2.99%なので、100世帯のうち約3世帯が産経新聞を取っている計算になる。

↑ 2011年前期における主要全国紙の世帯普及率(2010年後期との比較)
↑ 2011年前期における主要全国紙の世帯普及率(2010年後期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多いため、ある意味単なる部数よりも新聞のすう勢を推し量れるのだが、これを見ても読売新聞の絶対的なポジション、(暫定値ではあるが)毎日と朝日の減退率が見て取れる。産経は今項目ではプラスを示しているが、部数は減退しており、いわゆる「誤差」が生じたものと推定される。



【1年間で103万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2010年分・新聞業界全体版)】にもあるように、主要紙の発行部数は確実に減少している。さらに【新聞やテレビなどへの業種別広告費推移をグラフ化してみる(2010年版・電通資料ベース)】【20余年間の新聞やテレビ、雑誌やラジオなどの広告費の推移をグラフ化してみる(2010年分反映版)】でも触れているが、部数の減少だけでなく質の低下も相まって、広告費も急降下状態にある。昨今の各紙、特に経済や政治面での記事において、「一次ソースを当たらずに、内容をそのまま鵜呑みにするのは、読者にとって高リスクであり、虚言を教え込まれてしまいかねない」事例が多発している状況は、「質の低下」の域を超した異常事態ともいえる。

新聞とグラフ売上を伸ばす努力はしているが、それは果たせない。となれば当然経費の削減をしなければ会社の経営が成り立たなくなるわけだが、経費削減の過程で「削ってはいけない部分」まで削れてしまい、会社全体としての士気減退や能力欠如が懸念される声が随所から聞かれる(「質の低下」の一因もここにあるのだろう)。しかも経費削減の成果は比較的すみやかに・数字の上ではっきりと表れるものの、その副作用はすぐには数字上に現れることは少なく、じわじわと、そして確実に浸透して影響をもたらす。そして事態の悪化に気が付き、状況の回復を図ろうとした時には、削減した経費以上の手間暇や資金がかかり、あるいは手遅れになってしまうのが世の常である。

昨今、マスメディアへの仕組みそのものでは無く、それを動かす人達の立ち振る舞いに疑問符を投げかける人が増えているのも、その「副作用」によるものが一因ではないのか。そう考える人も少なくあるまい。世帯数が漸増しているにも関わらず、新聞の発行≒販売数が減退しているのも、その「副作用」の現れの一つなのかもしれない。

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