年金や保険の今後、「現状維持は難しいネ」が6割強・50代は7割を超える

2011/10/17 06:50

難しい厚生労働省は2011年8月23日、社会保障に関するアンケートの調査結果を発表した。「2011年版厚生労働白書」の資料素材として用いるデータ収集の一環で、先日【5割強は「負担増でも社会保障維持拡大」、「負担維持で保証引き下げ容認」は2割】などで伝えた同省発表による「2009年時点での社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査」と類するテーマを対象にしている。今回はこの調査結果の中から、「社会保障(医療や健康保険、年金、介護、妊娠・出産・育児支援、雇用などで受けられるサービス)における、今後の給付内容がどのように維持・変化していくと思っているか」について確認していくことにする(【発表リリース】)。

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今調査は2011年2月10日から2月22日かけて居住地・年齢・性別による構成比に応じて2300人を無作為抽出し、郵送配布・郵送回収によって実施したもので、有効回答数は1342票。男女比は46対54、年齢階層比は20代146人・30代217人・40代230人・50代234人・60代297人・70代218人。

【「今重要なのは年金と介護問題」「失業対策は若年層のみ問題視」…世代別の「重要と考える社会保障制度」をグラフ化してみる】などにもある通り、年金問題や医療介護問題をはじめ、早急に改善に向けた施策を打つべきだと認識されている社会保障問題は多い。

↑ 現在重要と考える社会保障分野(複数回答)(その他、不詳は除く)
↑ 現在重要と考える社会保障分野(複数回答)(その他、不詳は除く)(再録)

しかし一方で財源不足、経済の停滞、世代間の対立、仕組みそのものの問題点の露呈、既得権益に関する意見衝突など、乗り越えねばならないハードルは高く、数も多い。それではその状況を鑑みた上で、今後の社会保障の給付内容はどのように変化していくと、個々は思っているだろうか。現状を維持できるか否かについて選択肢の中から一つ選んで回答してもらったのが次のグラフ。

↑ 今後の社会保障の給付内容についての意識
↑ 今後の社会保障の給付内容についての意識

完全な現状維持可能派は3.7%でしかなく、「何とか」という不安要素が山積みされているような表現付きで「維持可能」とする意見も2割強でしかない。一方で「維持は難しい」とする意見は6割を超え、悲観的な意見が多数であるのが確認できる。男女別では女性の方が「分からない」とする意見が多いだけで、現状認識はほぼ男性と同じ。

これを世代別に再区分したのが次のグラフ。各世代の社会保障に対する姿勢が浮き彫りにされている。

↑ 今後の社会保障の給付内容についての意識
↑ 今後の社会保障の給付内容についての意識

まずひと目でわかるのは、「現状維持」「現状何とか維持可能」とする肯定的意見が、歳を経るにつれて増加すること。特に年金受給開始世代である60-64歳をターニングポイントとしていることから、「自分の立場が年金給付側になったことへの安心感(と希望的観測)」ゆえに、大きく上昇していると解釈できる。そして「何とか維持」は多分に「何とか維持(して欲しい)」という読み方もできなよう。

数字「困難」意見を見ると、若年層よりむしろ中堅層の方が比率が高い。最多回答率は50代で3/4近くに達している。この世代の「困難」という認識、表現をかえれば危機感の表れは、一つが「年金給付がそれなりに近づいていること(年金問題へのリアリティの増加)」、そしてもう一つは「子供がある程度大きくなり、子育てに関する社会的負担(教育関連)がかなり重しになっていること」が要因として考えられる。自らの実体験と近未来の動向を肌身に感じ、現状を認識し(≒「分からない」回答率も世代間ではもっと低い)、それゆえに危機感を覚える人が多い次第。

最後に注目したいのは、「分からない」とする意見は20代で2割を超えている点。今件については該当世代の問題意識の欠如というより、周辺における周知活動の不徹底さを指摘すべき。これから一番長い期間、全体を支えていく若年層が「よく分からない」では困るのは(本人自身を別にすれば)上の世代皆全員なのだから。

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