日本でリスク回避の動きさらに高まる(日米家計資産推移:2011年2Q分)

2011/09/28 06:48

日本銀行は2011年9月27日、2011年第2四半期(4-6月)における資金循環の日米比較に関するレポートを公開した。それによるとアメリカは「投資信託」額は減少したものの、他の項目、特に「現金・預金」額の増加が著しく、リスク資産の保有額が減少傾向にあることが分かった。他方日本は全般的に減少傾向にあるものの、アメリカ同様に「現金・預金」が主要項目別では大きく額を増加させている(【リリース掲載ページ】)。

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今リリースは日本銀行が年4回定期的に速報値として発表しているもの。それに伴い以前掲載した2009年6月掲載の記事から連携・連動させる形で色々とグラフ化・考察を行っており、今回はその最新版データに基づいた記事となる。

まずは直近、2011年第2四半期(2Q)時点での、日米の家計における資産構成比率。日本が「現金・預金」に大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」「債券」を大量に保有している図式に変わりは無い。

日米家計金融資産構成比率比較(2011年2Q)
↑ 日米家計金融資産構成比率比較(2011年2Q)

これを日米別にその推移をグラフ化する。まずは日本。構成比率と絶対額の推移を確認する。

日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年2Q)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2011年2Q)

日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年2Q)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2011年2Q)(単位:兆円)

直近数年(2008年前後)で「現金・預金」の比率が大きく伸びたのは、貯金額そのものが増えたのも多少はあるが、それ以上に株価の低迷によるところが大きい(相対的に「現金・預金」比率が上がったという理屈。また損切りによるポジション整理も多分にある。「株式・出資金」の額・比率が同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きが理解できる)。今期においては冒頭で触れたように「現金・預金」以外の主要項目での減少が分かる。株価低迷が継続していることや、リスク回避の動き、さらには流動性が低めの資産切り崩しが起きているものと思われる。

一方アメリカ。

米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年2Q)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2011年2Q)

米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年2Q)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2011年2Q)(兆ドル)

アメリカにおいては該当期の株価動向は2011年5月頭を天井とし、その後やや軟調、6月に入ってからは下落、後に上昇という忙しい動きを見せている。このような流れの中で、「投資信託」は減少し、他の項目は増加。特に「現金・預金」はこの数期に渡り(比率こそ上下の動きだが)確実に積み増されており、貯蓄性向に変化の兆しが見受けられる(もっとも、その一方で「債券」は額面上はほぼ横ばい・総額が増加してるため、相対的に構成比率が減退しているのが気になる)。

グラフには記載していないが、家計金融資産の総額は2011年2Q時点で日本が1491兆円、アメリカが49.1兆ドル。これはそれぞれ直近前期から(日本)プラス0.61%・(アメリカ)プラス1.02%の変移となっている。為替レートの問題もあるため両国間の額面での単純比較はできないが、それぞれの国において3か月でどれだけ家計の金融資産の評価額が積み増しされたか、そしてその上昇率からそれぞれの国の景気の勢いが推し量れよう(ちなみに為替レートは同年4月1日から6月30日までの間に、1円ほど円高ドル安に推移している)。

前期では直接・間接的な東日本大地震・震災の影響(減少)が家計金融資産の動向でも確認できたが、今期ではそれなりに持ち直しを見せているように見える。一方で株価の低迷に加え、震災という大きな自然災害を経験したことによる心理変化に伴い、日本ではこれまで以上に確実性・安定性の高い金融資産への移行が予想される。中長期的な視野で、その動きを見極める必要が求められよう。


※2013.06.25.更新
今件記事は説明が多分に重なる部分などを省略した簡略版です。全体版及び最新版については【日米家計資産推移(日銀)最新記事】にて掲載しています。

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