アメリカのモバイル端末を使った位置情報の利用率をグラフ化してみる

2011/09/11 19:30

場所サービスアメリカの調査機関【Pew Reserch Center】は2011年9月6日、アメリカにおける「モバイル端末を利用した位置情報サービス」に関する調査結果を発表した。今回はそのデータの概要をまとめ、同サービスの浸透状況を確認してみることにする(【発表リリース】)。

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今調査は2011年4月26日から5月22日にかけて、18歳以上の人に対して電話(固定電話と携帯電話)でRDD形式(Random Digit Dialing、乱数で創り出した番号に電話をかける方法)によって選択された対象に、英語とスペイン語で行われたもので、有効回答数は2277人。回答時に利用した電話は、固定電話は1522人、携帯電話は755人。インターネットを利用している人は1701人(74.7%)。携帯電話保有者は1914人(そのうちスマートフォンは688人・それ以外の一般携帯電話は1226人)、ツイッターなどのソーシャルメディア利用者は1015人。さらに性別・年齢・教育経歴・人種・使用言語などの各種区分において、アメリカの国勢調査結果に基づいた調整が行われている。

「位置情報サービス」とは言葉通り、利用者の現在位置を情報の一つとし、様々な情報を取得したり共有するサービス。例えば【その場の過去が一度によみがえる、ちょっと怖いARアプリ】で紹介した事故再現アプリはGPS機能と連動させて、その場所での過去の事故データをビジュアル表示させるというものだ。


↑ The Village: Death Revealer。
↑ The Village: Death Revealer。

昨今の位置情報関連サービスを説明する用語として、いくつかの言い回しがあるが、それをまとめて再定義・確認しておく。

・チェックイン……GPSなど位置情報を確認できるモバイル端末を使う「現在位置確認」行動。この動作により、他人に自分の位置を知らせることが可能となる。
・ジオソーシャル……チェックインを行うことで、他人と位置情報を共有するソーシャル系サービス。foursquareが好例。
・ロケーションタギング……場所の情報

さて調査母体における位置サービスの利用者率だが、全体比ではジオソーシャル利用率は4%。現在位置の情報サービス(単純に位置情報をサービスサーバーに送り、地域情報を利用者が取得するサービスで、位置情報を他人に送るソーシャル性は無い。例えば地図確認や地域の店舗情報検索が好例)は23%に達している。

↑ 位置サービス利用者率
↑ 位置サービス利用者率

全般的に「現在位置情報サービス利用者」率が「ジオソーシャル利用者」率よりはるかに高いのは、プライベート情報となりうる位置情報を第三者に知られることのリスクの高さ、そしてサービスそのものを知らないのが主要因。単に自分の居る場所の周辺地図を呼びだすのに「ジオソーシャルサービス」を使うのは、無意味どころかリスクばかりかさんでしまう。

モバイル端末全体とスマートフォン利用者で利用率を比較すると、いずれもスマートフォン利用者の方が利用比率が高い。ジオソーシャルの多くがスマートフォン向けであることや、利用しやすいことが要因だろう。

一方で、ジオソーシャルサービスの一種として自動位置投稿システム(オートマチックロケーションタギング)がある。これは例えばツイッターでツイートする際に「位置情報を付加する」というオプションがあり、これを使うとツイートするたびにそのツイートした場所(経度緯度・駅名など)を自動的にデータとして盛り込むというものだ(【位置情報追加機能について】)。

↑ 自動位置投稿システムの利用
↑ 自動位置投稿システムの利用

ソーシャルメディアユーザー比でも14%。自分から意図的に位置情報を発する「チェックイン」方式ならともかく、ツイート・書込みする、つまり利用者の行動のたびに位置情報を伝える仕組みには、やや抵抗が強いようだ。

属性別動向
対象母体がやや狭くなるものの、元記事では属性別の利用者率も掲載されている。そこでその一部をグラフ化してみることにした。

まずはスマートフォン利用者に限定した位置サービスの利用者率をチェックしてみることにする。

↑ 位置サービス利用者率(スマートフォン利用者限定)
↑ 位置サービス利用者率(スマートフォン利用者限定)

男女差はあまり見受けられない。そして自分の位置を第三者に暴露する「ジオソーシャル」は「若年層」「低年収」「低学歴」ほど高い利用割合を示している。単に現在位置の関連情報を取得し自分の位置は他人に露出しない「情報サービス」は、「高齢層」「高年収」「高学歴」ほど高い利用割合であるのが分かる。「高齢層」「高年収」「高学歴」ほど自分の個人情報・現在位置の暴露に対するリスクを強く感じているのかもしれない。

最後にソーシャルメディア利用者内における、自動位置投稿システムの利用率。

↑ 自動位置投稿システムの利用率(ソーシャルメディア利用者内限定)
↑ 自動位置投稿システムの利用率(ソーシャルメディア利用者内限定)

現在位置を随時自動投稿するシステムは「チェックイン」よりも暴露率・プライベート情報率が高い事もあり、女性の利用率が男性のほぼ半分になっている。リスクを考慮すれば10%でもまだ高い方だ。そして世代ごと・学歴毎の動きもほぼ位置サービス利用者率の動向と同じ(年収は規則性がなかったため省略した)。


位置情報最近では日本でもスマートフォンの普及と共に、位置情報を用いた各種サービス(「チェックイン」を用いたソーシャル系のもの)が増えている。ただしアメリカ同様日本でも、位置情報は時としてプライバシーの問題とも深く関わり合いを持つため、使用には十分以上の注意が必要になる。

余談だが以前Pew Research社のデータを記事にした際に、「人種別動向は?」という質問をされたことがある。日本ではあまり関係ないため通常は省いており、今回もグラフには盛り込まなかった。ただし「白人」「黒人」「ヒスパニック」の間には利用性向で大きな違いがあり、概要としては白人より黒人、黒人よりヒスパニックの方が、自らの位置情報の公開におおらかであることを記しておこう。

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