日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)(2016年)(最新)

2016/03/22 14:47

以前掲載した記事【カレーのお肉は「西牛東豚」】に関して「カレーに入れる肉の傾向が『西牛東豚』なのは理解したが、ではなぜその傾向が現れるのか」との問合せをいただいた。大雑把な結論は【カレーのお肉が「西牛東豚」な件について】で覚え書きにしたものの、(肉をテーマとしているだけに)もう少し細かいデータを用い、情報の肉付けをすべきだと判断した。そこで今回は総務省統計局が定期的に調査を実施し、その結果を公知している「家計調査」から必要な値を抽出し精査の上、状況の確認を行うことにする。

スポンサードリンク


金額面では奈良と和歌山の消費量が相並んで上位に


今件でまとめる必要があるのは主要3種の精肉「牛肉」「豚肉」「鶏肉」(精肉で細かい仕切り分けを確認できるのはこの3種類のみ。羊肉などは無い)の地域別消費性向。そこで【家計調査年報】から、家計収支編のうちすべての世帯に相当する「総世帯(単身世帯+二人以上世帯)」に関して、「<品目分類>1世帯当たり品目別支出金額」の「都市階級・地方・都道府県庁所在市別」を選び、必要な値を取得することにした。ここには全国都道府県庁所在市別の各食品における年間平均消費「額」が記載されている。そこで「牛肉」「豚肉」「鶏肉」それぞれのデータを抽出し、世帯当たりの年間消費金額における上位10位を寄り抜いてグラフ化したのが次のグラフ。現時点では年ベースの値は2015年のものが最新のため、当然2015年におけるランキングとなる。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間牛肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間牛肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間豚肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間豚肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間鶏肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間鶏肉消費額トップ10(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

「肉の消費の多い少ないを考えるには、金額ではなく重量で見るべきでは。元々同じ重量なら牛肉が一番高く、豚肉、鶏肉の順に安くなるのだから」との意見がある。また「精肉を選択する際には金額も大きな要素」「消費で考えるのだから金額ベースで勘案すべきだ」との意見もあり、それもまた正論。そこで今記事では金額ベースでの考察に専念する。

いくつかの都市は複数のグラフ内に顔を見せており、特定の種類だけでなく多種目の精肉を金額面で多く購入=消費していることが分かる。また上位陣を見ると「牛肉は西日本が多い」「豚肉は東日本が多め」「鶏肉は西日本、特に九州が多い」のが見て取れる。

このうち「九州で鶏肉の消費金額が多い」のは、以前【北九州はから揚げのメッカなのか!?……から揚げ談義もろもろ】でも解説の通り、九州地方が「唐揚げのメッカ」的存在なのと深い関係がある。また鶏肉自身の消費が大きい起因に関しては【「肉」といえば牛?豚?鶏?(全国やきとり連絡協議会)】の解説によると、「九州で鶏肉の消費が多いのは、古くから外国との交流があり、水炊き、筑前煮などの食文化もあったことが影響している」とのことである。鶏肉の消費が元々メジャーなため、唐揚げ文化も活性化したようだ(【日本唐揚協会の歴史解説「唐揚げの歴史」】でも、元々養鶏場が多くあり、それが戦後の食糧難打開という国策にも相まって、この地域で唐揚げが多く食されるようになったと説明されている)。

牛豚鶏の比率などを確認する


良い機会でもあるので、金額ベースのグラフ・図をいくつか追加で生成し、状況のさらなる把握を行う。まずは「肉類(精肉以外に合いびき肉、他の生鮮肉、ハムやソーセージなどの加工肉も合わせたもの)全体額」の上位20位と、それぞれにおける「牛肉」「豚肉」「鶏肉」の金額を積み上げたグラフを創り上げる。肉類を金額ベースで一番多く消費しているのは奈良県奈良市で9万2460円、次いでわずかな差で和歌山県和歌山市が9万2372円で続く結果となった。

↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間肉類消費額トップ20(牛豚鶏とその他の肉類別)(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)
↑ 都道府県庁所在市別・総世帯における年間肉類消費額トップ20(牛豚鶏とその他の肉類別)(円、2015年、家計調査年報・家計支出編)

鶏肉は単価が安いので牛・豚と比べると金額ベースでの比率は小さくなるが、それでも和歌山市以外に長崎市、宮崎市や鹿児島市などではそれなりに大きな値を占めているのが分かる。またこのグラフから確認できるように、牛と豚で第2位、鶏ではトップの奈良市が、肉類の合計消費額でも群を抜いて最上位のポジションについている。主要3種を食べまくり状態である。

最後に金額ベースで都道府県別(各都道府県庁所在地がある地域別)に、世帯単位での消費金額を比較し、牛肉と豚肉のどちらを多く消費しているかで色分けした地図を作成した(鶏肉が最上位の場所は皆無)。また今図版の作成には【白地図ぬりぬり ver.δ】を利用している。

↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2015年)
↑ 都道府県別・「牛肉」「豚肉」の年間消費(購入)金額の高低(2015年)

九州・中国地方で一部「豚肉>>牛肉」の地域もあるが、大よそ近畿地方より西は牛肉の購入消費金額が、豚肉を上回っていることが分かる。カレーに使われる肉の件も合わせ、「西牛東豚」な状況が確認できる次第ではある。


■関連記事:
【疲れたら、女性もモリモリお肉を食べたくなる?】
【成人男女の魚介類・肉類の摂取量をグラフ化してみる】
【「お値段2倍でも国産野菜・検査完璧な肉」進む食の安全志向】

■一連の記事:
【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(上:金額編)】
【日本の牛豚鶏肉の消費傾向をグラフ化してみる(下:分量編)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー