「木造より鉄筋コンクリート」「3階建以上はリスク大幅減」…国土交通省、津波被害調査報告第2弾発表

2011/10/05 12:10

検証データ分析国土交通省は2011年10月4日、東日本大地震・震災における津波での被災状況の調査結果(第2次報告)の要旨を発表した。現時点までの調査結果として、「鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造の建物は再使用困難なほど壊れる可能性は低い」「各構造建造物とも高層物ほど損壊度は低くなるが、特にRC造ではその違いが顕著」「木造でも3階建て以上の建造物の場合は損壊度が低い」などの傾向が確認できたとしている。国土交通省側では今後もデータの収集・分析・精査を行うと共に、被災地域の復興計画検討・立案の際にリスク評価のための基礎資料として役立てる資料生成を進めて行くと説明している(【発表リリース】)。

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↑ 岩手・宮城・福島3県の震災による亡くなられた方、該当区域全体の年齢構成比(2011年10月4日・国土交通省発表資料による)(※津波被害に限定されていないことに注意)
↑ 岩手・宮城・福島3県の震災による亡くなられた方、該当区域全体の年齢構成比(2011年10月4日・国土交通省発表資料による)(※津波被害に限定されていないことに注意)

今件発表は2011年8月4日に行われた「第1次報告」に次ぐもので、それぞれを簡便にまとめると次の通りとなる。

●第1次報告
・浸水区域面積:約535平方キロのうち、4割超が浸水深2メートル以上
 被災建物棟数:約22万棟 うち全壊(流失含む)約12万棟
 建物被災状況による浸水区域の区分:
 建築物の多くが全壊(流失含む)の区域…約99平方キロ
 建築物の多くが大規模半壊、半壊の区域…約58平方キロ
 それ以外の浸水区域…363平方キロ
・浸水深2メートルを境に建物の全壊率が大幅に減少する

●第2次報告
・RC造、鉄骨造は建物が再使用困難な損壊が生じる割合は低い
・RC造、鉄骨造は3階建て以上の場合、その高さより相当低い浸水深ならば、上の階に居た人に生じるリスク(倒壊など)は低い
・津波の被災死亡者における年齢比率は、地域の構成比率と比べて65歳以上の割合が高い
・浸水深が高いほど死亡率も上がる
・リアス部(海岸が入り組んでいる)では平均死亡率が高い。しかし同一の浸水深では平野部の方が死亡率が高い。

↑ 茶・赤系統ほど被害が大きく、水色・灰色となるにつれて被害は小さくなる。RC造では階数が高いほど、浸水深が大きくとも「全壊(流出含む)」する比率は低くなる
↑ 茶・赤系統ほど被害が大きく、水色・灰色となるにつれて被害は小さくなる。RC造では階数が高いほど、浸水深が大きくとも「全壊(流出含む)」する比率は低くなる

↑ 木造建築。1階・2階建と比べ、3階建て以上の「全壊(流出含む)」リスクは(RC造ほどではないが)かなり低くなることが確認できる
↑ 木造建築。1階・2階建と比べ、3階建て以上の「全壊(流出含む)」リスクは(RC造ほどではないが)かなり低くなることが確認できる

これらの状況・報告内容からは例えば

・木造よりRC造、鉄骨造製の建造物を促進する
・浸水深2-3メートル未満に抑えられるような施策を検討する
・旧来工法で建築されている低層建造物の、津波に対する「もろさ」を再認識した上で対処を取る(建て替え、歴史的建造物の場合は移転や対策の考慮)
・可能ならば高層化を推し量る(RC造3階以上建ての場合、15-25メートル規模の浸水深でも約4割は「全壊(流出)」を免れている≒もっと高い場所に居れば生命の危険にさらされなかった)
・高齢者の避難対策の充実を検証する
・リアス部の方が波が高くなる傾向があるが、同時に避難できる高台もあるため、避難所が少ない平野部と比べて「同一浸水深では」リスクが小さくなる。リアス部では「波が想定以上に高くなる」可能性を考慮した対策、平野部では適切な避難用の高台(あるいはそれに類する建造物)を計画的に構築する検証をする

などの分析・対策が想定される。

今回発表されたように、指摘されれば当然のように思えるかもしれない話でも、裏付けとなるデータが用意されることで、検証の上では非常に有益かつ確かなものとなる。裏付けが無ければ「単なる思い込み」で済まされてしまう、あるいは思い付きもしなかった可能性があるからだ。これらの「経験」を元に正しい精査を行った上で、先日の【「防災」と「減災」、「線」と「面」の対策…岩手県、先行10地域海岸の堤防高設定】にもあるような復興計画、特にソフトとハードの両面による対策を求める部分に役立てて欲しいものだ。

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