統括・管理部門は増加、システム統括の人員補充か…新聞社従業員の部門別推移動向(2012年発表)

2011/09/24 12:00

以前【企業が払う新聞広告費と広告費相場の変化をグラフ化してみる(2010年分反映版)】などで日本新聞協会の公開データを元に、日本の新聞業界の全般的な動向を多方面からグラフ化した。しかし一部は更新タイミングがずれており、一連の記事を掲載した5月時点での記事展開はかなわなかった。それらについて先日更新が確認されたので、残りの部分を再構築し、状況の変化を推し量ることにする。今回は従教員数推移の、2011年分反映版である。

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データ取得元は日本新聞協会の【調査データ中「部門別従業員数の推移」】。新聞社全体の大まかな部門区分別従業員数の推移について毎年4月時点の値が記されている。公開されているデータを元に、まずは積み上げグラフを生成する。今年も去年から引き続き、従業員総数が漸減しているのが確認できる。

↑ 新聞社・部門別従業員数の推移(各年4月時点)
↑ 新聞社・部門別従業員数の推移(各年4月時点)

中期的な流れとして、一番下の層「編集部門」の削減率がさほど変わらず、その上の「製作・印刷・発送部門」が大きく数を減らしているのが分かる。また後述するが、先年は時代の流れに対応するため増員したと思われていた「出版・事業・電子メディア部門」も、今年は大規模な減少が確認できる。唯一増加したのは「統括・管理部門」。

続いてこれを前年比推移でのグラフで見てみる。せっかくなので計算した結果の表も併記しておく。


↑ 新聞社・部門別従業員数の推移(前年比)
↑ 新聞社・部門別従業員数の推移(前年比)

各部局内部での新陳代謝(定年退職する人や新入社員の数の違い)もあり、一概に人数だけですべてを断じるのはやや無理があるが、

「製作・印刷・発送部門は前々から人員削減が進んでおり、機械化・デジタル化・システムの共用化は進んでいるが、そろそろ限界が見えてきている」
「出版・事業・電子メディア部門は最近は増加傾向。電子メディア方面の増強が行われている様子。しかし2011年では大幅な削減対象となった」
「営業部門も削減継続」
「編集部門は比率的には大きな動きはナシ」
「統括・管理部門は増加。下請け、システム共用化の際の管理運営向けの人員積み増しか」

などの動向が見て取れる。この数年ほどデジタルメディア対策として進められていたと思われる「出版・事業・電子メディア部門」もあっさりと人員を減らし、一方で「統括・管理部門」の人員を増加する動きを見ると、コスト削減の方策として「リソースの共用」「外部への委託」への切り替えが行われている雰囲気が感じられる。この動きは「コストの削減」という大義名分にはかなうだろうが、内容の陳腐化、各紙の個性の欠除、さらには各新聞社の存在意義の否定をも導きかねない。

またこの一、二年で前年比動向が、プラスマイナスゼロに集束する動きを見せている。これは「現状の形態での」人員削減が難しい段階に来ていることを示唆している。



新聞紙媒体における「新聞」の売上が今後増加する見込みは立ちにくい。デジタル方面での収益化も模索段階で、少なくとも現行スタイルの「広告」「有料配信」というスタイルでは、紙媒体を補完するまでには至っていない。売上の減退は販売収入と広告収入を同時に削り取り、新聞社の体力をますます減らしていく。経費部門で大きなウェイトを占める人件費をいかに効率化しつつ、「商品」の質を維持しつづけるのか。今後の課題のハードルは決して低くは無い。

そして人間自身のダイエットのように、切り口を間違えると「健康を害してしまう」ことにも十分配慮しなければならない。果たして今の新聞業界は、「健康的なダイエット」を進めているのだろうか。新聞記事の掲載内容を読み返しながら、考え直してみたいものだ。


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