通院している人、どれくらい? 通院率をグラフ化してみる(最新)

2017/07/09 05:00

2017-0708厚生労働省は2017年6月27日、平成28年版(2016年度版)の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているものだが、資料性の高いデータが豊富に盛り込まれており、多数の切り口から実情を知ることが出来る。特に今回発表された2016年版では、3年に一度の「大調査」が行われ、世帯員の健康状態や介護の状況も確認することが可能となっている。今回はその中から「通院している人の割合」について現状を確認してみることにした(【発表ページ:平成28年 国民生活基礎調査の概況】)。

スポンサードリンク


通院者は約39%、女性がやや多し


今調査の調査要件及び注意事項は、今調査に関する先行記事の【平均世帯人員と世帯数推移をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

今回スポットライトを当てるのは、病気やけがなどで病院に通っている人、つまり「通院者」の割合について。計算を行う際に入院者は通院者にはカウントされないが、比率を計算する際の世帯人員数には入院者自身も含まれる。例えば「通院者」が39.2%だったとして、残りの60.8%が全員病院と無関係なわけではなく、何%かは入院していることになる(入院者は今件調査時には回答できないため、当然入院者率は調査回答項目には無い)。

さてまずは世代別の通院者率。全体では4割近くの39.2%。30代までは2割内外だが、40代以降は急激に増加。70代以降は7割をキープしている。平均的な定年年齢である65歳以上で区切れば、約7割が何らかの形で通院中となる。

↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2016年)
↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2016年)

若年層の通院率が若干高めに見えるかもしれない。これは一般の病院の他、歯医者や眼医者なども合わせて通院とカウントしているからに他ならない。子供のうちは虫歯関連で歯医者、そして視力のチェックや眼鏡装着周りで眼科に通う人は少なくない。

これを男女別に見ると、10代までは男性が、それ以降はほぼ女性の方が通院率が高くなる。女性は妊娠や腰痛など、入院の起因となる要素が多いからだと考えられる。

↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(男女別)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2016年)
↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(男女別)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2016年)

特に20代から30代にかけての男女の差異が、妊娠周りによる通院機会の多さを指し示している。

前回調査からの変化を確認


元資料には2016年分のデータ以外に、前回の「国民生活基礎調査」大調査の値(つまり2013年分)も掲載されている。そこで差し引きを行い、3年間で通院率がどれだけ増減したかを計算したのが次のグラフ。

↑ 性別・年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2013年から2016年への変移、%ポイント)
↑ 性別・年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2013年から2016年への変移、%ポイント)

「入院患者・入院数を減らそう」との政策は以前から続けられている。具体的には保険給付金はベッド数・療養病床に比例するため、それらを減らすことで保険給付費≒医療費を減らしていこうとする厚生労働省の方針によるもの。また、特に高齢者では、いわゆる「社会的入院」(傷病の治癒以外の目的を主としての入院)を解消する狙いもある。

2013年から2016年の変移では、10代から60代まではおおむね増加、9歳以下と65歳以上は低下の傾向が見受けられる。データの性質上、プラスマイナス1%ポイントぐらいまでは誤差の範囲と見ても良いのだが、傾向だった値動きをしていることから、何らかの意味があると考えても良い。高齢層の低下は「社会的入院」減少の思惑が成果を見せている結果なのかもしれない。他方、現役世代の増加は、健康留意の表れだろうか、あるいは経済的な余裕も一因かもしれない(ふところ事情も診察・通院の意思決定には小さからぬ影響を及ぼす)。

他方同調査で同時に行われている「有訴者率(病気や怪我などで自覚症状がある人)」は全年齢階層で減っており、また同じく厚生労働省が3年おきに実施している「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」の最新版にあたる、【平成27年(2015)医療施設(動態)調査・病院報告の概況】や、同じく3年おきに実施している【「患者調査」の最新版】を見る限りでは、明らかに若年層の経年入院・在院患者数は減少傾向にある(高齢層では入院・外来共に増加中)。単純に通院者率の動向だけでは、健康状態の実情は推し量りにくいのだろう。



やや蛇足ではあるが、通院者における対象となる病症の上位5項目を、男女それぞれに集計し、以前の調査との差異も確認するため、過去2回分と併記したグラフは次の通りとなる。

↑ 通院者率の上位5傷病(複数回答、男性)
↑ 通院者率の上位5傷病(複数回答、男性)

↑ 通院者率の上位5傷病(複数回答、女性)
↑ 通院者率の上位5傷病(複数回答、女性)

男女とも高血圧症がトップで、男性は糖尿病に歯の病気、女性は目の病気に歯の病気が続く。経年変化を見ると男女とも高血圧症、そして男性の糖尿病と目の病気が増加しているのが確認できる。いわゆる生活習慣病のうち、上位項目としてラインアップされ、三大成人病とも言われている「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」のうち、男女共に5位以内に2つが入り、しかも男性では2つも、女性でも1つが通院者率の増加を示している。

これらの疾病で通院する状況に陥らないように日々の生活習慣の改善を目指すと共に、定期的な検診を受け、兆候が確認されたら可及的速やかに改善のための治療を受けるようにしたいものだ。


■関連記事:
【平均寿命の前年との差に対する死因別寄与年数をグラフ化してみる】
【がんのリスクを減らせる生活習慣の4大改善ポイント】
【メタボ健診の受診率は45%、女性はやや低め】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー