若者「そのもの」シニアは「額が」・個人年金加入理由に見る年金制度への不安点

2011/09/29 06:57

年金2011年8月25日に厚生労働省が発表した、2009年時点における「社会保障に関する公的・私的サービスに関する意識調査」結果には、保育サービスや少子化・子育て、個人年金、民間医療保険、社会保障の希望のような、今まさに社会全体が注目している社会保障の現状が集約された内容となっており、社会全般で問題視されている内容が具体的数字で示された、貴重な資料に仕上げられている。今回はその中から、老後の所得保障問題、その中でも「個人年金の加入理由」及びそこから浮かび上がる現行公的年金への不安点の世代別違いに着目してみよう(【発表リリース】)。

スポンサードリンク


今調査は2009年7月16日に実施されている。調査方法は「調査員が配布した調査票に、調査対象となった世帯員(20歳以上全員に一人1セットずつ配布。例えば子供無しの夫婦ともに20歳以上なら2セット)が自ら記入し、後日調査員が回収する」留置自計方式。集計客対数は1万0645人。

現在の公的年金制度は基本的に、自営業者・サラリーマン・公務員を問わず全員が入る「国民年金(基礎年金)」部分が土台(一階部分)にあり、それに加えてサラリーマンは「厚生年金(保険)」、公務員は「共済年金」が二階部分として積み上げられる仕組み(年金制度を「二階建て」と呼んでいるのはこのため)。さらに自営業者は「付加年金」や「国民年金基金」、サラリーマンは「厚生年金基金」などを積み増すことができる。民間の個人年金は、さらにその上の階層に積み増すイメージとなる。

今調査母体では、公的年金以外の年金のうち、生命保険会社やかんぽ生命の簡易保険、さらには農協などが展開している年金もあわせた、いわゆる「個人年金」に加入している人は16.2%という結果が出ている。

↑ 年金制度の加入状況(複数回答)
↑ 年金制度の加入状況(複数回答)(再録)

個人年金はもちろん任意加入制度。ではなぜ個人年金に加入したのか。加入者を対象に複数回答で聞いたところ、最多回答は「公的年金だけでは生活に不安」となった。約半数、53.1%が同意を示している。

↑ 個人年金加入の理由(複数回答、個人年金加入者限定)
↑ 個人年金加入の理由(複数回答、個人年金加入者限定)

次いで多いのは「公的年金制度の将来に不安」。「公的年金だけでは生活に不安」と同じように見えるが、トップの「公的年金だけでは生活に不安」は「額が足りないので不安(規定額がもらえる前提)」、第二位の「公的年金制度の将来に不安」は額面の大幅な減退、制度そのものの大幅な改悪、さらには停止も含めた「制度そのものの安定度」への不安を意味している。心配度では当然後者の方が上。

他には「よい生活を求めて」「第三者に勧誘された」「税制面・貯蓄面で有利」などもあるが、いずれもドングリの背比べ。上位二位が「個人年金加入の主理由」と見なしてよい。

これを世代別に見ると、興味深い動きが確認できる。

↑ 年齢階層別に見た個人年金加入の理由(複数回答、個人年金加入者限定)
↑ 年齢階層別に見た個人年金加入の理由(複数回答、個人年金加入者限定)

「公的年金だけでは生活に不安」「公的年金制度の将来に不安」が突出していることに違いは無い。しかしよく見ると、「公的年金だけでは生活に不安」は中堅層以降、「公的年金制度の将来に不安」は若年層に大きな回答率が出ているのが分かる。受給者も含めた中堅-シニア層は、決められた額をもらえるのは確定事項と認識し、その上で額不足からの生活への不安を覚え、個人年金へ加入している。

中堅層-シニアは
「足りないヨ」
若年層は
「もらえるの?」
一方若年層は(現時点で予定されている)年金を自分が受け取れるか否か、それ自身ですら不安を感じ、個人年金に加入している人が多い。同じ「年金への不安」が個人年金への加入理由でありながら、大きな違いを持つことが理解できよう。そしてこれはそのまま、年金制度全体に対する世代間の思惑の違い・温度差ともいえる(もちろん若年層の方が危機感は強い)。

なお若年層、特に20代は「家族や知人に勧められた」が突出している。これは入社の際に上司自身、あるいは上司経由で保険の営業などに勧められたと見るのが自然。後々に「あの時多少無理めでも勧められた通りに入っていて良かった」という事例も多々あるが、このようにデータとしてイレギュラーな値が出ている状況が正しいのか否か、少々考えさせられるものがある。


■関連記事:
【年金制度の加入状況をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー