禁煙中か否かで大きく異なる、民間施設での法的禁煙への賛否

2011/10/11 06:41

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禁煙ファイザーは2011年9月27日、喫煙者の追跡調査結果を発表した。それによると2010年10月のたばこ税増税・たばこ値上げ直前に喫煙していた調査母体においては、法律による公共施設での完全禁煙化に賛成する人は4割近くとなり、反対派の1/4強を上回る結果が出た。一方民間施設については反対派が6割近くを占め、賛成派の1割強を大きく超える数字が出ている。ただし現在喫煙者・禁煙成功者別に見ると、この傾向が多分に「調査母体は現在喫煙者が多い」ことに起因することが見て取れる(【発表リリース】)。


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今調査は2010年8月から9月に行われた調査(【喫煙者の38.2%がたばこ値上げ当日の時点で禁煙に挑戦】など)の回答者、つまり2010年8月-9月の時点で喫煙者だった9400人(各都道府県男女/各100人、計200人)当人に対して再びインターネット経由で2011年8月24日から8月30日にかけて行われた追跡調査で、有効回答数は6713人。47都道府県別にそれぞれ120-162人が回答している。

2010年10月からたばこ税の大幅な引き上げ・たばこ価格の値上げが行われた(【たばこ税の推移】)。その直前に喫煙者だった人が、値上げからほぼ1年が経過した現時点でどのような喫煙上の変化を見せているのかについて確認するのが、今回の調査の主旨。現調査母体の現況を把握しやすくするため、喫煙周りの過程も合わせて表現したのが次の表。

↑ 今調査母体における、現在の喫煙・禁煙状況(過程も含めて。上は人数、下は各区分内における比率)
↑ 今調査母体における、現在の喫煙・禁煙状況(過程も含めて。上は人数、下は各区分内における比率)(再録)

現時点では禁煙挑戦者の38.5%、調査母体全体に対しては13.5%が禁煙状態にある。残り86.5%は現在も喫煙者。【世代別成人喫煙率(2010年分反映版)】などにもある、現在の成人における喫煙率(23.9%)とは大きく異なることに留意しておく必要がある。

さて昨今では単純に「禁煙」と宣するだけでなく、法的に公共施設(学校、病院、劇場、公共交通機関、官公庁など)や民間施設(〔飲食店、宿泊施設、娯楽施設(ゲームセンター、カラオケボックス等))を禁煙にする動きが出ている。「法的に」とは法的拘束力を用いて禁煙を行わせることができ、禁煙の定めに反して喫煙をした場合には法律で罰せられることを意味する。

この動きをどのように思うかについて、今調査母体に聞いた結果が次のグラフ。

↑ 法律による公共施設・民間施設の完全禁煙化についてどう思うか
↑ 法律による公共施設・民間施設の完全禁煙化についてどう思うか

公的施設の禁煙は賛成派が反対派を10ポイント強上回っているが、民間施設では40ポイント以上の差をつけて反対派が勝っている。公的機関での禁煙は仕方ないが、民間施設では禁煙は望ましくないというのが、「今調査母体での」大意となる。

ところがこれを「現在禁煙中(13.5%)」と「喫煙中(86.5%)」の人に区分して再整理すると、「喫煙者の方が完全禁煙化への動きに反発心が強い」という、ある意味当然の結果が出る。

↑ 法律による公共施設・民間施設の完全禁煙化についてどう思うか(喫煙・禁煙成功者別)
↑ 法律による公共施設・民間施設の完全禁煙化についてどう思うか(喫煙・禁煙成功者別)

公共施設では喫煙者でも賛成意見が多いが差は7.2ポイント。対して禁煙成功者では44.6ポイント差という圧倒的な差異で「禁煙に賛成」と答えている。両者の意見の相違がはっきり出るのは民間施設で、喫煙者は「禁煙反対」が約2/3。禁煙成功者は「禁煙賛成」が4割近くに達している。正反対、とまではいかないが、自らが喫煙しているか否かで、とりわけ民間施設における禁煙への考えが大きく異なる事が分かる。

公的・社会的な物事への賛否でも、自らの立ち位置を考え、自分にとってプラスとなる選択肢を選ぶ傾向があるのは、ある意味当然の話。今件もまた「当然」の結果が出たにすぎないといえる。それと共に今調査母体は喫煙者が多数比率を占めており、社会全般の反応とは異なる(一年前に喫煙していた人対象)ことを再確認しておく必要があろう。


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