[修正]吉野家は客単価プラスだが客数下落で売上を圧迫…牛丼御三家売上:2011年9月分営業成績をグラフ化してみる

2011/10/06 12:10

[吉野家ホールディングス(9861)]は2011年10月5日、同社の子会社である牛丼チェーン店吉野家の2011年9月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でマイナス18.8%となった。牛丼御三家のうち[松屋フーズ(9887)]が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年8月における売上前年同月比はマイナス1.6%、[ゼンショー(7550)]が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス0.6%の動きを見せている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

スポンサードリンク


吉野家は「2010年9月」から、メインメニューの牛丼より安価な「牛鍋丼」を発売、これが売上高アップに大きく貢献した。しかしその後は大きな新商品展開のイベントなども無く、「小鉢」も大きな影響は与えていなかった。そして【吉野家でカレー…吉野家から「こく旨カレー」「旨辛カレー」登場】にもあるように8月から「こく旨カレー」「旨辛カレー」の発売を開始。さらにトッピングとしてチーズも登場させている。さらに「2011年9月」には昨年発売した「牛鍋丼」をリニューアルすると共に、「追っかけ」のバリエーションを変更した(【吉野家、「牛鍋丼」を新味に・「おくらとろろ」「とろりチーズ」を「追っかけ」に追加】)。これらの動きを受けて客単価は大きく跳ねたものの、昨年の「牛鍋丼」の反動を抑えるほどの客足は確保できず、(前年同月比での)売上も急降下を描くことになった。逆に考えれば、去年9月の初代「牛鍋丼」がいかに多くの集客威力を持っていたのかが、改めて認識できる。

↑ 牛丼御三家2011年9月営業成績
↑ 牛丼御三家2011年9月営業成績

吉野家の新牛鍋丼長らく問題視されていた吉野家における客単価の低さだが、今月は「前年同月の客単価の低さ(旧・牛鍋丼のスタート)」にも助けられ、先月から続いていたカレーメニューの健闘、そして「新・牛鍋丼」の「追っかけ」の展開などもあり、久々(2010年6月以来)に前年同月比でプラスを見せた。しかし上で説明したように、客数はそれ以上のマイナスを出してしまい、売上もマイナス10%を超える値を記録してしまった。「漸次回復しつつある客単価」とは前月での言及だが、たとえ客単価が回復してもここまで客足が落ちてしまっては、あまりにもバランスが悪すぎる。

吉野家の客数・売上の減退ぶりで影に潜みがちだが、すき家・松屋共にやや足踏み状態にあるのも注目に値する。すき家はこの2年ほどは、猛烈的な客数の増加を促すことで客単価の減退を大きくカバーし、売上を押し上げる戦略を展開してきた。ところが今年に入ってから客数増加(率の上昇)にも陰りが見え(前年同月比で計算されるので、前年が堅調ならそれ以上の伸びを見せないと、同じ伸び率の数字が出ないのだから、当然といえば当然)、昨月8月は客数の伸びが2.3%にまで縮小。今月は1.7%に留まり、売上前年同月比は2010年1月以来のマイナスを記録してしまう。

松屋は(昨年の成績が多少悪かったこともあるが)、今年に入ってから客単価を前年同月比でトントン、あるいは多少のプラスに維持。ところが今月は客数を少し大きめに減らしてしまい、客単価は上がったものの、売上を支え切ることはできなかった。

昨月の記事でも指摘したように、そして先日【2011年8月度のチェーンストアの売上高、前年同月比マイナス2.2%】でも再び記載しているが、チェーンストア(デパートやスーパー)では8月の時点でも、「食料品においては畜産品で牛肉が不調。代わりに加工肉や鶏肉・豚肉は堅調」という動きが確認できる。多分に「震災」の影響によるところが大きいのだが、これが牛丼御三家においても心理的な部分で、客足を遠のかせている可能性は十分にある。とはいえ、すき家は(勢いこそ足踏みに近いが)前年同月比でプラスを維持しており、心理的な客足の遠のきは限定されたものと見てよいだろう。

9月分を各社一言ずつでまとめると「吉野家…客単価は久々にプラスだが客数が大きく下げ、売上を圧迫」「松屋…客単価底上げも客数減をカバーしきれず」「すき家…客足増加率が足踏みで客単価減少をカバーしきれず」という形になる。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年9月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2011年9月)

すき家の客数増加は今年に入り勢いがやや衰えを見せ、今月は先月以上に足踏み色が強くなり、それが売上高マイナスの起因となった。しかしそれでもなお2009年12月以降、毎月前年同月比でプラスを維持している。既存店(1年前にも存在していた店のみ)での売上であることを考えれば、店舗数の拡大とは関係が無く、純粋に営業努力のたまものといえる。

店舗数ではすでにすき家がはるかに吉野家を超える形。今でもすき家の拡大戦略は続いている。9月における8月からの店舗増加数は16件・先月比プラス1.0%となっている。自宅近所でも出先でも「良く見かける店舗」という安心感・安定感・確実性が、客数増加の一因と考えられよう。この拡大方針がどこまで続くのか、気になるところではある。

※10/7 5:30 松屋のデータに誤りがありました。グラフ、本文共に訂正しました。お詫び申し上げます。

スポンサードリンク


関連記事



▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー