「テレビ」はやや回復状況、両社ともプラスを示す(電通・博報堂売上:2011年9月分)

2011/10/13 12:10

【博報堂DYホールディグス(2433)】は2011年10月12日、同社グループ主要3社の2011年9月における売上高速報を発表した。これで[電通(4324)]が同年10月7日に発表した単体売上高と合わせ、日本国内二大広告代理店の2011年9月次における売上データが出そろった事になる。今記事では両社の種目別売上高前年同月比をグラフ化し、広告全体及び両社それぞれの広告売上動向を眺めてみることにする。

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データ取得元の詳細や各項目に関する留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で解説している。そちらで確認のこと。

二大広告代理店の2011年9月分種目別売上高前年同月比
↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2011年9月分種目別売上高前年同月比

東日本大地震・震災の影響は、直接的な動きとしてはほぼ終息したように見える。もっともそれ以前からの流れ「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境に陥っている」状況に変化は無い。先月一部復調傾向が見えた「新聞」や「雑誌」はもたつき気味、「ラジオ」は代理店毎に明暗が分かれ、「テレビ」はやや回復状況にあるのが分かる。特に「テレビ」は4マス中(だけでなく全種目比でも)金額が大きいため、前年同月比の比率は低めでも、全体に与える影響は大きいだけに、プラスで推移した結果は喜ばしい話といえる。

両社合わせると前年同月比でプラスなのは全部で14項目。前月から2項目増えている。具体的な表記は略するが、4マス内だけでも8項目中5項目が確認できる。この点だけでも先月8月より、さらに堅調な状況が理解できよう。

今月は先月の博報堂HDに続き電通で「その他」部門の伸びが目に留まる。金額としても157億1800万円と、4マスと比較すると「テレビ」に次ぐ・「インターネット」の3倍強の額面に相当する。リリースの説明ではこの項目の具体的内容として「衛星その他のメディア、メディアプランニング、スポーツ、エンタテインメントその他コンテンツなどの業務が含まれます」とだけあり、詳細は不明。広告代理店が自社業務のラインを公開することは滅多にないので(場合によっては公開した時点で「効果」が半減してしまうものもある)、どのような案件が「前年同月比7割増」という好成績を上げたのかは把握できない。ともあれ他の部門も合わせ、9月分は電通が先月に続き従来型広告(屋外広告など)や区分しにくい分野(4マスとインターネット以外)で奮戦したことになる。

なお今件のグラフに関して改めて説明しておくが、これは「個々の会社の前年同月比」であり、額面の絶対額を意味しない。インターネット分野の額面は他の分野と比べればまだ小さめ、そして個々分野を会社毎に比較した額面上では電通の方が上となる。例えばインターネット分野なら、電通48.18億円、博報堂は27.06億円(3社合計)という値。

電通・博報堂HDの2011年9月における部門別売上高(億円、一部部門)
↑ 電通・博報堂HDの2011年9月における部門別売上高(億円、一部部門)

今回9月分は、東日本大地震の影響を丸ごと受けてから半年めとなる(4月以降のカウント)。震災の直接的な影響を受けた数字のマイナス変動はすでにピークを過ぎ、予定調和内の動きに戻ったのが確認できる。とはいえ繰り返しになるが、以前からの「4マスが泥沼化」「ネットがプラス」という状況に変わりは無い。ただしこの数か月の動向を見ると、「テレビがやや戻し気味」「4マスとネット以外の従来型広告に力強さが見えてきた」という、新たな動きも感じられる。

電力供給不足は、どのような甘い試算をしても、今冬以降も続くものと予想される(特に寒さが厳しい北日本での懸念が大きい)。「デジタルサイネージ」についても、【池袋駅のデジタルサイネージ、その後】で報告しているように地震直後のような「すべて全面オフ」という状況からは立ち直りつつあるものの、積極的な節電の雰囲気は継続されており、以前と比べて勢いに欠けるところが大きい。

電力使用制限令が終了しても節電体制を維持する自動販売機「そのような状況なら電力消費をほとんど伴わない、従来型野外広告にもう少し注目が集まってもよさそうなものだが」という話がこの数か月続いていたが、どうやらその動きが実際に数字として表れてきた感はある。今後は従来型・4マス・ネットそれぞれの良い所を上手く流用・活用・併用し、予算の上だけでなく電力消費の観点からも、(広告効果的には無意味な)慣習にとらわれることのない、コストパフォーマンスの高い、そして同時に効果が分かりやすい広告手法が求められることになる。その分知恵を振り絞った、発想に優れた広告に注目が集まり、採用され、トレンドとして消費者の目に留まることになるのはいうまでも無い。


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