牛肉トップは大分県・世帯で年間9.6キロ…日本の牛豚鶏肉の消費性向(下:分量編)(最新)

2023/05/30 02:40

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2023-0522先行する記事【日本の牛豚鶏肉の消費性向(上:金額編)】では【カレーのお肉は「西牛東豚」】に関する問い合わせ「カレーに入れる肉の傾向が『西牛東豚』なのは理解したが、ではどうしてその傾向があるのか」をきっかけに、総務省統計局が定期的に調査を実施しその結果を報告している家計調査の公開値を用い、日本の主要精肉である牛肉・豚肉・鶏肉の消費性向に関して、金額ベースから精査を行った。今記事ではそれに続き、分量(重量)の観点から確認をしていくことにする。

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データを取得する場所は上編同様【家計調査年報】に違いないが、今回は二人以上の世帯を対象とする。本来なら総世帯の値を用いることで世情全体の動向を推し量るのが筋ではあるが、家計調査の年報では総世帯と単身世帯において分量の調査が行われておらず、値の抽出は不可能となっている。作業工程における選択項目はほぼ変わらず、「<品目分類>1世帯あたり品目別支出金額、購入数量および平均価格」から「都道府県庁所在市別・二人以上の世帯」を選び、必要な値を取得する。

ちなみに家計調査の解説が行われている【家計調査 収支項目分類およびその内容例示(令和2年(2020年)1月改定)】【家計調査のしくみと見方(PDF)】で確認した限り、「購入数量」の単位はグラム、「平均価格」は100グラムあたりの価格と定められている。

まずは大まかな状況確認のため、牛肉・豚肉・鶏肉のおおよその相場を示しておく。

↑ 主要精肉価格(二人以上世帯の調達価格、100グラムあたり/円)(2021年)
↑ 主要精肉価格(二人以上世帯の調達価格、100グラムあたり/円)(2021年)

部位や市場、産地、販売地域など多様な条件で変動はあるが、おおよそ種類毎にこの程度の価格差が出ているとの認識ができる。やはり牛肉は高い。豚肉の2倍以上である。

続いて金額編同様に牛肉・豚肉・鶏肉それぞれの、年間購入数量=消費量上位10位の都道府県をグラフ化し、状況を確認する。世帯単位での年間消費量を示したもので、例えば牛肉消費量トップの大分県なら、二人以上世帯限定だが2022年の1年間で1世帯あたり平均約9.6キロを消費したことになる。

↑ 年間牛肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間牛肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

↑ 年間豚肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間豚肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

↑ 年間鶏肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)
↑ 年間鶏肉消費量トップ10(二人以上世帯、都道府県別、グラム)(2022年)

個々の精肉の比較なら、「西日本は牛肉」「東日本は豚肉」「九州は鶏肉」との構図は支出金額編からおおよそ踏襲している。また各グラフの横軸の区分を見れば分かるが、分量的には全般として豚肉>鶏肉>牛肉であることが分かる。重量あたりの単価は鶏肉が一番低いが、鶏肉の消費量が一番多いわけではない。

もちろん「地域によっては豚肉以上に牛肉が(重量の観点で)食べられているところもあるかもしれない」との疑問がわいてくる。しかし今データの限りではそれは皆無だった(のでグラフの類は省略する)。残るは豚肉と鶏肉のどちらが多く食べられているか。つまり主要精肉3種類のうち、豚肉ではなく鶏肉が分量面でもっとも多く食べられている地域はあるのか否かが気になる。

そこで実際に豚肉と鶏肉の消費量を比較し、「鶏肉が豚肉より多く食べられている」(=主要3種精肉では量の上で鶏肉を一番多く食べている)地域を抽出し、日本地図に反映させたのが次の図。

↑ 豚肉・鶏肉の年間消費量(家計調査・二人以上世帯、鶏肉の方が消費量が多い都道府県は着色、都道府県別)(2022年)
↑ 豚肉・鶏肉の年間消費量(家計調査・二人以上世帯、鶏肉の方が消費量が多い都道府県は着色、都道府県別)(2022年)

九州から中国、そして近畿に集中していることが分かる。この地域は先の記事や【北九州はから揚げのメッカなのか!?……から揚げ談義もろもろ】でも記したように、唐揚げ文化が活性化しており、結果として消費分量が多いのも納得できる。例えば鶏肉の最多消費量を誇る大分県と東京都の消費量を比較したのが次のグラフ。

↑ 主要三精肉年間消費量(グラム)(2022年)
↑ 主要三精肉年間消費量(グラム)(2022年)

単純計算で福岡県では東京都の約1.41倍の鶏肉を消費している。福岡県の人がいかに鶏肉を愛しているのかが、改めて理解できる次第ではある。


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■一連の記事:
【日本の牛豚鶏肉の消費性向(上:金額編)】

【日本の牛豚鶏肉の消費性向(下:分量編)】

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